2008年05月28日

過去のコラム編集:2001年3月「カプコン撤退?〜カプコンが出した絶縁状〜」Part5

当該のゲーム業界コラム記事は、2001年3月26日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「カプコン撤退?〜カプコンが出した絶縁状〜」の第五章(最終章)です。


プレイステーション2が発売された2000年前後、業務用ゲーム市場は不振に喘いでいました。小規模ゲームセンターの売上不振が鮮明になり、ゲームセンター運営大手であるタイトーやナムコも同事業が不振に陥り、同様にゲームセンター運営大手であるセガが家庭用ゲーム部門でもドリームキャスト撤退により、深刻な経営危機に陥っておりました。


ゲームセンター事業はその後スクラップアンドビルドにより大規模化し、家族でも遊べる「屋内アミューズメントパーク化」を推し進め大きく改善しますが、それはまだ先の話であり、ゲームセンターの将来に対して皆、悲観的になっていた時期でもありました。


そんな時、業務用ゲーム開発大手であるカプコンが、業務用ゲーム事業の大規模な縮小を行うとメディアに大きく報道されます。大ヒット格闘ゲームなどを開発したカプコンの事実上撤退は驚きを以て受け止められますが、カプコンの「決断」が業界全体やカプコン社そのものにどのような影響を与えるのか、を考察したものを下記にて記載しております。





過去のコラム編集:2001年3月「「カプコン撤退?〜カプコンが出した絶縁状〜」Part5第五章(最終章):「ゲーセンというプラットフォームの放棄」


カプコンショックをカプコンの社内的に見るのではなく、業界全体で捉えるとどうなるのであろうか。確かに、カプコンの業務用ゲームソフト事業の売上は少なく、数字的な面から言えば、具体的な影響は、殆ど無いように思われる(カプコンの業務用ゲームソフト事業売上はわずか39億円でしかない)。


だが、カプコンの撤退は単に数字的な影響に留まらないと考えられる。それは、「90年代前半、ゲームセンターを賑わせた大手メーカーが手を引く」という事実に大きな問題があるからだ。「業務用ゲームソフト開発・販売を手がける大手がゲーセンというプラットフォームを見放した」のである。ゲームセンター側が受けた心理的ダメージは計り知れないだろう。


ゲーセン側にとって、今回の発表は「絶縁状」みたいなものだ。本来ならば、メーカーとゲーセンは「車の両輪」であるはずだ。どちらか一方が、頑張ってもゲーセン市場は動かない。ゲーセン市場を再び盛り上げるためには市場が冷え込んでいる今こそ、両者が協力し合って、活性化の道を探っていかなければならないはずである。それなのに、相方に「儲からないから止めた」と絶縁状を付きつけられてしまったのだ。ゲーセンのダメージは大きいであろう。


しかも、このカプコンショックが嫌な前例になる可能性もある。この後、他のメーカーも、カプコンのように「儲からなくなったからうやめる」と発表してしまうことだって考えられるのだ。カプコンショックの他のメーカーへの波及。これがゲーセンが最も恐れる事態の一つである。


さらに、カプコンショックは、ゲーセンからユーザーを引き離してしまうことも十分に考えられる。カプコンの撤退はゲーセンに良く行くユーザーにも、たまにしかいかないユーザーにも心理的ダメージを与えかねない。


あの「ストリートファイター2」で一時代を築いたカプコンが、もうゲーセンにソフトを(ほぼ)供給しなくなる。この報を聞いたユーザーはがっかりするだろうし、心理的に「漠然とした残念さ」を味わうであろう。


これによって、ユーザーは、これからのカプコンの業務用ゲームだけではなく、ゲーセン全体に期待しなくなる(=足を遠のかせる)可能性だってあるのだ。もちろん、これらは相当ネガティブな発想であるのは間違いない。が、可能性はゼロではない。影響は徐々に現れるかもしれないのだ。


もし、ゲーセン市場がこのままの状況で、改善が見こめない事になれば、カプコンショックの影響は少しづつ表れる。今回のカプコンの決断は、結果的にゲーセンを一層厳しい場所に追い込んでしまったといえよう。


ゲーセンの苦難の時代は続くことになる。(おわり)

2008年05月25日

過去のコラム編集:2001年3月「カプコン撤退?〜カプコンが出した絶縁状〜」Part4

当該のゲーム業界コラム記事は、2001年3月26日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「カプコン撤退?〜カプコンが出した絶縁状〜」の第四章です。


