当該のゲーム業界記事は、2001年10月2日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「ときめきメモリアル3、発売へ〜ゲームファンドの再評価〜」の第二章です。
2001年の記事ですので、かなり古い記述になっておりますが、文章の保存を
目的に掲載しておりますので、ご了承下さい。
当時、コナミはゲームソフトの開発費を一般から募集する方法にて
人気ソフト「ときめきメモリアル」を開発いたしました。その時に
使われたスキームが「ゲームファンド」なるファンド形式でした。
このコラムでは「ゲームファンドの意義」を改めて評価するものと
なっております。
第二章:「生まれた背景」
「ゲームファンド ときめきメモリアル」(ときめもファンド)は、一般にはゲーム開発費負担を少しでも軽減するために誕生したと思われている。最近のゲーム業界を取り巻く環境から考えれば、こう考えるのは間違いではない。
新しいゲーム機が登場するたびに高性能化している現状は、ソフトメーカー側の負担を以前とは比べものにならないほど大きくさせた。負担の主なものは、ゲーム機の高性能化に伴う開発期間の長期化と開発資金の大規模化であろう。
このような状態はソフトメーカーにとって決して好ましいものではない。そもそも、ソフトメーカーが商品にしているゲームソフト自体、売れるかどうか市場に出してみないと分からないリスクの高いものなのだ。それなのに、ソフト開発の段階で大規模な資金が必要になってしまっている。これでは、ソフトメーカー側は堪らない。こうした事情があったからこそ、ときめきファンドは『自社の資金負担を軽減』(2000年10月26日 日本経済新聞)するものだと評価されているのである。
だが、ときめもファンドが誕生したのは、もう一つの理由があったからではないだろうか。それはそのまま、なぜコナミがゲームファンドなるものを始めたのかという答えにもなる。
ゲーム開発のリスク低減の為にときめもファンドがあったとする一般的な見方は確かに間違いがないし、目的がそれであったのは事実だろう。しかし、ときめもファンドが生まれた背景には、近年活発化しているコナミの安定化志向も関係しているのではないか。
コナミは、ここ数年、家庭用・業務用問わずヒットゲームを次々に出し、非常に好調だ。2002年3月期こそ前期より悪くなると予想されているが、2001 年3月期までの業績はゲーム業界でもトップレベルだ。そんなコナミでさえも、わずか数年前の1995年3月期には100億円を超える巨額の赤字を出し、業績不振に苦しめられたことがある。
短い期間の間で地獄と天国を味わったコナミが学んだ事は、ゲームビジネスの好不調の差の激しさであろう。この経験からコナミは、ゲームビジネスの波がコナミ全体に与える影響を何とか平らにすべく行動するようになる。コナミの北上常務は『我々がやっているのはヒットビジネスなのでどうしても浮いたり沈んだりします。我々にとっても頭の痛い問題ですが、どうやって波をなくして安定させるかを常に課題としています』(P50 「電撃王 BUSINESS SPECIAL Vol.1」 メディアワークス 2000)と言い、安定することの重要性を強調する。
2000年から2001年にかけて、コナミはそれを実践するかのごとく、ゲームビジネス以外の事業を積極的に手掛けるようになった。一例を挙げれば、フィットネスクラブ運営企業のピープル(現コナミスポーツ)やアメリカのカジノ用システム開発企業を買収したことなどだろう。
この安定化を目指すコナミの考えた方はゲーム開発費にも及んでいると見て良いのではないか。これまで、ゲーム開発費は自社で賄ってきたが、今後もいままでと同様に自前で用意できるとは限らない。開発費の高騰によって、コナミ一社では支え切れなくなるかもしれないし、コナミ自体が資金不足に陥ってしまう可能性だってないとは言えないのだ。
そういった不安定さはコナミからすれば、無くしておきたいリスクの一つである。だからこそ、一般からゲーム開発費を集めるときめもファンドが、コナミから生まれたのではないだろうか。つまり、収益基盤を安定させるだけではなく、資金調達の面でも安定化させたいというコナミ特有の理由が、ときめもファンド誕生に作用していると考える事ができるのだ。(つづく)
続きはこちら→第三章:「課せられた責任」
2007年10月28日
2007年10月27日
ゲーム情報保管庫:2007年10月12日 任天堂の圧勝が続く エンターブレインのゲーム業界予測
インターネット上の情報は、短期間で消滅してしまうことが多いので、なるべく様々な資料を保存していきたいと考え、こちらのカテゴリにて記録していきたいと思います。
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/game/071012/gam0710121856000-n1.htm
任天堂の圧勝が続く エンターブレインのゲーム業界予測
2007.10.12 18:55
年末も任天堂の圧勝が続く−。「週刊ファミ通」などを発行するエンターブレインの浜村弘一社長は12日、年末商戦以降のゲーム業界を展望した。携帯ゲーム機の「ニンテンドーDS」、据置型の「Wii」というヒット商品を抱え、「学習系ソフトや健康ソフトなど、ゲームをしない層を取り込んで広げた市場に従来のゲームファンも取り込み、拡大を続ける」との見通しを示した。
同社の調べによれば、平成19年上半期(4−9月)のゲーム市場の規模はハード、ソフトを合わせて約4820億円。すでに前年度の4分の3近くに達している。DSは販売台数2000万台に迫っており、浜村社長は「近い将来に3000万台も視野に入る」としている。
売れ行きを象徴するのが、いわゆる「脳トレ」をはじめとする学習系ソフトのヒット。幅広い年齢層に満遍なく売れているところが、ソニー・コンピュータエンタテインメントの携帯ゲーム機PSPとは異なる。さらに「学習系ソフトを入り口に、他のアクションゲームやアドベンチャーゲームへと広がりを見せるユーザーも多い」とし、この勢いがそのまま任天堂の快進撃につながっているようだ。
DSやWiiは一時の品切れ状態を脱して小売店でも在庫が見られるようになったが、浜村社長は「年末にかけて健康系ソフト『Wii Fit』をはじめ、魅力的なタイトルのソフトで、任天堂の優位が続く」との見解だ。ソニーのPS3については、「PS3ならではのゲームがまだ少なく、ソフト次第で売れ行きの伸びしろはまだ大きい」とみている。
ゲーム情報保管庫:2007年10月25日 PS3苦戦 「ゲームメーカーの開発サポート改善する」とソニー
インターネット上の情報は、短期間で消滅してしまうことが多いので、なるべく様々な資料を保存していきたいと考え、こちらのカテゴリにて記録していきたいと思います。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0710/25/news108.html
PS3苦戦 「ゲームメーカーの開発サポート改善する」とソニー
「モンスターハンター」などPS3での発売を予定していたソフトがWiiに乗り換える例もある中、ソニーのCFOが「PS3のゲームソフトメーカーに対するサポートは確かに弱かった」と認め、「今後は積極的にサポートしていく」と話した。
2007年10月25日 19時27分 更新
「PS3(プレイステーション 3)のゲームソフトメーカーに対するサポートは確かに弱かった。今後は積極的にサポートしていく」――ソニーの大根田伸行CFOは10月25日に開いた 2007年7〜9月期(第2四半期)の決算会見の席でこう話した。PS3は、製造価格が販売価格を上回る逆ざや状態。同期のゲーム事業は967億円の営業赤字を計上し、赤字幅は前年同期よりも532億円拡大した。
同期のPS3販売台数は131万台と「想定を38万台ほど下回った」(大根田CFO)。だが10月に発表した値下げの効果が現れ始めており、第3四半期以降の見通しは明るいという。「廉価版発売に先駆けて日米で現行モデルを価格改定(値下げ)したが、売り上げは倍近くになっている。廉価版を先行発売した欧州でも2〜4倍に伸びている」(園田達幸IR担当部長)
値下げを武器に、最大の商戦期である年末商戦で勝負をかける。年間の売上げ台数見通しは1100万台から変えないが、大根田CFOは「想定よりも若干下に行くかもしれない。ただ、1000万台を切るというレベルではない」とした。
カプコンの「モンスターハンター3」など、PS3での発売を予定していたソフトがWiiに乗り換える例もあり、「PS3はゲームメーカーへの開発サポートが不十分」という指摘もある。大根田CFOは「確かに今まで、ゲームメーカーへのサポートが弱かった。今後はSCE(ソニー・コンピュータエンタテインメント)に積極的にサポートをやらせる」と話した。
PS3は、製造価格が販売価格を上回る赤字状態が続いている。コスト削減などでカバーしていく予定だが「ゲーム事業の今期中の黒字化は無理」(大根田CFO)という見通し。「来期の黒字化を目指す」
薄型の新モデルが好評なPSP(プレイステーション・ポータブル)と、プレイステーション2は想定を上回る売れ行きで、第2四半期の販売台数は PSPが258万台、PS2が328万台。通期の販売見通しもそれぞれ上方修正し、PSPは100万台上乗せして1000万台、PS2は200万台上乗せして1200万台とする。
ゲーム情報保管庫:2007年10月25日 ソニー:ゲーム事業の赤字が960億円に拡大 第2四半期連結決算
インターネット上の情報は、短期間で消滅してしまうことが多いので、なるべく様々な資料を保存していきたいと考え、こちらのカテゴリにて記録していきたいと思います。
http://mainichi.jp/enta/mantan/news/20071025mog00m200029000c.html
ソニー:ゲーム事業の赤字が960億円に拡大 第2四半期連結決算
ソニーは25日、07年度第2四半期(7月〜9月)の連結決算を発表。新型ゲーム機「プレイステーション(PS)3」の製造コストを下回る価格設定などの影響で、ゲーム事業の営業赤字は前年同期の435億円から967億円に拡大したことが明らかとなった。ゲーム事業の売上高は、前年同期比 42.9%増の2434億円だった。
PS3の3カ月間の出荷数は131万台で、年間1100万台の出荷計画は変えない。大根田伸行CFO(最高財務責任者)は「今までソフトメーカーに対するサポートは弱かったが、今後は積極的に行うことを考えている」と説明。PS3事業にてこ入れするなどして、計画通り08年度のゲーム事業黒字化を目指すという。PS2の出荷数は前年同期比13万台減の328万台、PSPは同56万台増の258万台で、堅調に推移した。
グループの第2四半期決算は、売上高が前年同期比12.3%増の2兆830億円。営業損益は208億円の赤字から905億円の黒字に転換している。【河村成浩】
2007年10月25日
2007年10月26日
ゲーム情報保管庫:2007年10月25日プレステ3とWii ゲーム2強明暗
インターネット上の情報は、短期間で消滅してしまうことが多いので、なるべく様々な資料を保存していきたいと考え、こちらのカテゴリにて記録していきたいと思います。
http://sankei.jp.msn.com/economy/it/071025/its0710252025002-n1.htm
プレステ3とWii ゲーム2強明暗
2007.10.25 20:25
ソニーと任天堂が25日に発表した平成19年度上半期(4〜9月)のゲーム機世界販売台数は、ソニー「プレーステーション3(プレステ3)」が202万台、任天堂「Wii」が733万台。プレステ3はWiiの3割にも満たない。累計販売台数でもWiiの1317万台に対し、プレステ3は559万台と半分以下に沈み、ソニーの苦境が一段と鮮明になってきた。
ソニーの大根田伸行執行役は同日、東京証券取引所(東京・日本橋兜町)で9月中間決算を発表し、「若干下回る可能性はあるが、通期で1100万台の目標は変えない」と述べ、プレステ3の販売目標達成を死守する考えを示した。
その実現には、残る半年で上半期の4倍以上の900万台近くを販売しなければならない。背水の陣で臨む年末商戦に向けて日米欧で値下げを断行。日本での価格は5000円値下げしたほか、11月に機能をしぼった廉価機種も発売する。
値下げ後の売り上げは「欧州では2〜4倍、日米で2倍」(大根田氏)と順調な滑り出し。さらに、年末には人気ゲームソフトが相次ぎ投入される予定で、販売が上向くことは間違いない。
ただ、今年度上半期のソニーのゲーム事業の営業損益は約1280億円の赤字に陥り、業績の足を引っ張っている。もし販売目標を達成できなければ、その分、赤字が膨らみ、ゲーム事業の一層の戦略見直しを迫られることになる。
http://sankei.jp.msn.com/economy/it/071025/its0710252025002-n2.htm
