プレイステーション2が発売された2000年前後、業務用ゲーム市場は不振に喘いでいました。小規模ゲームセンターの売上不振が鮮明になり、ゲームセンター運営大手であるタイトーやナムコも同事業が不振に陥り、同様にゲームセンター運営大手であるセガが家庭用ゲーム部門でもドリームキャスト撤退により、深刻な経営危機に陥っておりました。
ゲームセンター事業はその後スクラップアンドビルドにより大規模化し、家族でも遊べる「屋内アミューズメントパーク化」を推し進め大きく改善しますが、それはまだ先の話であり、ゲームセンターの将来に対して皆、悲観的になっていた時期でもありました。
そんな時、業務用ゲーム開発大手であるカプコンが、業務用ゲーム事業の大規模な縮小を行うとメディアに大きく報道されます。大ヒット格闘ゲームなどを開発したカプコンの事実上撤退は驚きを以て受け止められますが、カプコンの「決断」が業界全体やカプコン社そのものにどのような影響を与えるのか、を考察したものを下記にて記載しております。
カプコンショックをカプコンの社内的に見るのではなく、業界全体で捉えるとどうなるのであろうか。確かに、カプコンの業務用ゲームソフト事業の売上は少なく、数字的な面から言えば、具体的な影響は、殆ど無いように思われる(カプコンの業務用ゲームソフト事業売上はわずか39億円でしかない)。
だが、カプコンの撤退は単に数字的な影響に留まらないと考えられる。それは、「90年代前半、ゲームセンターを賑わせた大手メーカーが手を引く」という事実に大きな問題があるからだ。「業務用ゲームソフト開発・販売を手がける大手がゲーセンというプラットフォームを見放した」のである。ゲームセンター側が受けた心理的ダメージは計り知れないだろう。
ゲーセン側にとって、今回の発表は「絶縁状」みたいなものだ。本来ならば、メーカーとゲーセンは「車の両輪」であるはずだ。どちらか一方が、頑張ってもゲーセン市場は動かない。ゲーセン市場を再び盛り上げるためには市場が冷え込んでいる今こそ、両者が協力し合って、活性化の道を探っていかなければならないはずである。それなのに、相方に「儲からないから止めた」と絶縁状を付きつけられてしまったのだ。ゲーセンのダメージは大きいであろう。
しかも、このカプコンショックが嫌な前例になる可能性もある。この後、他のメーカーも、カプコンのように「儲からなくなったからうやめる」と発表してしまうことだって考えられるのだ。カプコンショックの他のメーカーへの波及。これがゲーセンが最も恐れる事態の一つである。
さらに、カプコンショックは、ゲーセンからユーザーを引き離してしまうことも十分に考えられる。カプコンの撤退はゲーセンに良く行くユーザーにも、たまにしかいかないユーザーにも心理的ダメージを与えかねない。
あの「ストリートファイター2」で一時代を築いたカプコンが、もうゲーセンにソフトを(ほぼ)供給しなくなる。この報を聞いたユーザーはがっかりするだろうし、心理的に「漠然とした残念さ」を味わうであろう。
これによって、ユーザーは、これからのカプコンの業務用ゲームだけではなく、ゲーセン全体に期待しなくなる(=足を遠のかせる)可能性だってあるのだ。もちろん、これらは相当ネガティブな発想であるのは間違いない。が、可能性はゼロではない。影響は徐々に現れるかもしれないのだ。
もし、ゲーセン市場がこのままの状況で、改善が見こめない事になれば、カプコンショックの影響は少しづつ表れる。今回のカプコンの決断は、結果的にゲーセンを一層厳しい場所に追い込んでしまったといえよう。
ゲーセンの苦難の時代は続くことになる。(おわり)