プレイステーション2が発売された2000年前後、業務用ゲーム市場は不振に喘いでいました。小規模ゲームセンターの売上不振が鮮明になり、ゲームセンター運営大手であるタイトーやナムコも同事業が不振に陥り、同様にゲームセンター運営大手であるセガが家庭用ゲーム部門でもドリームキャスト撤退により、深刻な経営危機に陥っておりました。


ゲームセンター事業はその後スクラップアンドビルドにより大規模化し、家族でも遊べる「屋内アミューズメントパーク化」を推し進め大きく改善しますが、それはまだ先の話であり、ゲームセンターの将来に対して皆、悲観的になっていた時期でもありました。


そんな時、業務用ゲーム開発大手であるカプコンが、業務用ゲーム事業の大規模な縮小を行うとメディアに大きく報道されます。大ヒット格闘ゲームなどを開発したカプコンの事実上撤退は驚きを以て受け止められますが、カプコンの「決断」が業界全体やカプコン社そのものにどのような影響を与えるのか、を考察したものを下記にて記載しております。





過去のコラム編集:2001年3月「「カプコン撤退?〜カプコンが出した絶縁状〜」Part4第四章(前編):「カプコンショックの明と暗 (明)」



業務用ゲームソフト事業を事実上ストップさせる。「カプコンショック」といっても良いほどの、このショッキングな決断によって、ゲーム業界全体の今後に様々な影響が出るのは明らかであろう。


なぜなら、業務用ゲームソフトを開発・販売してきた大手メーカーでは、カプコンがはじめて撤退するのだ。しかも90年代前半はカプコンが業務用ゲーム市場を引っ張っていたほどの大手である。何もないとはとても考えられない。


ここからは、カプコンが投じた一石の波紋の影響を良い面と悪い面に分けて、予測してみたい。まず、この章では良い面、つまり「明」の部分を取り上げてみたい。


撤退の決断によってもたらされる「明」の部分は、カプコン社の利益向上であろう。前記した通り、利益率の面から考えて、業務用ゲームソフト事業を続けるよりも、家庭用ゲームソフト事業にシフトした方が効率は非常に良い


同じゲームを同じ額だけ販売したとしても、利益率は後者の分野の方が圧倒的に高いのだ。業務用ゲームソフト事業の撤退は、まちがいなくカプコンに今まで以上の利益をもたらす。しかも、カプコンは現在、家庭用ゲームソフト事業では「バイオハザード」などのヒット作が次々に出しているのだ。


このまま、縮小していく業務用ゲームソフト市場にしがみつくよりも、そこに投入していた人材や資金を家庭用ゲームソフト事業に再配置すれば、より一層の利益を手中にすることができるのである。カプコンとしては、多いにメリットがある決断だったと言えるだろう。



 第四章(後編):「カプコンショックの明と暗 (暗)」


カプコンショックがもたらす「暗」の部分で考えられるのが、「業務用ゲームソフト事業の再開時における困難」があろう。これは一体どういうことか。簡単に言えば、こうである。


一度、なんらかの分野を停止させ、一定期間経過後、それを再び再開させるには、多くの手間とコストが掛かり、すぐには出来ない。だから、ある程度の規模を確保していなければ、機動的に対処するのは難しい、という事である。


たとえば、軍事の世界でもそのようなことはある。「軍事力は一朝一夕には育たない。戦車や軍艦は完成品を買って来れたにしても(略)、それに乗って戦う兵士と、それを総合的に運用指揮できる指揮官を育てるには長い年月がかかる。……そのため、一度ある分
野の軍事的能力を止めてしまうと、それを再建するには非常に長い年月と多くの労力、経費が必要になる」(「安全保障とは何か」 著江畑謙介  p160〜162 平凡社 1999)。


ゲームの世界でもほとんど同じであろう。つまり、もう一度業務用ゲームソフトを開発する人間を育て上げるためには大きなコストと長い時間がかかってしまうのである。


一般に、家庭用ゲームソフト事業を手がけている大手ゲーム各社でさえ、プレイステーション2の開発環境になれるまで、時間がかかっているといわれているのだ。撤退した業務用ゲームソフト事業を復活させるためには、相当な困難が待ち構えているのは容易に想像がつく。(つづく)


続きはこちら→第五章(最終章):「ゲーセンというプラットフォームの放棄」

2008年05月22日

過去のコラム編集:2001年3月「カプコン撤退?〜カプコンが出した絶縁状〜」Part3

当該のゲーム業界コラム記事は、2001年3月26日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「カプコン撤退?〜カプコンが出した絶縁状〜」の第三章です。


プレイステーション2が発売された2000年前後、業務用ゲーム市場は不振に喘いでいました。小規模ゲームセンターの売上不振が鮮明になり、ゲームセンター運営大手であるタイトーやナムコも同事業が不振に陥り、同様にゲームセンター運営大手であるセガが家庭用ゲーム部門でもドリームキャスト撤退により、深刻な経営危機に陥っておりました。