一方、任天堂は笑いが止まらない。
任天堂の森仁洋専務も同日、大阪証券取引所(大阪・北浜)で決算発表し、「ニンテンドーDSもWiiも女性購入者が過半数に達するなど、新しいユーザー層を獲得できた」と自賛した。
Wiiに加え、ポータブルゲーム機のDSは16年末の発売以来、ゲーム機史上最速のペースで販売台数を伸ばしている。世界累計販売台数も9月末で5364万台と5000万台を突破した。
ソニーは従来の延長線上でゲーム機の高性能を追求したが、任天堂は手軽さで対抗した。
たくさんのボタンを器用に押さなければならなかった従来のゲーム機が、一部のマニアのものだったのに対し、Wiiは棒状のコントローラーを振って身体を動かすことを楽しむようにして親子や高齢者にも利用層を広げた。DSはタッチペンで液晶画面に直接触れて操作する簡単さが受け入れられた。
年末商戦向けには、ヨガや歩行運動が楽しめるソフト「Wiiフィット」を販売し、家族で楽しむという路線を一層強める方針だ。
カプコンがPS3向けで発売を予定していた人気ソフトの最新作「モンスターハンター3」をWii向けに変更するなど、“勝ち馬”に乗ろうとするソフト業界の動きも出はじめ、任天堂のリードが簡単に縮まる気配はなさそうだ。
ゲーム情報保管庫:2007年10月11日人気ゲームまた…「モンスターハンター」PS離脱、任天堂へ「移籍」
インターネット上の情報は、短期間で消滅してしまうことが多いので、なるべく様々な資料を保存していきたいと考え、こちらのカテゴリにて記録していきたいと思います。
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/game/071011/gam0710111618001-n1.htm
人気ゲームまた…「モンスターハンター」PS離脱、任天堂へ「移籍」
2007.10.11 16:24
あの人気ゲームソフトも任天堂へ「移籍」…。カプコンは10日、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の据え置き型ゲーム機「プレイステーション3(PS3)」向けに開発を進めていた「モンスターハンター3(トライ)」を、任天堂の「Wii」向けに転換することを発表した。
「モンスターハンター」シリーズは、全世界で累計450万本以上(07年9月30日時点)を出荷する人気ハンティングアクションゲームで、学生を中心に支持を集めている。カプコンは「Wiiの特性を活かし、これまでにない次世代のモンスターハンターを創造するべく、鋭意開発を進めている。新しい魅力を付加することで、シリーズのファンのみならず、幅広いユーザー層に訴求していく」としている。
PS3は、高い価格やソフト不足が原因で販売不振が続いており、ソフト会社では依然としてPS3向けにソフトを開発することに慎重な動きがある。スクウェア・エニックスの「ドラゴンクエスト9」に続く今回の離脱は、年末商戦を見据えた廉価版PS3の投入で巻き返しを図りたいSCEにとって大きな打撃となりそうだ。
2007年10月25日
過去のコラム編集:2001年10月「ときめきメモリアル3、発売へ〜ゲームファンドの再評価〜」Part1
当該のゲーム業界記事は、2001年10月2日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「ときめきメモリアル3、発売へ〜ゲームファンドの再評価〜」の第一章です。
2001年の記事ですので、かなり古い記述になっておりますが、文章の保存を
目的に掲載しておりますので、ご了承下さい。
当時、コナミはゲームソフトの開発費を一般から募集する方法にて
人気ソフト「ときめきメモリアル」を開発いたしました。その時に
使われたスキームが「ゲームファンド」なるファンド形式でした。
このコラムでは「ゲームファンドの意義」を改めて評価するものと
なっております。
第一章:「12月20日発売」
恋愛シミュレーションゲームの代表格である「ときめきメモリアル」シリーズの最新作「ときめきメモリアル3」が2001年12月20日に発売されることになった。コナミは8月30日の発表会にて、そのことを明らかにした。この「ときめきメモリアル」シリーズは1994年にPCエンジン用のゲームソフトとして発売されて以来、累計で300万本を出荷するほどの人気ソフトである。
今回発売される「ときめきメモリアル3」は今までの「ときめきメモリアル」シリーズとは、ちょっと違ったところがある。それは「ゲームファンド ときめきメモリアル」の資金をゲーム開発費に充てている点である。
「ゲームファンドときめきメモリアル」とは、12月20日に発売される「ときめきメモリアル3」と来春発売予定の「ときめきメモリアル Girl's Side」のゲーム開発費として、投資家が資金を出し、その出荷本数に応じて、彼らが受け取る償還金額が決まる投資信託の事である。
当然のことながら、ゲームの出荷が多ければ投資家が受け取る金額は増え、逆に少なければ減る事になる。つまり、この「ゲームファンドときめきメモリアル」を購入した投資家の資金がゲーム開発において重要な役割を果たしているということなのだ。このような、一般の投資家から資金を集め、それをゲームの開発費として投入する試みは日本で初めてであり、その点において他の「ときめきメモリアル」シリーズはもちろん、他のゲームソフトとも違っているのである。
「ゲームファンド ときめきメモリアル」が登場した当時、周りからは高騰を続けているゲーム開発費を少しでも抑えるために一般の投資家から資金を集め、開発リスクを低減したいのであろうと評されることが多かった。
しかし、「ゲームファンド ときめきメモリアル」が持っている意味は、本当にこれだけなのであろうか。一般の投資家からゲーム開発資金を集めるやり方は日本で初めての試みなのであるのに、それ以外には何もないのであろうか。
今回は「ときめきメモリアル3」の発売決定を機に再びクローズアップされた「ゲームファンド ときめきメモリアル」を従来の評価とは違う視点ではもう一度評価をし、このファンドがなぜ生まれたのか、そして今後にどのような影響を与えるのか等について考えてみることにしたい。(つづく)
続きはこちら→第二章「生まれた背景」
2001年の記事ですので、かなり古い記述になっておりますが、文章の保存を
目的に掲載しておりますので、ご了承下さい。
当時、コナミはゲームソフトの開発費を一般から募集する方法にて
人気ソフト「ときめきメモリアル」を開発いたしました。その時に
使われたスキームが「ゲームファンド」なるファンド形式でした。
このコラムでは「ゲームファンドの意義」を改めて評価するものと
なっております。
第一章:「12月20日発売」
恋愛シミュレーションゲームの代表格である「ときめきメモリアル」シリーズの最新作「ときめきメモリアル3」が2001年12月20日に発売されることになった。コナミは8月30日の発表会にて、そのことを明らかにした。この「ときめきメモリアル」シリーズは1994年にPCエンジン用のゲームソフトとして発売されて以来、累計で300万本を出荷するほどの人気ソフトである。
今回発売される「ときめきメモリアル3」は今までの「ときめきメモリアル」シリーズとは、ちょっと違ったところがある。それは「ゲームファンド ときめきメモリアル」の資金をゲーム開発費に充てている点である。
「ゲームファンドときめきメモリアル」とは、12月20日に発売される「ときめきメモリアル3」と来春発売予定の「ときめきメモリアル Girl's Side」のゲーム開発費として、投資家が資金を出し、その出荷本数に応じて、彼らが受け取る償還金額が決まる投資信託の事である。
当然のことながら、ゲームの出荷が多ければ投資家が受け取る金額は増え、逆に少なければ減る事になる。つまり、この「ゲームファンドときめきメモリアル」を購入した投資家の資金がゲーム開発において重要な役割を果たしているということなのだ。このような、一般の投資家から資金を集め、それをゲームの開発費として投入する試みは日本で初めてであり、その点において他の「ときめきメモリアル」シリーズはもちろん、他のゲームソフトとも違っているのである。
「ゲームファンド ときめきメモリアル」が登場した当時、周りからは高騰を続けているゲーム開発費を少しでも抑えるために一般の投資家から資金を集め、開発リスクを低減したいのであろうと評されることが多かった。
しかし、「ゲームファンド ときめきメモリアル」が持っている意味は、本当にこれだけなのであろうか。一般の投資家からゲーム開発資金を集めるやり方は日本で初めての試みなのであるのに、それ以外には何もないのであろうか。
今回は「ときめきメモリアル3」の発売決定を機に再びクローズアップされた「ゲームファンド ときめきメモリアル」を従来の評価とは違う視点ではもう一度評価をし、このファンドがなぜ生まれたのか、そして今後にどのような影響を与えるのか等について考えてみることにしたい。(つづく)
続きはこちら→第二章「生まれた背景」
2007年10月24日
ゲーム情報保管庫:2007年09月27日 コーエーの目指すエンターテインメントサービス戦略とは
インターネット上の情報は、短期間で消滅してしまうことが多いので、なるべく様々な資料を保存していきたいと考え、こちらのカテゴリにて記録していきたいと思います。
http://plusd.itmedia.co.jp/games/articles/0709/27/news083.html
コーエーの目指すエンターテインメントサービス戦略とは
2007年09月27日 17時39分
東京大学で開催されているCEDECの2日目は、コーエー松原氏の基調講演から始まった。松原氏はコーエーの戦略を簡単に3つの点にあると説明する。
東京大学で開催されているゲーム開発者カンファレンス「CESAデベロッパーズカンファレンス 2007」(以下、CEDEC)2日目は、コーエー代表取締役執行役員社長COO・松原健二氏による基調講演「コーエーの目指すエンターテインメントサービス戦略について」から始まった。
松原氏は「信長の野望Online」、「大航海時代Online」、「真・三國無双BB」のプロデュースに従事し、2007年4月より独立行政法人情報処理推進機構未踏ソフトウェア創造事業プロジェクトマネジャーに就任している。
冒頭、来年創立30周年を迎えるコーエーの国内外の従業員数や事業内容に触れた松原氏は、世界の人々の心を豊かにする「世界No.1のエンターテインメント・コンテンツ・プロバイダー」になることであるとビジョンを改めて説明。「歴史シミュレーション」、「タクティカルアクション」、そして「オンライン」という3つのゲームコンテンツが柱であり、歴史モノを得意としていることを改めて紹介する。
昨年の家庭用ゲーム機販売本数では9位にランクインしているものの、増減比ではマイナスで1位の任天堂との差は10倍あまりと大きく開けられていると、2006年度の連結売上高を表示して見せ、自らを「負け組」だったと謙遜してみせる。
現在、ゲーム市場を取り巻く状況は、次世代機が発売されたとはいえ、PS3やXbox 360、Wiiなど、どれもいまだ1千万台にはとどいておらず、携帯ゲーム機のニンテンドーDSが約3千万台、PSPが約2千万を越えている状況。依然として1億台を越すプレイステーション 2が大きく締めている。また、ソフトの販売累計本数では、ニンテンドーDSを例にするとトップ10はすべて任天堂関連が締め、トップ30になってようやく 10タイトルほどサードパーティのタイトルが顔を出す程度だと松原氏は解説する。
WiiとPS3のタイトル販売累計本数の比較でも、Wiiは任天堂のタイトルがやはり強く、サードパーティにとってはスクウェア・エニックスの「ドラゴンクエストソード仮面の女王と鏡の塔」がようやく50万本に届こうかというところ。PS3はサードパーティのタイトルが多く顔を出しているものの、基本的に本数が出ておらず、採算は取れていないと、サードパーティとして今後の戦略が重要だと3つの考え方を提示した。
曰く「事業ポートフォリオに基づく開発、コンテンツ・エクスパンション、グローバル展開」となる。
「事業ポートフォリオに基づく開発」とは、企業として分野別の投資配分を新世代機など新規チャレンジへの“挑戦”は元より、シリーズの新作などで “収益”を確保し、既存シリーズでの“改革”が必要だと呼びかける。また、多様化が進む市場に対応するためにもマルチプラットフォーム化や開発コストの削減は命題だと語る。
とはいえ、マルチプラトフォーム戦略も簡単ではないと松原氏。日本や欧米でのハード分布地域差への対応はもちろんのこと、新世代機――Xbox 360とPS3を比較してみても、同一CPU3個のXbox 360に対して、PS3はGPU1個にSPU7個のCellと異なり、開発者の慣れを含め、適応する開発環境の整備が急務なのだ。