ゲームセンター事業はその後スクラップアンドビルドにより大規模化し、家族でも遊べる「屋内アミューズメントパーク化」を推し進め大きく改善しますが、それはまだ先の話であり、ゲームセンターの将来に対して皆、悲観的になっていた時期でもありました。


そんな時、業務用ゲーム開発大手であるカプコンが、業務用ゲーム事業の大規模な縮小を行うとメディアに大きく報道されます。大ヒット格闘ゲームなどを開発したカプコンの事実上撤退は驚きを以て受け止められますが、カプコンの「決断」が業界全体やカプコン社そのものにどのような影響を与えるのか、を考察したものを下記にて記載しております。





過去のコラム編集:2001年3月「「カプコン撤退?〜カプコンが出した絶縁状〜」Part3第三章:「カプコン決断のわけ」


カプコンは事実上、業務用ゲームソフト事業をやめる決断をしたが、これまで自社を支えてきたこの事業を「捨てる」理由はどこにあるのであろうか。


日経新聞には業務用ゲームソフト業界の今後の回復が見こめないと書いてあったが、もっと直接的な理由としては「利益率の低さ」があげられるだろう。


ソシエテジェネラル証券のレポートによると、カプコンの業務用機器販売・レンタル事業とコンシューマ用機器販売事業(家庭用ゲーム事業)の両部門が同時に利益を出していた1996年3月期から1998年3月期までの3年間の平均営業利益率は、前者が11.03%、後者が29.6%であった(2001年1月23日付け ソシエテジェネラル証券 「カプコンレポート」より作成)。


両者の格差は約3倍弱の開きが生まれている。これだけ、利益率に差が生まれていれば、業務用ゲームソフト事業を止め、家庭用ゲーム事業に注力するカプコンの決断は納得できる。カプコンは営利企業。より利益の上がるところに経営資源をシフトさせるのは、当然のことであるのだ。(つづく)


続きはこちら→第四章:「カプコンショックの明と暗 (明)」

2008年05月21日

過去のコラム編集:2001年3月「カプコン撤退?〜カプコンが出した絶縁状〜」Part2

当該のゲーム業界コラム記事は、2001年3月26日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「カプコン撤退?〜カプコンが出した絶縁状〜」の第二章です。


プレイステーション2が発売された2000年前後、業務用ゲーム市場は不振に喘いでいました。小規模ゲームセンターの売上不振が鮮明になり、ゲームセンター運営大手であるタイトーやナムコも同事業が不振に陥り、同様にゲームセンター運営大手であるセガが家庭用ゲーム部門でもドリームキャスト撤退により、深刻な経営危機に陥っておりました。


ゲームセンター事業はその後スクラップアンドビルドにより大規模化し、家族でも遊べる「屋内アミューズメントパーク化」を推し進め大きく改善しますが、それはまだ先の話であり、ゲームセンターの将来に対して皆、悲観的になっていた時期でもありました。


そんな時、業務用ゲーム開発大手であるカプコンが、業務用ゲーム事業の大規模な縮小を行うとメディアに大きく報道されます。大ヒット格闘ゲームなどを開発したカプコンの事実上撤退は驚きを以て受け止められますが、カプコンの「決断」が業界全体やカプコン社そのものにどのような影響を与えるのか、を考察したものを下記にて記載しております。





過去のコラム編集:2001年3月「「カプコン撤退?〜カプコンが出した絶縁状〜」Part2第二章:「日経の報道とカプコンの否定」


この章では、両者の主張の食い違う点に注目し、それがあまりずれていないことと、カプコンが実際、業務用ゲームソフト事業に関して、どんな道を選んだのか、ということを推測してみたい。


日経新聞側の報道では、「新作ソフトの開発を止め、年内に撤退する」というものであるのに対し、カプコン側は「正式には撤退は決めていないが、業務用を縮小させつつ、業務用ソフトも供給する」と主張する。


単純に考えると、縮小させるが業務用ソフトは引き続き供給していくとするカプコンの主張は、撤退を伝えた日経新聞側と対立する格好になる。しかし、良く考えてみると両者の対立点は意外に少ない。表面上では対立しつつも、実際はあまり食い違っていないのである。


まず、明らかに対立している「撤退と縮小」であるが、言葉にすると大きな違いがあるものの、両者の間にそれほどの隔たりはない。基本的にカプコンの売上高に占める業務用ゲームソフト事業の割合は10%前後でしかない