また、デザインやプログラム、CG開発など次世代機への技術革新に対応すると、開発コスト削減がついてまわると松原氏。PS2とPS3を比べてみるとソフト開発費がPS2が1億円に対し、PS3が20億円と約20倍の開きがあり、採算分岐点も高くなると、一例を出して説明する。とはいえ、これはひとつの例に過ぎず、開発コストは開発工数の適応化でそれほど大きな開きを出さないように留めることもできると表で解説する。
開発コストおよび工数削減には開発環境の整備、特にミドルウェアをどう取り込んでいくかだとコーエーカナダでの実例を紹介する。コーエーカナダでは、アンリアルエンジンを導入したことで、ユーザーが直接確認できるグラフィックやAIなどランタイムとしての機能の充実や、マルチプラットフォームへの対応、そしてユーザーには見えないところでボトルネックの見直しをはかり、開発工数を減らすためのプロセスの見直しも容易だったと、国内がまだまだ遅れている点を挙げる。
コーエーとしては、家庭用ゲーム機の現行機であるPS3、Xbox 360、Wiiともに、PS2がそうなったように、どこかが全世界的にひとり勝ちになるということはここ数年はないと判断。地域によっての特性が出たまま推移すると見ている。こうした現状を生き残るためにも、いっそうのマルチプラットフォーム化およびグローバル化への道を推進していくものと思われる。いわゆる歴史モノを得意としているコーエーは、欧米においては新たな柱を創造し、国内外ともにタイトルラインアップの充実を命題としている。
2007年10月22日
ゲーム情報保管庫:「Xbox360」を5000円値下げ マイクロソフト
インターネット上の情報は、短期間で消滅してしまうことが多いので、なるべく様々な資料を保存していきたいと考え、こちらのカテゴリにて記録していきたいと思います。
「Xbox360」を5000円値下げ マイクロソフト
2007.10.22 18:14
マイクロソフト日本法人は22日、家庭用ゲーム機「Xbox360」の日本での希望小売価格を11月1日に改定し、4995円値下げして3万4800円にすると発表した。家庭用ゲーム機では任天堂の「Wii」が独走しており、マイクロソフトは値下げにより年末商戦で巻き返しを図る。
値下げにあたってマイクロソフトは、年末・年始の商戦と重なる11月1日から来年1月末の期間限定で、本体にゲームソフト2本を同梱する特典を加える。また、機能を絞った廉価版の機種「コアシステム」も、11月から2000円下げた2万7800円にする。
家庭用ゲーム機の販売はWiiが好調を維持し、マイクロソフトとソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が追う構図。
SCEも「プレイステーョン3」を11月11日から5000円値下げするとともに、4万円を下回る廉価版機種の投入を表明した。Xbox360は米国と欧州でともに8月に値下げを実施。出遅れ感があった日本市場でも、値下げやソフト充実でテコ入れを狙う。
2007年10月21日
過去のコラム編集:2001年10月「スクウェアの決断 〜本業回帰へ〜」Part4
当該のゲーム業界記事は、2001年10月19日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「スクウェアの決断 〜本業回帰へ〜」の第四章(最終章)です。
2001年の記事ですので、かなり古い記述になっておりますが、文章の保存を
目的に掲載しておりますので、ご了承下さい。
第四章(最終章):「再建へ」
『ゲームに特化してこなかったことで開発力が落ちている』(Mainichi INTERACTIVE ゲームクエスト「スクウェアにSCEが149億円出資 ゲーム立て直しへ」 2001年10月9日)。スクウェアの鈴木社長は、映画事業やオンライン事業に傾倒し過ぎていたこれまでの方針の弊害が本業に現れていることを認めた。
確かに、蓋をあけて見なければ分からない、リスクの高い映画事業に、しかもたった一つの映画作品に160億円もの巨費を投じるのは尋常ではない。スクウェアをこれまで支えてきたゲームソフト「ファイナルファンタジー」(FF)シリーズでさえ『開発費は30−40億円程度かかる』(ZDNet 「スクウェア−映画事業のリスクをどう見るか」 2001年5月24日)というのであるから、映画「FF」の制作費が如何に常軌を逸したものであったのかが良く分かる。
単純に考えて、映画の制作費だけで実にゲームソフト「FF」を4作品分も作ることできてしまう計算になる。それほどまで力を入れて映画事業を進め、しかもオンライン事業「プレイオンライン」にも『先行投資が大きかった』(2001年10月10日日経産業新聞)と経営陣に言わしめるほどの投資をしてきたのであるから、ゲーム開発が疎かになっていたとする鈴木社長のコメントも分かる気がする。
ただ、『スクウェアの博打』(ウィット・キャピタル証券 「カンパニーメモ:メディア&コンテンツ スクウェア」 田島健 2000年11月21日)とまで呼ばれた二つの事業が会社の経営に大きな打撃を与えた今、スクウェアに残された道は博打を止め、後回しになっていたゲーム開発に再び本腰を入れる以外にない。鈴木社長は言う。『これからはゲームの制作が中心となる、本業回帰を行ないます』(ファミ通.com 「SCEとスクウェアが緊急記者会見!」 2001年10月9日)と。
しかし、唯一気になるのは、その具体策がまだ示されていない点だ。ゲーム開発部門を強化するためには、当然掛け声だけでは駄目なはずである。口では開発部門を重視するとは言いつつも、具体的にどうやって強化するのかが無ければ、それは御題目でしかない。
本当に開発力を強化したくば、例えば開発部門への大幅な権限の委譲や、開発資金・人員の増加などの策を発表すべきなのではないのか。それを示さない所が、再建への道は決して平坦ではないことを窺わせる。
「優勝することは難しい。連覇する事はもっと難しい。だが、一番難しいのは一旦失った覇権を取り戻すことだ」。これはプロ野球で活躍し、その後も巨人・西鉄・大洋などの球団監督を務め、数々のチームを優勝に導いた名将・故三原脩の名言である。
三原は要するに「一度掴んだ栄光を再び取り戻す事ほど難しいものはない」と言っているのだ。鈴木社長は会見で『ミリオンセラーを多数発売して輝いていた時代のスクウェアを取り戻す』(2001年10月10日日経産業新聞)と意気込んでいたが、それはスクウェアにとって一番難しいことなのかもしれない。
だが、スクウェアには、その“イバラの道”を突き進む以外に道は残されていないのである。(おわり)
2001年の記事ですので、かなり古い記述になっておりますが、文章の保存を
目的に掲載しておりますので、ご了承下さい。
第四章(最終章):「再建へ」
『ゲームに特化してこなかったことで開発力が落ちている』(Mainichi INTERACTIVE ゲームクエスト「スクウェアにSCEが149億円出資 ゲーム立て直しへ」 2001年10月9日)。スクウェアの鈴木社長は、映画事業やオンライン事業に傾倒し過ぎていたこれまでの方針の弊害が本業に現れていることを認めた。
確かに、蓋をあけて見なければ分からない、リスクの高い映画事業に、しかもたった一つの映画作品に160億円もの巨費を投じるのは尋常ではない。スクウェアをこれまで支えてきたゲームソフト「ファイナルファンタジー」(FF)シリーズでさえ『開発費は30−40億円程度かかる』(ZDNet 「スクウェア−映画事業のリスクをどう見るか」 2001年5月24日)というのであるから、映画「FF」の制作費が如何に常軌を逸したものであったのかが良く分かる。
単純に考えて、映画の制作費だけで実にゲームソフト「FF」を4作品分も作ることできてしまう計算になる。それほどまで力を入れて映画事業を進め、しかもオンライン事業「プレイオンライン」にも『先行投資が大きかった』(2001年10月10日日経産業新聞)と経営陣に言わしめるほどの投資をしてきたのであるから、ゲーム開発が疎かになっていたとする鈴木社長のコメントも分かる気がする。
ただ、『スクウェアの博打』(ウィット・キャピタル証券 「カンパニーメモ:メディア&コンテンツ スクウェア」 田島健 2000年11月21日)とまで呼ばれた二つの事業が会社の経営に大きな打撃を与えた今、スクウェアに残された道は博打を止め、後回しになっていたゲーム開発に再び本腰を入れる以外にない。鈴木社長は言う。『これからはゲームの制作が中心となる、本業回帰を行ないます』(ファミ通.com 「SCEとスクウェアが緊急記者会見!」 2001年10月9日)と。
しかし、唯一気になるのは、その具体策がまだ示されていない点だ。ゲーム開発部門を強化するためには、当然掛け声だけでは駄目なはずである。口では開発部門を重視するとは言いつつも、具体的にどうやって強化するのかが無ければ、それは御題目でしかない。
本当に開発力を強化したくば、例えば開発部門への大幅な権限の委譲や、開発資金・人員の増加などの策を発表すべきなのではないのか。それを示さない所が、再建への道は決して平坦ではないことを窺わせる。
「優勝することは難しい。連覇する事はもっと難しい。だが、一番難しいのは一旦失った覇権を取り戻すことだ」。これはプロ野球で活躍し、その後も巨人・西鉄・大洋などの球団監督を務め、数々のチームを優勝に導いた名将・故三原脩の名言である。
三原は要するに「一度掴んだ栄光を再び取り戻す事ほど難しいものはない」と言っているのだ。鈴木社長は会見で『ミリオンセラーを多数発売して輝いていた時代のスクウェアを取り戻す』(2001年10月10日日経産業新聞)と意気込んでいたが、それはスクウェアにとって一番難しいことなのかもしれない。
だが、スクウェアには、その“イバラの道”を突き進む以外に道は残されていないのである。(おわり)
2007年10月18日
ゲーム情報保管庫:ソニー<6758.T>が東芝<6502.T>への半導体設備売却発表、譲渡額千数百億円に
インターネット上の情報は、短期間で消滅してしまうことが多いので、なるべく様々な資料を保存していきたいと考え、こちらのカテゴリにて記録していきたいと思います。
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK003742220071018?rpc=144
ソニー<6758.T>が東芝<6502.T>への半導体設備売却発表、譲渡額千数百億円に
2007年 10月 18日 18:29 JST
[東京 18日 ロイター] ソニー(6758.T: 株価, ニュース, レポート)と東芝(6502.T: 株価, ニュース, レポート) は18日、ソニーのゲーム機「プレイステーション(PS)3」向けの高性能半導体の生産設備を東芝へ売却することで両社が基本合意したと正式発表した。両社は今後、詳細な売却条件について協議し、2007年度中のできるだけ早い時期に契約締結を目指すとしている。売却額は今後詰めるが、1千数百億円程度になる見込み。
売却対象は、ソニーセミコンダクタ九州の長崎テクノロジーセンター(長崎県諫早市)にある生産設備と、ソニーが東芝大分工場(大分市)で一部所有する設備。長崎ではPS3の頭脳に当たる「セル」を、大分ではPS3用の画像処理システムLSI(大規模集積回路)の「RSX」などをそれぞれ生産している。
設備の所有権移動に伴い、東芝とソニー、ソニーのゲーム子会社ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の3社が、セルやRSXの製造を担う共同出資会社(資本金1億円予定)を08年4月1日に設立する。出資比率は東芝60%、ソニー20%、SCE20%。新会社の最高経営責任者(CEO)は東芝から選任する。
セルは、ソニーと東芝、米IBM(IBM.N: 株価, 企業情報, レポート) が共同開発した。現在は回路線幅が65ナノ(10億分の1)メートルの微細加工技術を用いて製造されている。東芝は1─2年後に45ナノ技術でのセルの生産を始める見込み。ソニーの生産設備買収により、東芝はシステムLSI事業をフラッシュメモリーに次ぐ半導体事業の柱に育てる考えだ。またソニーは、45ナノ技術への移行で東芝と協力しつつ、IBMとも米国で共同開発を進めるとしている。
過去のコラム編集:2001年10月「スクウェアの決断 〜本業回帰へ〜」Part3
当該のゲーム業界記事は、2001年10月19日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「スクウェアの決断 〜本業回帰へ〜」の第三章です。
2001年の記事ですので、かなり古い記述になっておりますが、文章の保存を
目的に掲載しておりますので、ご了承下さい。
第三章:「スクウェアの今後」