この数字を仮にカプコンが5%に半減させたとしよう(この仮定条件はそれほどおかしいものではないだろう。カプコンは縮小させる方向性を持っているのだから)。すると、カプコンの売上高の95%は業務用ゲームソフト事業以外からの収入で賄われることになる。わずか5%ほどしか売上に貢献しない事業は会社にとってあまり重要ではない。


業務用ゲームソフト事業が最盛期であったころの売上高に占める比率は30%であったのは前記した通りである。その時は、この事業は最も重要視されていたはずであろう。だが、それが5分の1にまで落ち込めば、会社の待遇は今までと同じであるはずがない。


2001 年1月25日に発売されたプレイステーション2用ソフト「鬼武者」の開発費が10億円を超えているといわれている。それに対して、業務用ゲームソフト事業の売上構成比が今述べたとおり、5%となるとわずか20億円程の売上でしかなくなる(今期の業績10%・39億円をそのまま半減させる)。


たった1ソフトの開発費と、1事業部門の売上の差が2倍程度でしかないのである。これでは、日経新聞に(事実上の)撤退と認識されてもしょうがない。


次に「ソフトの開発問題」であるが、カプコン側は「ソフトを引き続き供給していく」としか言っていない。これが「今後もカプコンの新製品を世に出し続ける」と考えるのは早計であろう。「ソフトの供給」は自社の在庫商品であるかもしれないし、他社のソフトであるかもしれないからだ。


しかも、カプコンは「業務用ゲームソフト事業は縮小させる」方向で動いている。規模を縮小させつつ、大型の新作ソフトを開発し販売していく事は、現実的に難しいと言わざるを得ない。


ただ、無難な新作を細々と開発する事は多いに考えられる。現にカプコンは「機動戦士ガンダム 連邦vs.ジオン」「プロキアの嵐」などの新作をリリースする予定でいる。しかし、カプコンとしてはこれら新作に大きな期待はしていないだろう。


そこそこのヒットを狙える新作であるとは会社側も思っているだろうが、所詮はその程度でしかない。数年前に同じ業務用ゲームソフト事業で大ヒットを飛ばした会社の対応とはとても思えない劇的な変化である。


こうしてみると、カプコンは業務用ゲームソフト事業から事実上撤退するものの、完全に止めてしまうことはせず、細々と続けていくという「生かしも殺しもしない」政策をとったと推測できる。この変化を日経新聞は「撤退」と考え、記事にした。事実はこんな所ではないか。つまり、今回の報道はいわゆる「誤報」ではなく、ほぼ真実を伝えていると言って良い。カプコンが否定したのは日経新聞側の使った「表現」だけだと思われる。(つづく)


続きはこちら→第三章:「カプコン決断のわけ」

2008年05月18日

過去のコラム編集:2001年3月「カプコン撤退?〜カプコンが出した絶縁状〜」Part1

当該のゲーム業界コラム記事は、2001年3月26日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「カプコン撤退?〜カプコンが出した絶縁状〜」の第一章です。


プレイステーション2が発売された2000年前後、業務用ゲーム市場は不振に喘いでいました。小規模ゲームセンターの売上不振が鮮明になり、ゲームセンター運営大手であるタイトーやナムコも同事業が不振に陥り、同様にゲームセンター運営大手であるセガが家庭用ゲーム部門でもドリームキャスト撤退により、深刻な経営危機に陥っておりました。


ゲームセンター事業はその後スクラップアンドビルドにより大規模化し、家族でも遊べる「屋内アミューズメントパーク化」を推し進め大きく改善しますが、それはまだ先の話であり、ゲームセンターの将来に対して皆、悲観的になっていた時期でもありました。


そんな時、業務用ゲーム開発大手であるカプコンが、業務用ゲーム事業の大規模な縮小を行うとメディアに大きく報道されます。大ヒット格闘ゲームなどを開発したカプコンの事実上撤退は驚きを以て受け止められますが、カプコンの「決断」が業界全体やカプコン社そのものにどのような影響を与えるのか、を考察したものを下記にて記載しております。





過去のコラム編集:2001年3月「「カプコン撤退?〜カプコンが出した絶縁状〜」Part1第一章(前編):「完全撤退」



2001年3月19日付の日本経済新聞(日経新聞)に衝撃的なあるニュースが掲載された。それはゲーム業界全体にとって大変好ましくない決定を伝えるニュースであった。何かといえば、「カプコン、業務用ゲームからの撤退を決断」である。日経新聞で報道された主な内容は次の通りである。



 ・年内に業務用ゲームソフト事業から撤退する。
 ・開発中のソフトを除き新作ソフトの開発を見送る。
 ・家庭用ゲームソフト事業に経営資源を集中させる。
 ・旧作の販売は当面継続する。



同記事にはカプコンが業務用ゲームソフト事業から撤退する理由として、カプコン内における業務用ゲームソフト事業の売上の急落や、業界全体の今後も回復は見込めないことをあげている。


2001 年3月期の業務用ソフトの売上高は39億円(見こみ額)と、最盛期の規模に比べると、額で5分の1、単独売上高に占める割合では30%から10%程度にまで落ち込んでいる。この程度の規模であるなら、会社側も事業を続けるメリットが少ないと判断したために、今回の決定に至ったと思われる。

 
第一章(後編):「誤報?」


日経新聞が衝撃的なニュースを報じてからまもなく、最新のゲーム情報を伝える各種ホームページにある一文がアップされていた。意外な事に、先ほど日経新聞が伝えたニュースを否定するカプコン側の声明であった。


「本日、一部報道機関において当社業務用ゲームソフト事業からの撤退する旨、報道がなされておりますが、弊社から公式に発表したものではなく、現時点で正式に決定されたものではありません。当社といたしましては、来期は業務用部門を縮小し、家庭用ゲームソフト事業に注力するものの、引き続き、業務用ソフトも供給してまいります。(カプコン 経営企画室 証券業務チーム)」(2001年3月19日 「ファミ通ドットコム」より)


カプコン側のすばやい否定声明で、この日経新聞の報道は誤報であると思われた。実際、報道機関が誤報を流す事は少なくない。最近では、あるアメリカの報道機関が「任天堂がセガを買収する」という嘘とも本当ともつかないニュースを掲載し、両社から抗議を受けた事がある。この先例を鑑みると、今回のカプコン撤退報道も誤報に見えてしまう。


では、カプコン側の否定でこの一件は収まったといえるのであろうか。そう簡単にはいかない、と筆者は考える。それは何故だろうか。どうして、当事者が否定したことを筆者は疑うのだろうか。次の章からその理由を考えてみたい。(つづく)



続きはこちら→第二章:「日経の報道とカプコンの否定」

2008年05月04日

過去のコラム編集:2001年4月「ケータイに懸ける淡い期待〜携帯電話市場の限界と夢」Part5

当該のゲーム業界コラム記事は、2001年4月17日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「ケータイに懸ける淡い期待〜携帯電話市場の限界と夢」の第五章(最終章)です。



今でこそ、多様な使い方がされている携帯電話ですが、2000年頃ではNTTドコモの「iモード」が登場したばかりでまだまだ普及期にありました。

J−phoneの「写メール」やドコモの「iモード」の出現は、携帯電話そのものを「単なる携帯できる電話機」ではない「コミュニケーションツール」として進化させることになりますが、そこに目をつけたのがゲーム業界でした。

すでに2001年頃には、ゲーム業界には「ケータイ脅威論」のような考えがあり、携帯電話にゲームユーザーの余暇とお金が奪われたとの認識があったため、逆に携帯電話にゲーム配信を行うことで取り込んでしまおうとの試みがありました。

今回のコラムはその当時の携帯電話に、ソフトメーカーが懸けた期待とその限界を題材として構成されております。




過去のコラム編集:2001年4月「ケータイに懸ける淡い期待〜携帯電話市場の限界と夢」Part5第五章(最終章):「夢は叶うのか」


ゲームメーカーが抱く淡い期待は、本当に叶えられるものであろうか。その答えはまだ出ていない。ただ、確実に言える事は、面白いゲームを作り出さなければ、2000億円市場の誕生は決してありえない、ということだけである。しかも、ただ「おもしろい」を打ち出したゲームでは苦戦するかもしれない。


筆者が考えるに、携帯電話ゲームが成功するには、単純に面白さを追求しただけのゲームではなく、携帯電話の特長を生かした面白さを前面に押し出した「面白い」ゲームを作りだせるかどうかに懸かっていると思う。


つまり、携帯電話でしか出来ない面白いゲームを供給していかなければ、成功する確率は低いと考えている。なぜなら、携帯電話の特長を活かさず、既存のゲームハードでも出来るようなゲームを、わざわざ携帯電話でプレイする理由が無いからだ。


「ゲームボーイやプレイステーションでもできるゲームならば携帯でやる必要があるのか」


ユーザーにそう思われては、成功は難しいであろう。逆に「携帯でこのゲームがやりたい」と思わせれば、携帯電話ゲーム市場は巨大市場になる


携帯電話ならではの新しい面白さを追求したゲームを開発し、世に送り出す。これが、ゲームメーカーに与えられた課題だ。もし、携帯電話の特長を活かし、携帯電話以外のゲームハードでは絶対にできない(ゲームが成立しない)面白いゲームをどこかのメーカーが作ったとき、ゲーム業界はこの巨大市場を手中に収められるかもしれない