SCEをオーナーの宮本氏に次ぐ第二位の大株主に迎えたことで、スクウェアの今後はどうなるのであろうか。一般的には何らかの影響があると見られている。特に『SCE以外のゲーム機へのソフト供給が難しくなることが予想される』(LYCOSニュース 「スクウェアが大幅高−SCEの資本参加を好感(ブルームバーグ)」 2001年10月10日10時43分)という声がその最たるものだろう。では、本当にSCEが大株主になったことでSCE以外のゲーム機にソフトを供給できなくなってしまうのか。
SCEの久多良木社長は今回の出資に関して次のように述べた。『スクウェアさんについては、プレイステーション、プレイステーション2だけでソフトを作ってくれ、と頼むよりも、とにかくおもしろくて、誰でも楽しめるソフトを出してほしいとお願いします』(ファミ通.com 「SCEとスクウェアが緊急記者会見!」 2001年10月9日)。この主張をそのまま受け取ると、スクウェアがプレイステーション(PS)・プレイステーション2(PS2)以外のゲーム機にソフトを供給する事に異論は無いと言っているように聞こえる。
スクウェアの鈴木社長も任天堂のGBAなどの携帯ゲーム機にソフトを供給するべく、任天堂と交渉をしている、と会見で明らかにしていることからもSCEはPS・PS2以外にはソフト供給を認めないわけではないと思われる。では、なぜSCEはそこまで柔軟な姿勢でいるのか。その一つの理由として、SCEの微妙な出資比率が背景にあるからではないだろうか。
SCEがスクウェアに出資した金額は約148億円であり、出資比率は18.6%である。しかし、この「18.6%」という数字は企業会計上、非常に微妙な数字なのである。世界で最も支持されているアメリカの会計基準を用いて考えれば、出資比率が20%に満たない企業に対して出資元の企業は『実質的な影響を与えることができない』(P148 「MBAファイナンス」 グロービス・マネジメント・インスティテュート ダイヤモンド社 1999年)とされている。
逆に出資比率が20%以上50%まで上昇すると『政策レベルで実質的な影響を与えることができる』(同)とされ、出資元企業の“関連会社”と呼ばれる。仮にSCEが20%の出資比率を確保していれば、スクウェアを”関連会社”として扱う事ができるのだが、出資比率18.6%では、出資先企業に実質的な影響を与え、関連会社化できるとされる20%にはわずかではあるが及ばないのだ。これでは、SCEはスクウェアに対して影響力を行使することができない。
しかも、筆頭株主にはSCEの持ち株の倍以上を保有するオーナーの宮本氏が依然として控えているのだ。どちらがスクウェアに対して強い影響力を有しているのかは明白であろう。
以上の事柄をまとめると、スクウェアがSCEに出資を仰いだことにより、SCEの政策に縛られPS・PS2以外のゲーム機にゲームソフトを供給する事ができないという事態には陥らないと考えられる。久多良木社長も、スクウェアには影響を与えられないことは理解しているようで、今回の出資に関して『経営権をとる云々ではない』(NIKKEI NET 「“ソフト開発力が落ちていた”――スクウェア社長らの会見内容」 2001年10月9日)と述べている。
SCEの出資によってスクウェアの行動に「今後チェックが入る」との懸念は杞憂に終わりそうである。(つづく)
→続きはこちら:最終章「再建へ」
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第三章:「スクウェアの今後」
SCEをオーナーの宮本氏に次ぐ第二位の大株主に迎えたことで、スクウェアの今後はどうなるのであろうか。一般的には何らかの影響があると見られている。特に『SCE以外のゲーム機へのソフト供給が難しくなることが予想される』(LYCOSニュース 「スクウェアが大幅高−SCEの資本参加を好感(ブルームバーグ)」 2001年10月10日10時43分)という声がその最たるものだろう。では、本当にSCEが大株主になったことでSCE以外のゲーム機にソフトを供給できなくなってしまうのか。
SCEの久多良木社長は今回の出資に関して次のように述べた。『スクウェアさんについては、プレイステーション、プレイステーション2だけでソフトを作ってくれ、と頼むよりも、とにかくおもしろくて、誰でも楽しめるソフトを出してほしいとお願いします』(ファミ通.com 「SCEとスクウェアが緊急記者会見!」 2001年10月9日)。この主張をそのまま受け取ると、スクウェアがプレイステーション(PS)・プレイステーション2(PS2)以外のゲーム機にソフトを供給する事に異論は無いと言っているように聞こえる。
スクウェアの鈴木社長も任天堂のGBAなどの携帯ゲーム機にソフトを供給するべく、任天堂と交渉をしている、と会見で明らかにしていることからもSCEはPS・PS2以外にはソフト供給を認めないわけではないと思われる。では、なぜSCEはそこまで柔軟な姿勢でいるのか。その一つの理由として、SCEの微妙な出資比率が背景にあるからではないだろうか。
SCEがスクウェアに出資した金額は約148億円であり、出資比率は18.6%である。しかし、この「18.6%」という数字は企業会計上、非常に微妙な数字なのである。世界で最も支持されているアメリカの会計基準を用いて考えれば、出資比率が20%に満たない企業に対して出資元の企業は『実質的な影響を与えることができない』(P148 「MBAファイナンス」 グロービス・マネジメント・インスティテュート ダイヤモンド社 1999年)とされている。
逆に出資比率が20%以上50%まで上昇すると『政策レベルで実質的な影響を与えることができる』(同)とされ、出資元企業の“関連会社”と呼ばれる。仮にSCEが20%の出資比率を確保していれば、スクウェアを”関連会社”として扱う事ができるのだが、出資比率18.6%では、出資先企業に実質的な影響を与え、関連会社化できるとされる20%にはわずかではあるが及ばないのだ。これでは、SCEはスクウェアに対して影響力を行使することができない。
しかも、筆頭株主にはSCEの持ち株の倍以上を保有するオーナーの宮本氏が依然として控えているのだ。どちらがスクウェアに対して強い影響力を有しているのかは明白であろう。
以上の事柄をまとめると、スクウェアがSCEに出資を仰いだことにより、SCEの政策に縛られPS・PS2以外のゲーム機にゲームソフトを供給する事ができないという事態には陥らないと考えられる。久多良木社長も、スクウェアには影響を与えられないことは理解しているようで、今回の出資に関して『経営権をとる云々ではない』(NIKKEI NET 「“ソフト開発力が落ちていた”――スクウェア社長らの会見内容」 2001年10月9日)と述べている。
SCEの出資によってスクウェアの行動に「今後チェックが入る」との懸念は杞憂に終わりそうである。(つづく)
→続きはこちら:最終章「再建へ」
2007年10月16日
過去のコラム編集:2001年10月「スクウェアの決断 〜本業回帰へ〜」Part2
当該のゲーム業界記事は、2001年10月19日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「スクウェアの決断 〜本業回帰へ〜」の第二章です。
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第二章:「“大株主SCE”をなぜ誕生させたのか」
スクウェアが映画事業の失敗によって生じた資金不足を埋めるべく行動した結果、「大株主SCE」が誕生する事になった。では、なぜスクウェアはSCEを選んだのであろうか。ここでは、スクウェアがSCEを資金調達先として選んだ経緯を推察してみることにしたい。
巨額の資金が不足し、業界関係者に『資金繰りに窮していた』(2001年10月10日日経金融新聞)と言われるほどの状況を脱するために、スクウェアはあらゆる資金調達方法を模索していたと思われる。それだけに、最初から「SCEに大株主になってもらうことで資金不足を解消する」という一つの方法しかもっていなかったとは考えにくい。
SCE以外の企業からの出資金や、一般投資家からの出資金あるいは銀行からの借入金で資金不足を解決する道も当然検討していただろう。その中で、スクウェアがあえてSCEを選んだ理由は、SCE以外にスクウェアの資金需要を満たしてくれる所が無かったからではないだろうか。
スクウェアが複数挙げていた資金調達先として、まず始めに消えたのが銀行であろう。一般的にゲーム会社は銀行借入をあまりしない。しない、というより「借りられない」と言ったほうが良いのかもしれない。
それはゲーム会社が行っているゲームソフト事業の不安定さなどを銀行に嫌がられているからだ。そのために銀行は短期間の資金貸出には応じるものの長期間の貸出は渋る傾向にある。多くのゲーム会社の長期の借入金は数億円から数十億円の間だ。無借金企業だってある。
スクウェアの欲している資金はおおよそ映画事業で失った金額であろう。すると、100億円を軽く超えてしまう。この巨額の資金を借り受けるのは簡単ではない。こういったことを考えると、スクウェアの執るべき策はどこかの企業からの出資、もしくは一般投資家からの出資に頼る以外に無くなってしまう。
だが、日経平均株価が一万円の大台を割り、スクウェア株も上場来安値を更新している状況では、一般投資家から新たな出資は期待できない。それでは、スクウェアが提携しているナムコやエニックスに出してもらうという方法もあるが、両社の企業規模や現状を考えると難しい。ナムコはようやっと赤字経営から立ち直ってきた所であるし、エニックスは今期減収が見込まれているのだ。自社の経営でさえ苦しいのに、他の企業を助けるための資金を出すなど無理な話なのだ。
そうなると、ゲーム業界の中で企業規模が大きく、資金が豊富にある企業が有力候補になる。例えば、コナミや任天堂・SCEなどであろう。しかし、コナミは既にタカラやハドソンなどの上場企業に多額の資金を出資済みであるし、任天堂との関係改善の兆しが見えない状況下では、スクウェアに残された道はSCEに頼む以外に方法が無かったのである。
スクウェアが大株主としてSCEを選んだ理由を推察すると、八方ふさがりのスクウェアを救えるのはSCE以外にいなかった、と言えるだろう。では、SCE を大株主として迎える事で救われたスクウェアは、今後どうなるのであろうか。それを次に考える事にしたい。(つづく)
続きはこちら→第三章:「スクウェアの今後」
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第二章:「“大株主SCE”をなぜ誕生させたのか」
スクウェアが映画事業の失敗によって生じた資金不足を埋めるべく行動した結果、「大株主SCE」が誕生する事になった。では、なぜスクウェアはSCEを選んだのであろうか。ここでは、スクウェアがSCEを資金調達先として選んだ経緯を推察してみることにしたい。
巨額の資金が不足し、業界関係者に『資金繰りに窮していた』(2001年10月10日日経金融新聞)と言われるほどの状況を脱するために、スクウェアはあらゆる資金調達方法を模索していたと思われる。それだけに、最初から「SCEに大株主になってもらうことで資金不足を解消する」という一つの方法しかもっていなかったとは考えにくい。
SCE以外の企業からの出資金や、一般投資家からの出資金あるいは銀行からの借入金で資金不足を解決する道も当然検討していただろう。その中で、スクウェアがあえてSCEを選んだ理由は、SCE以外にスクウェアの資金需要を満たしてくれる所が無かったからではないだろうか。
スクウェアが複数挙げていた資金調達先として、まず始めに消えたのが銀行であろう。一般的にゲーム会社は銀行借入をあまりしない。しない、というより「借りられない」と言ったほうが良いのかもしれない。
それはゲーム会社が行っているゲームソフト事業の不安定さなどを銀行に嫌がられているからだ。そのために銀行は短期間の資金貸出には応じるものの長期間の貸出は渋る傾向にある。多くのゲーム会社の長期の借入金は数億円から数十億円の間だ。無借金企業だってある。
スクウェアの欲している資金はおおよそ映画事業で失った金額であろう。すると、100億円を軽く超えてしまう。この巨額の資金を借り受けるのは簡単ではない。こういったことを考えると、スクウェアの執るべき策はどこかの企業からの出資、もしくは一般投資家からの出資に頼る以外に無くなってしまう。
だが、日経平均株価が一万円の大台を割り、スクウェア株も上場来安値を更新している状況では、一般投資家から新たな出資は期待できない。それでは、スクウェアが提携しているナムコやエニックスに出してもらうという方法もあるが、両社の企業規模や現状を考えると難しい。ナムコはようやっと赤字経営から立ち直ってきた所であるし、エニックスは今期減収が見込まれているのだ。自社の経営でさえ苦しいのに、他の企業を助けるための資金を出すなど無理な話なのだ。