携帯電話ゲーム市場を巨大な市場に成長させるのも、数百億円という小さな市場に留めるのも、すべてはゲームメーカーのアイディア一つに懸かっている。(おわり)

2008年05月03日

過去のコラム編集:2001年4月「ケータイに懸ける淡い期待〜携帯電話市場の限界と夢」Part4

当該のゲーム業界コラム記事は、2001年4月17日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「ケータイに懸ける淡い期待〜携帯電話市場の限界と夢」の第四章(後編)です。



今でこそ、多様な使い方がされている携帯電話ですが、2000年頃ではNTTドコモの「iモード」が登場したばかりでまだまだ普及期にありました。

J−phoneの「写メール」やドコモの「iモード」の出現は、携帯電話そのものを「単なる携帯できる電話機」ではない「コミュニケーションツール」として進化させることになりますが、そこに目をつけたのがゲーム業界でした。

すでに2001年頃には、ゲーム業界には「ケータイ脅威論」のような考えがあり、携帯電話にゲームユーザーの余暇とお金が奪われたとの認識があったため、逆に携帯電話にゲーム配信を行うことで取り込んでしまおうとの試みがありました。

今回のコラムはその当時の携帯電話に、ソフトメーカーが懸けた期待とその限界を題材として構成されております。




過去のコラム編集:2001年4月「ケータイに懸ける淡い期待〜携帯電話市場の限界と夢」Part4第四章 後編:「淡い期待〜客単価の増加〜」


ゲームメーカーが狙っているのは、本当はこの点であるかもしれない。コナミ北上本部長の発言に代表されるように、しきりに「将来」という言葉を連発する裏には、携帯電話利用者が、一人当たり120円程度でしかなかった利用料を今後、増やすと見込んでいるからではないだろうか。


現在、携帯コンテンツにおける客単価は120円程度でしかないが、それが、この後もずっとその水準で落ち着くとは限らない。今は、携帯電話ゲームと言っても、かつて業務用ゲームや家庭用ゲームとして世に出ていたゲームがリメイクされて、配信されているものが多いため、それほど騒がれるようなゲームは登場していない。


だが、この傾向は徐々に改善されていくと考えられる。なぜなら、過去のリメイク作品を用いるのでは無く、携帯電話独自のゲームを配信する動きが既にあるからだ。そうした流れを作りつつある一つのゲームメーカーが「ドワンゴ」だ。


2001年3月19日付の日経産業新聞に、ドワンゴのゲーム制作に携わる清水亮氏がインタビューに応じた記事がある。そこにはこういった一文があった。


ドワンゴのゲームはかつて、通信料を含めた一カ月の利用料が十万円を超えるヘビーユーザーを続出させた逸話を持つ。『ドコモから通信料を抑制する仕組みをゲームに取り入れるよう要請されたほどだった』と清水氏は苦笑する


この、10万円を超える利用料を払ってでもドワンゴのゲームをやりたいと思わせた成功体験は、「携帯電話独自のゲームを生み出す事によって客単価の増加を見こめる」というゲームメーカーの目論見を見事に実現させたものではなかっただろうか


もし、携帯電話ゲームの主流が、今のようなリメイク全盛から、携帯電話独自のゲームになった場合、客単価は一体どうなるのであろうか。携帯電話でしか、そのゲームが出来ないと考えれば、ユーザーはそれ相応の金額を投入してでもやるだろう。


すると、客単価は以前の120円程度の水準が維持されるとは到底思えない。数百円や千数百円にまで伸びる可能性だって充分にあるのだ。ゲームメーカーが狙っているのはまさにここだ。


それだけに、月額500円とか、800円、 1000円といった価格の携帯電話ゲームが表れることもありえよう。この金額は携帯電話コンテンツとしては破格の値段だが、一般のゲームソフトに比べると激安なのである(通常、新作ゲームを主に遊ぶ期間は数ヶ月。仮に6800円の新作を買ったとして、3ヶ月遊ぶとすると、一月分のソフト代は2267円になる。これでは、携帯電話ゲームのほうが断然安いことになる)。


携帯電話独自のゲームを投入によって、客単価の増加・急騰は決して夢物語では無いだろう。そうなると、携帯電話コンテンツの市場規模は、以前計算していたものとは比べ物にならないくらい拡大する。