そうなると、ゲーム業界の中で企業規模が大きく、資金が豊富にある企業が有力候補になる。例えば、コナミや任天堂・SCEなどであろう。しかし、コナミは既にタカラやハドソンなどの上場企業に多額の資金を出資済みであるし、任天堂との関係改善の兆しが見えない状況下では、スクウェアに残された道はSCEに頼む以外に方法が無かったのである。
スクウェアが大株主としてSCEを選んだ理由を推察すると、八方ふさがりのスクウェアを救えるのはSCE以外にいなかった、と言えるだろう。では、SCE を大株主として迎える事で救われたスクウェアは、今後どうなるのであろうか。それを次に考える事にしたい。(つづく)
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2007年10月15日
過去のコラム編集:2001年10月「スクウェアの決断 〜本業回帰へ〜」Part1
当該のゲーム業界記事は、2001年10月19日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「スクウェアの決断 〜本業回帰へ〜」の第一章です。
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第一章:「150億円」
ゲームソフトメーカー大手のスクウェアは、2001年10月9日にソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)からの出資を受け入れたと発表した。出資金は148億9600万円にも上る。SCEがスクウェアの総発行済株式数のニ割に近い大量の株式を新たに買う事で、今回のスクウェアへの資本参加が成立した。
これによって、SCEはスクウェアの全株式の18.6%を保有することになり、創業者でありオーナーでもある宮本雅史氏の40.98%に次ぐ第二位の大株主になった。スクウェアは、この度の増資はゲームソフト開発力と財務体質の強化を目的に行われたものだとしている。
スクウェアがSCEに出資を要請した背景には、何と言っても映画事業の大失敗がある。映画「ファイナルファンタジー」は1億3700万ドル(約164億円)もの莫大な資金と約200人のクリエイターを投入しながら、北米での興行収入は目標の三分の一の3000万ドル、日本での収入は『目標の9億円には届かない見通しだ』(asahi.com 「CG映画“FF”不振でスクウェアが130億円の特損」 2001年10月4日)と報じられるほどの惨憺たる結果しか残せなかった。
しかも、日本での上映は、あまりの不人気を反映して3週間で打ち切りになるという。スタジオジブリが制作し宮崎駿氏が監督を務める、映画「千と千尋の神隠し」が7月に公開以来、日本映画最高の興行収入を挙げているのとは、まさに正反対である。
映画「ファイナルファンタジー」の想定外の不振は、スクウェアの経営を直撃した。スクウェアはSCEからの出資を受けると発表する一週間ほど前の同月2日に、映画制作費の同社負担分の139億円が回収不能になる可能性があると公表しているのだ。この発表によって、スクウェアは2002年3月期も前期に引き続いて赤字になることがほぼ確実になった。その赤字額は前期比三倍以上の100億円をも上回ると見られている。
100億円を超す赤字額は、スクウェアの手持資金の不足を招き、財務体質を非常に弱体化させることになる。特に、資金不足は大問題だ。業界関係者の中にはスクウェアの資金不足について『来期以降のソフト開発資金が底をつく』(2001年10月10日 日本経済新聞)と見ている人もいるほどであるから、その深刻さが窺える。
資金不足でゲームソフトメーカーがゲームを開発できなかったらどうなるのか。同じソフトメーカーであるハドソンは資金難によってゲーム開発費不足に悩まされたメーカーの一つだ。ハドソンはメインバンクであった北海道拓殖銀行破綻後、資金不足に悩まされた。
資金不足による弊害は、ゲーム開発が滞り、新規開発が出来なくなるという形で現れた。その結果、ハドソンから発売されたゲームタイトル数は激減、ゲームソフトが少なくなれば当然売上も減り、1999年2月期に170億円あった売上は2001年2月期には半分以下の70億円台になってしまったのである。
こうした前例があるからこそ、スクウェアはゲーム開発ができるだけの充分な資金を必要としたのである。だが、その調達先としてSCEを選んだ理由はどこにあるのであろうか。それらを次に考えてみたい。(つづく)
続きはこちら→第二章:「“大株主SCE”をなぜ誕生させたのか」
2001年の記事ですので、かなり古い記述になっておりますが、文章の保存を
目的に掲載しておりますので、ご了承下さい。
第一章:「150億円」
ゲームソフトメーカー大手のスクウェアは、2001年10月9日にソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)からの出資を受け入れたと発表した。出資金は148億9600万円にも上る。SCEがスクウェアの総発行済株式数のニ割に近い大量の株式を新たに買う事で、今回のスクウェアへの資本参加が成立した。
これによって、SCEはスクウェアの全株式の18.6%を保有することになり、創業者でありオーナーでもある宮本雅史氏の40.98%に次ぐ第二位の大株主になった。スクウェアは、この度の増資はゲームソフト開発力と財務体質の強化を目的に行われたものだとしている。
スクウェアがSCEに出資を要請した背景には、何と言っても映画事業の大失敗がある。映画「ファイナルファンタジー」は1億3700万ドル(約164億円)もの莫大な資金と約200人のクリエイターを投入しながら、北米での興行収入は目標の三分の一の3000万ドル、日本での収入は『目標の9億円には届かない見通しだ』(asahi.com 「CG映画“FF”不振でスクウェアが130億円の特損」 2001年10月4日)と報じられるほどの惨憺たる結果しか残せなかった。
しかも、日本での上映は、あまりの不人気を反映して3週間で打ち切りになるという。スタジオジブリが制作し宮崎駿氏が監督を務める、映画「千と千尋の神隠し」が7月に公開以来、日本映画最高の興行収入を挙げているのとは、まさに正反対である。
映画「ファイナルファンタジー」の想定外の不振は、スクウェアの経営を直撃した。スクウェアはSCEからの出資を受けると発表する一週間ほど前の同月2日に、映画制作費の同社負担分の139億円が回収不能になる可能性があると公表しているのだ。この発表によって、スクウェアは2002年3月期も前期に引き続いて赤字になることがほぼ確実になった。その赤字額は前期比三倍以上の100億円をも上回ると見られている。
100億円を超す赤字額は、スクウェアの手持資金の不足を招き、財務体質を非常に弱体化させることになる。特に、資金不足は大問題だ。業界関係者の中にはスクウェアの資金不足について『来期以降のソフト開発資金が底をつく』(2001年10月10日 日本経済新聞)と見ている人もいるほどであるから、その深刻さが窺える。
資金不足でゲームソフトメーカーがゲームを開発できなかったらどうなるのか。同じソフトメーカーであるハドソンは資金難によってゲーム開発費不足に悩まされたメーカーの一つだ。ハドソンはメインバンクであった北海道拓殖銀行破綻後、資金不足に悩まされた。
資金不足による弊害は、ゲーム開発が滞り、新規開発が出来なくなるという形で現れた。その結果、ハドソンから発売されたゲームタイトル数は激減、ゲームソフトが少なくなれば当然売上も減り、1999年2月期に170億円あった売上は2001年2月期には半分以下の70億円台になってしまったのである。
こうした前例があるからこそ、スクウェアはゲーム開発ができるだけの充分な資金を必要としたのである。だが、その調達先としてSCEを選んだ理由はどこにあるのであろうか。それらを次に考えてみたい。(つづく)
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2007年10月10日
ゲーム情報保管庫:PS3:新モデル3万9980円を11月11日に発売 現行機も5000円値下げ
インターネット上の情報は、短期間で消滅してしまうことが多いので、なるべく様々な資料を保存していきたいと考え、こちらのカテゴリにて記録していきたいと思います。
http://mainichi.jp/enta/mantan/news/20071009mog00m200024000c.html
PS3:新モデル3万9980円を11月11日に発売 現行機も5000円値下げ
ソニー・コンピュータエンタテインメントは9日、家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)3」の新モデルを11月11日から3万9980円で発売することを明らかにした。現行機らもハードディスク容量20GB版を4万4980円、60GB版を5万4980円にそれぞれ5000円値下げし、10 月17日から売り出す。
新モデルのPS3は、性能や外見などは従来機とほぼ同じだが、PS2用ソフトとの互換性がなく、USB端子も従来の4つから2つに減らしている。ハードディスク容量は40GBで、黒と白の2色を発売する。汎用性を落とすことで、低価格を実現した。
PS3は06年11月、スパコン並みの半導体に、次世代DVDのブルーレイ・ディスクを搭載した家庭用ゲーム機。価格の高さ、ソフト不足がネックとなり、任天堂の家庭用ゲーム機「Wii」に大きく水をあけられていた。【河村成浩】
ゲーム情報保管庫:PS3:解説 待望の値下げも「Wii」優位は変わらず
インターネット上の情報は、短期間で消滅してしまうことが多いので、なるべく様々な資料を保存していきたいと考え、こちらのカテゴリにて記録していきたいと思います。
http://mainichi.jp/enta/mantan/game/news/20071009mog00m200049000c.html
PS3:解説 待望の値下げも「Wii」優位は変わらず
家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)3」の新モデルが11月に3万9980円で登場する。現行価格から1万円以上の大幅値下げにソフトメーカーは歓迎しているが、任天堂のゲーム機「Wii」の優位は動かないという見方が大勢を占めている。
PS3は06年春の価格発表から「高い」と言われ続けるなどゲームメーカーから“圧力”を受けてきた。発売を控えた06年秋のゲームショウでは、異例の「発売前の約1万円値下げ」を発表し、そして発売の1年後にさらに1万円の値下げを強いられる結果となった。ゲームメーカーからは「よくがんばっている」と好意的な反応だが、PS3とWiiの年末商戦については「ソフトの充実しているWiiの優位は動かない」(大手ゲームメーカー社員)などと口をそろえる。
新モデルのPS3が従来品と違うのは、PS2のソフトの互換性がなく、USB端子2つに減った点だ。この点について別の大手ゲームメーカー社員は「PS2は行き渡っているし、USB端子が減ったことも影響ない。むしろ価格が下がったのは大きい。ブルーレイ・ディスク再生機と考えれば、家電として買う人もいる」と一定の評価をする。一方で中小ゲームメーカーの社員は「値下げは良いことだが、9月のゲームショウで発表したほうが良かったのでは? PS3は制作も大変で、作るゲームメーカーも限られるなどソフトの数がそろっていないのもネック」と疑問を投げる。
ゲーム雑誌大手のエンターブレインによると、PS3の国内販売数(9月30日段階)は約121万台に対して、Wiiは約357万台と3倍の差がある。レンタルビデオチェーンを運営する「TSUTAYA」で、加盟店に商品提案をしている松尾武人マーチャンダイザーは、「これまで家族会議にかけられていたPS3が、値下げでサラリーマンの小遣いで手を出せるなど、買いやすくなった。ただ、のびしろがあるのは年末に大型タイトルを出し、子供たちが購入するWii」と分析している。
国内に先駆けて、欧州では10月10日から新モデルのPS3が投入されるが、海外はマイクロソフトのXbox360が値下げし、さらに人気ゲームソフトのセット版を出すなど攻勢を強めている。PS3の「いばらの道」はまだ続きそうだ。【河村成浩、立山夏行】
2007年10月9日
ゲーム情報保管庫:カプコン:「モンスターハンター3」Wiiへ“移籍” PS3版は開発中止
インターネット上の情報は、短期間で消滅してしまうことが多いので、なるべく様々な資料を保存していきたいと考え、こちらのカテゴリにて記録していきたいと思います。
http://mainichi.jp/enta/mantan/news/20071010mog00m200037000c.html
カプコン:「モンスターハンター3」Wiiへ“移籍” PS3版は開発中止
カプコンは10日、人気ゲーム「モンスターハンター」シリーズの最新作「モンスターハンター3(トライ)」をWii向けに発売することを明らかにした。発売時期と価格は未定。同社はこれまで同作品をPS3向けに開発していたが、PS3版の開発は取りやめる。
「モンスターハンター」は、仲間と協力して巨大モンスターを倒すオンライン対応のアクションゲーム。これまでPS2用「2(ドス)」やPSP用「ポータブル2」で発売され、100万本以上を出荷している人気のゲームだった。【河村成浩】
2007年10月10日
2007年10月07日
最新のコラム:2007年6月「なぜ排除の論理を選んだのか? 〜長期政権が崩れるとき〜」Part4
当該のゲーム業界記事は、2007年6月26日に「ゲームいろいろ情報」のメールマガジン&ホームページにて掲載された連載記事「なぜ排除の論理を選んだのか? 〜長期政権が崩れるとき〜」の第四章(最終章)です。
プレイステーション2の成功により、ゲーム市場を手中に収めたはずのソニーとSCEはなぜ失敗してしまったのでしょうか?今回のコラムではその原因を追及してみたいと思います。
第四章(最終章):「なぜ排除の論理を持ち出すのか」
ゲーム市場における覇権が長期になると、任天堂時代であってもSCE時代であっても様々な綻びが出始めるようになる。端的にそれを読み取れることができるのは市場規模の変動ではないだろうか。問題があれば市場規模は落ち込むであろうし、上手くいっていれば市場規模は成長を続ける可能性が高いからだ。
任天堂時代における綻びは1994年頃であろう。1990年にスーパーファミコンが登場して以来、ゲーム市場は右肩上がりの成長を続けていたが1994年のゲームソフト出荷額は突如として前年比約16%減の3035億円と落ち込み、91年の水準である3123億円をさらに下回る結果となった(注18)。
一方、SCE時代の場合は2004年度前後に最も顕著に現れた。PS2が登場した2000年度のゲームソフト市場は3678億円であったが、その年から市場は毎年のように縮小し2004年度には3225億円にまで落ち込んだ。しかしそれと反比例するかのようにPS2対応ソフトの販売本数は2000年度以降、年々増加し続けており、市場が落ち込んだはずの2004年度には過去最多の約3202万本を販売していたのだ(注19)。結果としてPS2は市場全体を大きく成長させる牽引役にはなりきれなかったと言えるだろう。
市場規模が突如として3年前の水準を割り込んだり、販売本数を大きく伸ばしながらもそれが市場全体の拡大に結びつかないのは、覇権を握るハードメーカーとしてはかなり深刻な事態であると言える。もちろん市場の縮小に対して両社は手をこまねいていたわけではない。だからこそ、すべてのゲームユーザーのために次世代ゲーム機であるN64やPS3を開発したのだ。しかし、時のユーザーが本当に求めていたものを、それらのゲーム機は提供することができなかった。
当時の任天堂や今のSCEに求められていたのは、『枯れた技術』(注20)によって開発されていたゲーム機向けに高額なゲームソフトを販売していた任天堂時代を、高性能かつ安価なゲームソフトを提供することで突き崩したSCEのような賢さであり、画質の良さが必要以上に強調されるゲームに対してユーザーが飽き始めていたSCE時代に、それまでのゲームとは全く異なる新しいゲームジャンルを作り上げた任天堂のような斬新さであったはずだ。
では、なぜ彼らのニーズを正確に把握する事ができなかったのか。理由の一つとして考えられるのが、両社が長年に渡って培ってきた「成功体験」の存在ではないか。
任天堂とSCEがゲーム市場において大成功を収めていたのは、両社の戦略や路線がユーザーに受け入れられてきたからだ。ならば、それを変えることなく、一層発展させる事こそがユーザーを満足させる近道だと考えるのはごく自然であろう。
しかしながら、栄枯盛衰は世の常である。流行り廃りが目まぐるしく移り変わるゲームの世界ではそれがより顕著に表れると言っても過言ではない。それだけにハードメーカーの成功体験ばかりが長く通用するとは考えにくい。ユーザーは常に新しいものを求めている。彼らに飽きられないためにはハードメーカーは何時であっても、これまでの方針や戦略そのものを大きく変革させる柔軟さが求められている。
それなのに、かつての任天堂と今のSCEは微妙に変化しつつあったユーザーのニーズを誤解し、今までの戦略に拘り過ぎたばかりか必要以上に洗練させてしまい、ついには「排除の論理」を生み出してしまった。N64の失敗やPS3の苦戦の原因は、この点にあると言えるのではないか。
『今言われているPS3の課題は時間が経てば解決されるものばかり。だから全然心配してないですよ』(注21)。SCEの久多良木氏はこう述べるが、「排除の論理」は時間の経過と共に消え去る性質のものではない。何らかの対策をしなければ快走を続けるWiiとの差は日を追うごと広がっていく。
まだ可能性が残されている今だからこそ、抜本的な対策が求められているはずなのだが、SCEが考えている対策とは『宣伝やイベント、店頭販促などのマーケティング策を共同展開する』(注22)程度のものだという。これでは抜本的な対策とは言い難い。
「歴史は繰り返す」という言葉もある。かつて任天堂が味わった辛酸を、今度はSCEが嘗める番なのかもしれない。(おわり)
注18…参考文献 『新時代ゲームビジネス』 編コンピュータ局開発 日経BP社 1995 P164
注19…参考文献 『電撃王 2007 WINTER 1月号増刊』内 「特別付録・電撃ゲーム白書 P4」2007 メディアワークス
注20…『キング・オブ・ゲームの未来戦』著山名一郎 日本実業出版社 1994 P71
注21…『週刊東洋経済 2007.5.19』 P111 東洋経済新報社
注22…2007年6月21日 日本経済新聞
プレイステーション2の成功により、ゲーム市場を手中に収めたはずのソニーとSCEはなぜ失敗してしまったのでしょうか?今回のコラムではその原因を追及してみたいと思います。
第四章(最終章):「なぜ排除の論理を持ち出すのか」
ゲーム市場における覇権が長期になると、任天堂時代であってもSCE時代であっても様々な綻びが出始めるようになる。端的にそれを読み取れることができるのは市場規模の変動ではないだろうか。問題があれば市場規模は落ち込むであろうし、上手くいっていれば市場規模は成長を続ける可能性が高いからだ。
任天堂時代における綻びは1994年頃であろう。1990年にスーパーファミコンが登場して以来、ゲーム市場は右肩上がりの成長を続けていたが1994年のゲームソフト出荷額は突如として前年比約16%減の3035億円と落ち込み、91年の水準である3123億円をさらに下回る結果となった(注18)。
一方、SCE時代の場合は2004年度前後に最も顕著に現れた。PS2が登場した2000年度のゲームソフト市場は3678億円であったが、その年から市場は毎年のように縮小し2004年度には3225億円にまで落ち込んだ。しかしそれと反比例するかのようにPS2対応ソフトの販売本数は2000年度以降、年々増加し続けており、市場が落ち込んだはずの2004年度には過去最多の約3202万本を販売していたのだ(注19)。結果としてPS2は市場全体を大きく成長させる牽引役にはなりきれなかったと言えるだろう。
市場規模が突如として3年前の水準を割り込んだり、販売本数を大きく伸ばしながらもそれが市場全体の拡大に結びつかないのは、覇権を握るハードメーカーとしてはかなり深刻な事態であると言える。もちろん市場の縮小に対して両社は手をこまねいていたわけではない。だからこそ、すべてのゲームユーザーのために次世代ゲーム機であるN64やPS3を開発したのだ。しかし、時のユーザーが本当に求めていたものを、それらのゲーム機は提供することができなかった。
当時の任天堂や今のSCEに求められていたのは、『枯れた技術』(注20)によって開発されていたゲーム機向けに高額なゲームソフトを販売していた任天堂時代を、高性能かつ安価なゲームソフトを提供することで突き崩したSCEのような賢さであり、画質の良さが必要以上に強調されるゲームに対してユーザーが飽き始めていたSCE時代に、それまでのゲームとは全く異なる新しいゲームジャンルを作り上げた任天堂のような斬新さであったはずだ。
では、なぜ彼らのニーズを正確に把握する事ができなかったのか。理由の一つとして考えられるのが、両社が長年に渡って培ってきた「成功体験」の存在ではないか。
任天堂とSCEがゲーム市場において大成功を収めていたのは、両社の戦略や路線がユーザーに受け入れられてきたからだ。ならば、それを変えることなく、一層発展させる事こそがユーザーを満足させる近道だと考えるのはごく自然であろう。
しかしながら、栄枯盛衰は世の常である。流行り廃りが目まぐるしく移り変わるゲームの世界ではそれがより顕著に表れると言っても過言ではない。それだけにハードメーカーの成功体験ばかりが長く通用するとは考えにくい。ユーザーは常に新しいものを求めている。彼らに飽きられないためにはハードメーカーは何時であっても、これまでの方針や戦略そのものを大きく変革させる柔軟さが求められている。
それなのに、かつての任天堂と今のSCEは微妙に変化しつつあったユーザーのニーズを誤解し、今までの戦略に拘り過ぎたばかりか必要以上に洗練させてしまい、ついには「排除の論理」を生み出してしまった。N64の失敗やPS3の苦戦の原因は、この点にあると言えるのではないか。
『今言われているPS3の課題は時間が経てば解決されるものばかり。だから全然心配してないですよ』(注21)。SCEの久多良木氏はこう述べるが、「排除の論理」は時間の経過と共に消え去る性質のものではない。何らかの対策をしなければ快走を続けるWiiとの差は日を追うごと広がっていく。
まだ可能性が残されている今だからこそ、抜本的な対策が求められているはずなのだが、SCEが考えている対策とは『宣伝やイベント、店頭販促などのマーケティング策を共同展開する』(注22)程度のものだという。これでは抜本的な対策とは言い難い。
「歴史は繰り返す」という言葉もある。かつて任天堂が味わった辛酸を、今度はSCEが嘗める番なのかもしれない。(おわり)
注18…参考文献 『新時代ゲームビジネス』 編コンピュータ局開発 日経BP社 1995 P164
注19…参考文献 『電撃王 2007 WINTER 1月号増刊』内 「特別付録・電撃ゲーム白書 P4」2007 メディアワークス
注20…『キング・オブ・ゲームの未来戦』著山名一郎 日本実業出版社 1994 P71
注21…『週刊東洋経済 2007.5.19』 P111 東洋経済新報社
注22…2007年6月21日 日本経済新聞
2007年10月05日
最新のコラム:2007年6月「なぜ排除の論理を選んだのか? 〜長期政権が崩れるとき〜」Part3
当該のゲーム業界記事は、2007年6月26日に「ゲームいろいろ情報」のメールマガジン&ホームページにて掲載された連載記事「なぜ排除の論理を選んだのか? 〜長期政権が崩れるとき〜」の第三章です。
プレイステーション2の成功により、ゲーム市場を手中に収めたはずのソニーとSCEはなぜ失敗してしまったのでしょうか?今回のコラムではその原因を追及してみたいと思います。
第三章:「排除の論理」
『僕たちは、技術をベースとして世の中にイノベーションを起こしていきたい』(注9)。SCE名誉会長の久多良木氏は以前、こう語った事がある。同氏が中心となって生み出したPSシリーズはゲーム市場を席巻し、あれほど強固であった任天堂の牙城を切り崩す事に成功した。
『良いことを提案するのは、技術者として当然のことですよ』(注10)と話す久多良木氏だからこそ、高機能・高性能に拘ったゲーム機を作り続けた。そして新しいPSが登場する度に、開発者達はその高性能さに驚かされる羽目になる。
『とても信じられない・・・・・・。これが本当に動いているならば、本当に凄いことだ』(PS1登場時、注11)、『SCEは、とんでもないマシーンを作ったものだ』(PS2登場時、注12)、『ドアを開けた途端に、強烈なワン、ツーパンチを顔面にもらったようなインパクトだった』(PS3登場時、注 13)。
だが、三代に渡って途切れることなく続いてきた高性能の追求こそが、結果的に「排除の論理」を生み出すことになってしまう。つまり開発者すら驚かされるほどの能力を持ったゲーム機を連綿と開発してしまったが故にPS3では『開発に二年かかるのもざら』(注14)となり、『PS3のソフト開発費は従来の二倍以上、十億円を超える場合もある』(注15)ほど、ソフトメーカーにとって「敷居の高いゲーム機」が生まれてしまったのだ。
こうなってくるとPS3用のゲームソフト開発が困難になるソフトメーカーが現れたとしても不思議ではない。事実、『PS3で一本出すよりDSで十本出したい』(注16)のがソフトメーカーの本音だという。SCEにとってこの発言は痛手でしかない。
過去において、任天堂はN64時代に少数精鋭主義を掲げて意図的に「障壁」を作り、ゲームのタイトル数を絞る戦略をとったが、SCEは高性能さを追い求めることによって結果的に「障壁」をより高く設定してしまい、それを乗り越えられないソフトメーカーを任天堂と同じように排除しつつあるのだ。