前に、一人あたりの月額使用料を120円と仮定し、3000万人が一年間利用すると、市場規模は432億円になるといった。だが、今回は客単価を600円だと仮定すると(一般的な携帯電話ゲームサイトの月額使用料300円を単純に倍にする)、市場規模は2160億円(600円×12ヶ月×3000万人)にもなってしまうのだ。


この巨大市場は、ゲームメーカーにとって非常に魅力的だ。だからこそ、ゲームメーカーはこぞって、携帯電話ゲーム市場に参入しているのである。(つづく)


→続きはこちら:第五章(最終章)「夢は叶うのか」

過去のコラム編集:2001年4月「ケータイに懸ける淡い期待〜携帯電話市場の限界と夢」Part4

当該のゲーム業界コラム記事は、2001年4月17日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「ケータイに懸ける淡い期待〜携帯電話市場の限界と夢」の第四章(中編)です。



今でこそ、多様な使い方がされている携帯電話ですが、2000年頃ではNTTドコモの「iモード」が登場したばかりでまだまだ普及期にありました。

J−phoneの「写メール」やドコモの「iモード」の出現は、携帯電話そのものを「単なる携帯できる電話機」ではない「コミュニケーションツール」として進化させることになりますが、そこに目をつけたのがゲーム業界でした。

すでに2001年頃には、ゲーム業界には「ケータイ脅威論」のような考えがあり、携帯電話にゲームユーザーの余暇とお金が奪われたとの認識があったため、逆に携帯電話にゲーム配信を行うことで取り込んでしまおうとの試みがありました。

今回のコラムはその当時の携帯電話に、ソフトメーカーが懸けた期待とその限界を題材として構成されております。




過去のコラム編集:2001年4月「ケータイに懸ける淡い期待〜携帯電話市場の限界と夢」Part4
第四章(中編):「淡い期待〜新規ユーザーの獲得〜」
 



ゲームメーカーが考える利益とは、まず第一に「新規ユーザーの獲得」であろう。日本国民の二人に一人は携帯電話を持っているため、携帯ユーザー層は幅広い。既存のゲームの主要購入者である若年者層だけではなく、ゲームに殆ど触れずにいる年齢層の人達にも携帯電話は普及しているのである。


ゲームメーカーは携帯電話にゲームを供給する事によって、今までゲームにあまり触れずにいた人達を、ユーザーとしてととりこむことを狙っているのだ。


携帯電話で行うゲームは、従来のゲームと比べて敷居が低い。通常、ゲームをやるためにはハードを買ったり、メモリーカードを買ったり、ソフトウェアを買ったりと、決して安くは無い買物をしなければならない。だが、携帯電話ゲームではそんなことはない。月額わずか数百円を支払うだけで、手軽にゲームに親しむ事ができるのだ。この差は大きい。


そうなると、彼らにゲームにさえ興味を抱かせることができたならば、「100円ショップ」で気軽にモノを買うようにゲームもまた、買ってくれるかもしれない。そうして、ゲームに親しめば、新たにゲームハードやソフトを買って遊んでくれるかもしれない。ゲームメーカーはそう考えているのではないだろうか。


つまり、携帯電話ゲームを呼び水にして、新しいゲームユーザーを増やそうとしているのだ。(つづく)


→続きはこちら:第四章(後編)「淡い期待 〜客単価の増加〜」

過去のコラム編集:2001年4月「ケータイに懸ける淡い期待〜携帯電話市場の限界と夢」Part4

当該のゲーム業界コラム記事は、2001年4月17日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「ケータイに懸ける淡い期待〜携帯電話市場の限界と夢」の第四章(前編)です。



今でこそ、多様な使い方がされている携帯電話ですが、2000年頃ではNTTドコモの「iモード」が登場したばかりでまだまだ普及期にありました。

J−phoneの「写メール」やドコモの「iモード」の出現は、携帯電話そのものを「単なる携帯できる電話機」ではない「コミュニケーションツール」として進化させることになりますが、そこに目をつけたのがゲーム業界でした。

すでに2001年頃には、ゲーム業界には「ケータイ脅威論」のような考えがあり、携帯電話にゲームユーザーの余暇とお金が奪われたとの認識があったため、逆に携帯電話にゲーム配信を行うことで取り込んでしまおうとの試みがありました。

今回のコラムはその当時の携帯電話に、ソフトメーカーが懸けた期待とその限界を題材として構成されております。




過去のコラム編集:2001年4月「ケータイに懸ける淡い期待〜携帯電話市場の限界と夢」Part4第四章 前編:「淡い期待」


携帯電話市場における客単価の低さにも拘わらず、各ゲームメーカーがこぞって携帯電話にゲームを供給している背景には、携帯電話市場にかける「淡い期待」がある。この淡い期待が、ゲームメーカーの携帯電話市場への進出を支えている