『DSの開発タイトル数は現在五十本。PS3は十数本、Wiiは三十本くらい』(注17)と述べ、PS3よりもニンテンドーDS(NDS)やWii を重視しているのはバンダイナムコだ。さらに、大手のスクウェア・エニックスは同社の看板ソフトであるドラゴンクエストの最新作をNDS向けに供給しようとしている。
かねてより同社の和田社長は『最も普及したゲーム機で出す』(注16)ことを公言していた。ならば今作も前作同様にPS2へ供給するのが最も良い選択だと思われる。だがそうしなかったのは『ドラクエ9は前作よりも開発費を抑えられそうだ』(注16)との期待もあったからだ。
大手であっても開発費の増大は頭の痛い問題だ。同社より規模の小さいソフトメーカーなら、なおさらその傾向は強くなるだろう。だからこそ、NDSを重要視したがるソフトメーカーが現れ始めているのだ。このまま手をこまねいていればN64の登場以降に多くのソフトメーカーが任天堂から離れてしまった時と同じような現象がPS3で起きる事も十分に考えられる。
SCEが意図せずに持ち込んでしまった「排除の論理」は、残念ながら「N64の失敗」を忠実に再現しつつあると言える。もし、SCEがそれを阻止しようとするならば、本体価格の引き下げなどの小手先の対応策だけではなく、根本的な原因である「排除の論理」を取り除くような、抜本的なテコ入れが必要となるだろう。
それができなければ、PS3が将来N64と同じ末路を辿ったとしても不思議ではない。(つづく)
注9…『週刊東洋経済 2005.7.2』 P41 東洋経済新報社
注10…『久多良木健のプレステ革命』著麻倉怜士 2003年 ワック株式会社 P316
注11…『久多良木健のプレステ革命』著麻倉怜士 2003年 ワック株式会社 P121
注12…『プレステ2 ネット戦争』 著田中秀雄 JMAM 2000年 P161
注13…『週刊東洋経済 2005.7.2』 P37 東洋経済新報社
注14…2006年11月10日 日経産業新聞
注15…2006年11月10日 日経産業新聞
注16…2006年12月13日 日経産業新聞
注17…2006年12月13日 日経産業新聞
続きはこちら→最終章:「なぜ排除の論理を持ち出すのか」
プレイステーション2の成功により、ゲーム市場を手中に収めたはずのソニーとSCEはなぜ失敗してしまったのでしょうか?今回のコラムではその原因を追及してみたいと思います。
第三章:「排除の論理」
『僕たちは、技術をベースとして世の中にイノベーションを起こしていきたい』(注9)。SCE名誉会長の久多良木氏は以前、こう語った事がある。同氏が中心となって生み出したPSシリーズはゲーム市場を席巻し、あれほど強固であった任天堂の牙城を切り崩す事に成功した。
『良いことを提案するのは、技術者として当然のことですよ』(注10)と話す久多良木氏だからこそ、高機能・高性能に拘ったゲーム機を作り続けた。そして新しいPSが登場する度に、開発者達はその高性能さに驚かされる羽目になる。
『とても信じられない・・・・・・。これが本当に動いているならば、本当に凄いことだ』(PS1登場時、注11)、『SCEは、とんでもないマシーンを作ったものだ』(PS2登場時、注12)、『ドアを開けた途端に、強烈なワン、ツーパンチを顔面にもらったようなインパクトだった』(PS3登場時、注 13)。
だが、三代に渡って途切れることなく続いてきた高性能の追求こそが、結果的に「排除の論理」を生み出すことになってしまう。つまり開発者すら驚かされるほどの能力を持ったゲーム機を連綿と開発してしまったが故にPS3では『開発に二年かかるのもざら』(注14)となり、『PS3のソフト開発費は従来の二倍以上、十億円を超える場合もある』(注15)ほど、ソフトメーカーにとって「敷居の高いゲーム機」が生まれてしまったのだ。
こうなってくるとPS3用のゲームソフト開発が困難になるソフトメーカーが現れたとしても不思議ではない。事実、『PS3で一本出すよりDSで十本出したい』(注16)のがソフトメーカーの本音だという。SCEにとってこの発言は痛手でしかない。
過去において、任天堂はN64時代に少数精鋭主義を掲げて意図的に「障壁」を作り、ゲームのタイトル数を絞る戦略をとったが、SCEは高性能さを追い求めることによって結果的に「障壁」をより高く設定してしまい、それを乗り越えられないソフトメーカーを任天堂と同じように排除しつつあるのだ。
『DSの開発タイトル数は現在五十本。PS3は十数本、Wiiは三十本くらい』(注17)と述べ、PS3よりもニンテンドーDS(NDS)やWii を重視しているのはバンダイナムコだ。さらに、大手のスクウェア・エニックスは同社の看板ソフトであるドラゴンクエストの最新作をNDS向けに供給しようとしている。
かねてより同社の和田社長は『最も普及したゲーム機で出す』(注16)ことを公言していた。ならば今作も前作同様にPS2へ供給するのが最も良い選択だと思われる。だがそうしなかったのは『ドラクエ9は前作よりも開発費を抑えられそうだ』(注16)との期待もあったからだ。
大手であっても開発費の増大は頭の痛い問題だ。同社より規模の小さいソフトメーカーなら、なおさらその傾向は強くなるだろう。だからこそ、NDSを重要視したがるソフトメーカーが現れ始めているのだ。このまま手をこまねいていればN64の登場以降に多くのソフトメーカーが任天堂から離れてしまった時と同じような現象がPS3で起きる事も十分に考えられる。
SCEが意図せずに持ち込んでしまった「排除の論理」は、残念ながら「N64の失敗」を忠実に再現しつつあると言える。もし、SCEがそれを阻止しようとするならば、本体価格の引き下げなどの小手先の対応策だけではなく、根本的な原因である「排除の論理」を取り除くような、抜本的なテコ入れが必要となるだろう。
それができなければ、PS3が将来N64と同じ末路を辿ったとしても不思議ではない。(つづく)
注9…『週刊東洋経済 2005.7.2』 P41 東洋経済新報社
注10…『久多良木健のプレステ革命』著麻倉怜士 2003年 ワック株式会社 P316
注11…『久多良木健のプレステ革命』著麻倉怜士 2003年 ワック株式会社 P121
注12…『プレステ2 ネット戦争』 著田中秀雄 JMAM 2000年 P161
注13…『週刊東洋経済 2005.7.2』 P37 東洋経済新報社
注14…2006年11月10日 日経産業新聞
注15…2006年11月10日 日経産業新聞
注16…2006年12月13日 日経産業新聞
注17…2006年12月13日 日経産業新聞
続きはこちら→最終章:「なぜ排除の論理を持ち出すのか」
2007年10月04日
最新のコラム:2007年6月「なぜ排除の論理を選んだのか? 〜長期政権が崩れるとき〜」Part2
当該のゲーム業界記事は、2007年6月26日に「ゲームいろいろ情報」のメールマガジン&ホームページにて掲載された連載記事「なぜ排除の論理を選んだのか? 〜長期政権が崩れるとき〜」の第二章です。
プレイステーション2の成功により、ゲーム市場を手中に収めたはずのソニーとSCEはなぜ失敗してしまったのでしょうか?今回のコラムではその原因を追及してみたいと思います。
第二章:「NINTENDO64とPS3」
家庭用ゲーム機市場で一度確立された覇権は、他のハードメーカーが並大抵の努力をしたとしても、そう簡単に奪うことはできない。だが、それは未来永劫に渡って続く訳でもなく、ユーザーやソフトメーカーからの支持を集めることが出来れば「政権交代」は実現可能だ。事実、ファミリーコンピュータが登場して以来、家庭用ゲーム機市場において三世代以上の長期に渡って同一のハードメーカーが覇権を維持し続けた例はない。
かつてゲーム市場が任天堂の独壇場であった頃、三世代目のゲーム機として「NINTENDO64」(N64)が送り出されたが、競合するプレイステーション(PS)やセガ・サターンなどとの戦いにはかなりの苦戦を強いられた。結果としてN64は敗れ、代わってSCEのPSがゲーム市場を勝ち抜いた。
しかし、今度はそのSCEが同じく三世代目のゲーム機としてPS3を市場に投入している。任天堂がN64では成し得なかった偉業に挑戦しているPS3であるが、その滑り出しは順風満帆とは言い難い。
こうしてみるとN64とPS3には幾つかの類似点を見いだす事ができる。どちらも三世代目である点や、発売後、同じように苦戦を強いられている点などは似通っていると言えるだろう。だが、ここで重要なのはそうした見かけ上の共通点ではない。世代交代に失敗したN64と、これから世代交代を成功させなければならないPS3に込められた「ハードメーカーの意図」が非常に近しいことが問題なのだ。
両ゲーム機に込められたハードメーカーの意図とは簡単に言えば「排除の論理」である。特にN64の場合は強烈だったと言えるだろう。任天堂前社長であった山内氏はかねてより『ダメソフトばかり作ったら結果的にマイナスになる』(注5)と述べ、ゲームソフトの質的向上を訴えてきたが二世代目のスーパーファミコン(SFC)時代であっても「ダメソフト」は無くならず、品質の良いゲームソフトだけを揃えることができずにいた。
その失敗を繰り返さないためにN64の発売を契機として、質の悪いソフトの一掃に乗り出した。任天堂は、SFCの『タイトル数が増え過ぎた』(注6)ために駄作も多く開発されたのだから、販売タイトルを少なく制限すれば、ソフトメーカーは質の良いゲームだけを作るだろうと考え、ゲームソフトのタイトルを少なくする方針を打ち出しのだ。
さらにソフトタイトル数だけには留まらずソフトメーカーそのものの排除も行った。N64発売前、当時の米国任天堂社長であった荒川氏は『今後もそれほどソフト会社を増やさない』(注7)と明言しゲームソフトのみならずゲームソフト開発会社すらも選別することで少数精鋭主義を徹底させたのだ。
そのような方針に対し任天堂の中からは『必要以上に"敷居"を高くし過ぎた。もっとソフト会社を支援しないと、N64が放り出されてしまう』(注8)との声もあったが、その不安はやがて現実のものとなり、任天堂はN64の失敗によって維持し続けてきた覇権を失うことになってしまった。
では翻ってPS3の場合はどうか。当然のことながら、N64のように排除の論理を振りかざすような行動は一切していない。ソフトメーカーがゲームソフトのタイトル数を増やしても、当時の任天堂と同じようにSCEがそれを問題視することはまずあり得ないだろう。
しかしながら、任天堂とSCEの方針が表面上異なっていたとしても、それを以てN64とPS3は明らかに異なる、と結論付けるのは早計だ。任天堂が N64に持ち込んだ排除の論理は明らかに「意識的」になされたものだが、PS3の場合のそれは「無意識」に持ち込まれている。だからこそ、それが大きな問題なのだ。(つづく)
注5…1991年12月17日 日経流通新聞
注6…1994年8月14日 日経産業新聞
注7…1995年12月21日 日経産業新聞
注8…1997年6月27日 朝日新聞
続きはこちら→第三章:「排除の論理」
プレイステーション2の成功により、ゲーム市場を手中に収めたはずのソニーとSCEはなぜ失敗してしまったのでしょうか?今回のコラムではその原因を追及してみたいと思います。
第二章:「NINTENDO64とPS3」
家庭用ゲーム機市場で一度確立された覇権は、他のハードメーカーが並大抵の努力をしたとしても、そう簡単に奪うことはできない。だが、それは未来永劫に渡って続く訳でもなく、ユーザーやソフトメーカーからの支持を集めることが出来れば「政権交代」は実現可能だ。事実、ファミリーコンピュータが登場して以来、家庭用ゲーム機市場において三世代以上の長期に渡って同一のハードメーカーが覇権を維持し続けた例はない。
かつてゲーム市場が任天堂の独壇場であった頃、三世代目のゲーム機として「NINTENDO64」(N64)が送り出されたが、競合するプレイステーション(PS)やセガ・サターンなどとの戦いにはかなりの苦戦を強いられた。結果としてN64は敗れ、代わってSCEのPSがゲーム市場を勝ち抜いた。
しかし、今度はそのSCEが同じく三世代目のゲーム機としてPS3を市場に投入している。任天堂がN64では成し得なかった偉業に挑戦しているPS3であるが、その滑り出しは順風満帆とは言い難い。
こうしてみるとN64とPS3には幾つかの類似点を見いだす事ができる。どちらも三世代目である点や、発売後、同じように苦戦を強いられている点などは似通っていると言えるだろう。だが、ここで重要なのはそうした見かけ上の共通点ではない。世代交代に失敗したN64と、これから世代交代を成功させなければならないPS3に込められた「ハードメーカーの意図」が非常に近しいことが問題なのだ。