「将来に向けての先行投資」(2001年1月11日付 日経産業新聞)「あくまでも将来を見据えた実験」(週刊ファミ通 2001 3・16号 P100)ゲームソフト大手のコナミのCS事業本部長北上一三氏は携帯電話にゲームを供給する事に対して、こう述べている。


北上本部長は「将来」という言葉を連発するが、その発言の裏には、携帯電話市場は将来、ゲームメーカーに利益をもたらすかもしれないという淡い期待がある。当然ながら、彼の言葉は携帯電話にゲームを供給している全メーカーの声でもある。では、将来「得られるかもしれない利益」とは何なのであろうか。筆者はそれを大きく2つに分けて、次に考えてみることにしたい。


→続きはこちら:第四章 中編「淡い期待 〜新規ユーザーの獲得〜」

2008年05月02日

過去のコラム編集:2001年4月「ケータイに懸ける淡い期待〜携帯電話市場の限界と夢」Part3

当該のゲーム業界コラム記事は、2001年4月17日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「ケータイに懸ける淡い期待〜携帯電話市場の限界と夢」の第三章です。



今でこそ、多様な使い方がされている携帯電話ですが、2000年頃ではNTTドコモの「iモード」が登場したばかりでまだまだ普及期にありました。

J−phoneの「写メール」やドコモの「iモード」の出現は、携帯電話そのものを「単なる携帯できる電話機」ではない「コミュニケーションツール」として進化させることになりますが、そこに目をつけたのがゲーム業界でした。

すでに2001年頃には、ゲーム業界には「ケータイ脅威論」のような考えがあり、携帯電話にゲームユーザーの余暇とお金が奪われたとの認識があったため、逆に携帯電話にゲーム配信を行うことで取り込んでしまおうとの試みがありました。

今回のコラムはその当時の携帯電話に、ソフトメーカーが懸けた期待とその限界を題材として構成されております。




過去のコラム編集:2001年4月「ケータイに懸ける淡い期待〜携帯電話市場の限界と夢」Part3
第三章:「携帯電話市場の現実」
 



携帯電話自体には期待をかける反面、大きな期待をしていない。ゲームメーカーの携帯電話市場への本音が「ファミ通アンケート」により解ったのだが、ただこの「本音」には疑問が残る。どうして、彼らは3000万人とも言われる携帯電話市場に魅力を感じていないのであろうか。数の上ではPS2ユーザーの何倍もの巨大な顧客層を抱える携帯電話市場をどうして重要視しないだろうか。それを知るためには携帯電話市場の現実を見る必要がある。


その現実とは、「客単価の低さ」だ。携帯電話のインターネット接続サービス市場で最も成功しているサイトは「キャラっぱ!」と言っても過言ではない。月額数百円と言う低価格で、各ユーザーにキャラクター画像を配信しているサービズだ。


このサービスを提供しているのが、バンダイネットワークスと言う会社である。同社は、こういったサービスを売りに360万人ものユーザーを有するほどの有力企業なのである。ただ、「キャラっぱ!」という巨大サイトを抱えるバンダイネットワークスでさえ、大きな問題がある。それは「客単価の低さ」である。


携帯向けコンテンツ業界は百円ショップと同じような構造」(2001年1月25日付 日経産業新聞)と同社社長である林俊樹氏は言う。確かに、「キャラっぱ!」は一人のユーザーに対して、キャラクター1種類につき100円の利用料しか徴収する事が出来ない。そのため、同社の一人一人のユーザーの利用料金は毎月平均して120〜130円程度でしかないのである。客単価が120〜130円では厳しい


一方、ゲームメーカーが製作・販売しているゲームソフトの場合、客単価は高い。ゲームソフトは一本数千円から一万円を超すものまである。例えば、誰か一人が6800円のソフト一本買うだけで、もうそれでメーカーには数千円の収入が転がり込むのだ。


客単価は携帯電話のそれと、何十倍もの開きが出てしまうのだ。単価の面からいえば、携帯電話ユーザーが束になっても、ゲームソフトユーザーにはかなわないのである。仮に、現在3000万人ともいわれているネット接続サービスを利用している人全員がバンダイネットワークスと同じような利用料金を支払ったとしても、年間で僅か432億円にしかならない(120円×12ヶ月×3000万人)。


他方、ゲームソフト市場は年間で4000億とも、5000億とも言われている。この差は半端ではない。この携帯電話市場の規模の小ささが、ゲームメーカーに過度の期待を抱かせない大きな理由なのである。(つづく)


続きはこちら→第四章:「淡い期待」