両ゲーム機に込められたハードメーカーの意図とは簡単に言えば「排除の論理」である。特にN64の場合は強烈だったと言えるだろう。任天堂前社長であった山内氏はかねてより『ダメソフトばかり作ったら結果的にマイナスになる』(注5)と述べ、ゲームソフトの質的向上を訴えてきたが二世代目のスーパーファミコン(SFC)時代であっても「ダメソフト」は無くならず、品質の良いゲームソフトだけを揃えることができずにいた。
その失敗を繰り返さないためにN64の発売を契機として、質の悪いソフトの一掃に乗り出した。任天堂は、SFCの『タイトル数が増え過ぎた』(注6)ために駄作も多く開発されたのだから、販売タイトルを少なく制限すれば、ソフトメーカーは質の良いゲームだけを作るだろうと考え、ゲームソフトのタイトルを少なくする方針を打ち出しのだ。
さらにソフトタイトル数だけには留まらずソフトメーカーそのものの排除も行った。N64発売前、当時の米国任天堂社長であった荒川氏は『今後もそれほどソフト会社を増やさない』(注7)と明言しゲームソフトのみならずゲームソフト開発会社すらも選別することで少数精鋭主義を徹底させたのだ。
そのような方針に対し任天堂の中からは『必要以上に"敷居"を高くし過ぎた。もっとソフト会社を支援しないと、N64が放り出されてしまう』(注8)との声もあったが、その不安はやがて現実のものとなり、任天堂はN64の失敗によって維持し続けてきた覇権を失うことになってしまった。
では翻ってPS3の場合はどうか。当然のことながら、N64のように排除の論理を振りかざすような行動は一切していない。ソフトメーカーがゲームソフトのタイトル数を増やしても、当時の任天堂と同じようにSCEがそれを問題視することはまずあり得ないだろう。
しかしながら、任天堂とSCEの方針が表面上異なっていたとしても、それを以てN64とPS3は明らかに異なる、と結論付けるのは早計だ。任天堂が N64に持ち込んだ排除の論理は明らかに「意識的」になされたものだが、PS3の場合のそれは「無意識」に持ち込まれている。だからこそ、それが大きな問題なのだ。(つづく)
注5…1991年12月17日 日経流通新聞
注6…1994年8月14日 日経産業新聞
注7…1995年12月21日 日経産業新聞
注8…1997年6月27日 朝日新聞
続きはこちら→第三章:「排除の論理」
2007年10月03日
最新のコラム:2007年6月「なぜ排除の論理を選んだのか? 〜長期政権が崩れるとき〜」Part1
当該のゲーム業界記事は、2007年6月26日に「ゲームいろいろ情報」のメールマガジン&ホームページにて掲載された連載記事「なぜ排除の論理を選んだのか? 〜長期政権が崩れるとき〜」の第一章です。
プレイステーション2の成功により、ゲーム市場を手中に収めたはずのソニーとSCEはなぜ失敗してしまったのでしょうか?今回のコラムではその原因を追及してみたいと思います。
第一章:「過去最高益」
『エレキ部門は予想以上によくなった。自信の度合いはかなり高くなった』(注1)。ソニーの2007年三月期決算は売上高こそ伸びたが本業の儲けを示す営業利益は大幅な減益に陥った。
その主因はプレイステーション3(PS3)発売に伴って発生した費用が大きく膨らんだためである。2000億円を超えると見込まれていたゲーム部門の損失は最終的に2323億円にまで拡大し、グループの損益を大幅に悪化させることになった。
しかしながら、同時に会社側が提示した2008年三月期の業績予想では一転、営業利益が約6倍に増加し、最終利益は過去最高になるという。この業績回復の牽引役となっているのは残念ながらゲーム部門ではなく、本業のエレクトロニクス部門だ。
ソニーの財務担当である大根田氏は同部門について『前期千五百六十七億円だった営業利益は今期、三千億円近くまで拡大しよう』(注2)と述べ、本業の利益が急回復するとの見通しを示している。
一方、かつての稼ぎ頭でもあったゲーム部門の2008年三月期は、前期より改善するとはいえ『今期も約五百億円』(注2)の赤字が続く見込みだ。
これほどの赤字を出しながら、それでも現状のPS3は厳しい競争に晒されている。当初の計画より遅れて昨年11月にソニーコンピュータエンタテインメント(SCE)が発売したPS3であるが、エンターブレイン社の推計した2007年3月25日までの累計販売台数を見ると『"Wii(ウィー)"が百九十五万三千六百三十三台、"プレイステーション3(PS3)"が八十一万二千七十四台』(注3)となっており、かなりの劣勢に立たされている事が分かる。そのため同社の中鉢社長は一部で指摘されているPS3の値下げについて『可能性は否定しない』(注4)と述べ、何らかの打開策を検討している事を明らかにした。
だが、値下げとなればゲーム部門の赤字額は会社側の予想よりもさらに膨らむ事が十分に考えられる。もし、このままPS3の不振が続けばゲーム部門そのものがグループ全体の足手まといにすらなりかねない。
ソニーが掲げる経営目標は2008年三月期における連結営業利益率5%だ。しかし2007年三月期の時点では僅か0.85%程度でしかない。これを目標通りに引き上げるためには、巨額の赤字を垂れ流すゲーム部門を何としても今期中に立て直す必要がある。時間がほとんど残されていないソニーの危機感は相当なものと言えるだろう。
それにしても、プレイステーション2(PS2)がゲーム市場を席巻していた頃、誰もが何れ登場するであろう次世代機「PS3」の勝利を信じて疑わなかった。SCEの黄金時代はまだまだ続くだろうと皆が思っていた。
それなのに、なぜこのような苦戦を強いられることになったのか。もちろん、高額な本体価格や量産が遅れた事なども原因として挙げられるだろうが、それ以外にも影響を及ぼした要因の一つとして考えられるのがPS3に込められた「排除の論理」ではないだろうか。
では、PS3に込められた「排除の論理」とはいったい何であろうか。かつてPS3と同様の役割を担い、PS3以上に「排除の論理」を深く刻み込まれたために、次世代ゲーム機戦争に敗れたゲーム機があったが、そのゲーム機との類似点を探りながら今回はPS3に込められた「排除の論理」を明かしていきたい。(つづく)
注1…2007年5月17日 日経産業新聞
注2…2007年5月18日 日本経済新聞
注3…2007年4月3日 日経産業新聞
注4…2007年6月6日 読売新聞
続きはこちら→第二章:「NINTENDO64とPS3」
プレイステーション2の成功により、ゲーム市場を手中に収めたはずのソニーとSCEはなぜ失敗してしまったのでしょうか?今回のコラムではその原因を追及してみたいと思います。
第一章:「過去最高益」
『エレキ部門は予想以上によくなった。自信の度合いはかなり高くなった』(注1)。ソニーの2007年三月期決算は売上高こそ伸びたが本業の儲けを示す営業利益は大幅な減益に陥った。
その主因はプレイステーション3(PS3)発売に伴って発生した費用が大きく膨らんだためである。2000億円を超えると見込まれていたゲーム部門の損失は最終的に2323億円にまで拡大し、グループの損益を大幅に悪化させることになった。
しかしながら、同時に会社側が提示した2008年三月期の業績予想では一転、営業利益が約6倍に増加し、最終利益は過去最高になるという。この業績回復の牽引役となっているのは残念ながらゲーム部門ではなく、本業のエレクトロニクス部門だ。
ソニーの財務担当である大根田氏は同部門について『前期千五百六十七億円だった営業利益は今期、三千億円近くまで拡大しよう』(注2)と述べ、本業の利益が急回復するとの見通しを示している。
一方、かつての稼ぎ頭でもあったゲーム部門の2008年三月期は、前期より改善するとはいえ『今期も約五百億円』(注2)の赤字が続く見込みだ。
これほどの赤字を出しながら、それでも現状のPS3は厳しい競争に晒されている。当初の計画より遅れて昨年11月にソニーコンピュータエンタテインメント(SCE)が発売したPS3であるが、エンターブレイン社の推計した2007年3月25日までの累計販売台数を見ると『"Wii(ウィー)"が百九十五万三千六百三十三台、"プレイステーション3(PS3)"が八十一万二千七十四台』(注3)となっており、かなりの劣勢に立たされている事が分かる。そのため同社の中鉢社長は一部で指摘されているPS3の値下げについて『可能性は否定しない』(注4)と述べ、何らかの打開策を検討している事を明らかにした。
だが、値下げとなればゲーム部門の赤字額は会社側の予想よりもさらに膨らむ事が十分に考えられる。もし、このままPS3の不振が続けばゲーム部門そのものがグループ全体の足手まといにすらなりかねない。
ソニーが掲げる経営目標は2008年三月期における連結営業利益率5%だ。しかし2007年三月期の時点では僅か0.85%程度でしかない。これを目標通りに引き上げるためには、巨額の赤字を垂れ流すゲーム部門を何としても今期中に立て直す必要がある。時間がほとんど残されていないソニーの危機感は相当なものと言えるだろう。
それにしても、プレイステーション2(PS2)がゲーム市場を席巻していた頃、誰もが何れ登場するであろう次世代機「PS3」の勝利を信じて疑わなかった。SCEの黄金時代はまだまだ続くだろうと皆が思っていた。
それなのに、なぜこのような苦戦を強いられることになったのか。もちろん、高額な本体価格や量産が遅れた事なども原因として挙げられるだろうが、それ以外にも影響を及ぼした要因の一つとして考えられるのがPS3に込められた「排除の論理」ではないだろうか。
では、PS3に込められた「排除の論理」とはいったい何であろうか。かつてPS3と同様の役割を担い、PS3以上に「排除の論理」を深く刻み込まれたために、次世代ゲーム機戦争に敗れたゲーム機があったが、そのゲーム機との類似点を探りながら今回はPS3に込められた「排除の論理」を明かしていきたい。(つづく)
注1…2007年5月17日 日経産業新聞
注2…2007年5月18日 日本経済新聞
注3…2007年4月3日 日経産業新聞
注4…2007年6月6日 読売新聞
続きはこちら→第二章:「NINTENDO64とPS3」
2007年10月02日
ゲーム情報保管庫:2007年上半期データ速報! ゲーム市場は前年同期比121.7パーセントの伸び
インターネット上の情報は、短期間で消滅してしまうことが多いので、なるべく様々な資料を保存していきたいと考え、こちらのカテゴリにて記録していきたいと思います。
●ハードはニンテンドーDS、ソフトは『マリオパーティ 8』が堅調
http://www.famitsu.com/game/news/1210921_1124.html?ref=f2mail
エンターブレインは2007年10月1日、2007年上半期(集計期間は2007年3月26日〜2007年9月23日※速報のため9月23日締め)の国内ゲーム市場について、以下のようなデータを発表した。市場規模は昨年同期と比較すると、121.7パーセントの伸びを見せた。昨年に引き続き、ニンテンドーDSが依然好調で、市場を牽引している形に。ハードの販売台数は上半期だけで347万台を突破。年内中に累計販売台数が2000万台に達することはまず間違いないだろう。
上半期市場規模比較(単位:億円)
ハード ソフト 合計
2007年上半期 1382.7 1544.9 2927.7
2006年上半期 1035.6 1370.2 2405.8
前年同期比 133.5パーセント 112.8パーセント 121.7パーセント
ハードの販売台数(単位:台)
上半期推定販売台数 推定累計販売台数
ニンテンドーDS 347万7634 1930万3848
PSP(プレイステーション・ポータブル) 107万1609 621万7664
Wii 159万6287 354万9920
プレイステーション3 38万5492 119万7566
※ニンテンドーDSはニンテンドーDSとニンテンドーDS Liteの合計値
※PSPはPSP-1000とPSP-2000の合計値
2007年10月01日
ゲーム情報保管庫:PS3、愛好者向けソフトを優先=任天堂とは好対照−平井SCE社長
インターネット上の情報は、短期間で消滅してしまうことが多いので、なるべく様々な資料を保存していきたいと考え、こちらのカテゴリにて記録していきたいと思います。
http://www.jiji.com/jc/zc?key=%c7%a4%c5%b7%c6%b2&k=200707/2007071200602
2007/07/12-13:47
PS3、愛好者向けソフトを優先=任天堂とは好対照−平井SCE社長
【サンタモニカ(米カリフォルニア州)11日時事】ゲーム事業を手掛けるソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の平井一夫社長兼最高経営責任者(CEO)は11日時事通信のインタビューに応じ、熱心なゲーム愛好者向けソフトの充実をまず優先し、新ゲーム機「プレイステーション(PS)3」販売を強化していく方針を強調した。
