2007年10月21日

過去のコラム編集:2001年10月「スクウェアの決断 〜本業回帰へ〜」Part4

当該のゲーム業界記事は、2001年10月19日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「スクウェアの決断 〜本業回帰へ〜」の第四章(最終章)です。

2001年の記事ですので、かなり古い記述になっておりますが、文章の保存を
目的に掲載しております
ので、ご了承下さい。



第四章(最終章):「再建へ」


ゲームに特化してこなかったことで開発力が落ちている』(Mainichi INTERACTIVE ゲームクエスト「スクウェアにSCEが149億円出資 ゲーム立て直しへ」 2001年10月9日)。スクウェアの鈴木社長は、映画事業やオンライン事業に傾倒し過ぎていたこれまでの方針の弊害が本業に現れていることを認めた


確かに、蓋をあけて見なければ分からない、リスクの高い映画事業に、しかもたった一つの映画作品に160億円もの巨費を投じるのは尋常ではない。スクウェアをこれまで支えてきたゲームソフト「ファイナルファンタジー」(FF)シリーズでさえ『開発費は30−40億円程度かかる』(ZDNet 「スクウェア−映画事業のリスクをどう見るか」 2001年5月24日)というのであるから、映画「FF」の制作費が如何に常軌を逸したものであったのかが良く分かる


単純に考えて、映画の制作費だけで実にゲームソフト「FF」を4作品分も作ることできてしまう計算になる。それほどまで力を入れて映画事業を進め、しかもオンライン事業「プレイオンライン」にも『先行投資が大きかった』(2001年10月10日日経産業新聞)と経営陣に言わしめるほどの投資をしてきたのであるから、ゲーム開発が疎かになっていたとする鈴木社長のコメントも分かる気がする。


ただ、『スクウェアの博打』(ウィット・キャピタル証券 「カンパニーメモ:メディア&コンテンツ スクウェア」 田島健 2000年11月21日)とまで呼ばれた二つの事業が会社の経営に大きな打撃を与えた今、スクウェアに残された道は博打を止め、後回しになっていたゲーム開発に再び本腰を入れる以外にない。鈴木社長は言う。『これからはゲームの制作が中心となる、本業回帰を行ないます』(ファミ通.com 「SCEとスクウェアが緊急記者会見!」 2001年10月9日)と。


しかし、唯一気になるのは、その具体策がまだ示されていない点だ。ゲーム開発部門を強化するためには、当然掛け声だけでは駄目なはずである。口では開発部門を重視するとは言いつつも、具体的にどうやって強化するのかが無ければ、それは御題目でしかない。


本当に開発力を強化したくば、例えば開発部門への大幅な権限の委譲や、開発資金・人員の増加などの策を発表すべきなのではないのか。それを示さない所が、再建への道は決して平坦ではないことを窺わせる


優勝することは難しい。連覇する事はもっと難しい。だが、一番難しいのは一旦失った覇権を取り戻すことだ」。これはプロ野球で活躍し、その後も巨人・西鉄・大洋などの球団監督を務め、数々のチームを優勝に導いた名将・故三原脩の名言である。


三原は要するに「一度掴んだ栄光を再び取り戻す事ほど難しいものはない」と言っているのだ。鈴木社長は会見で『ミリオンセラーを多数発売して輝いていた時代のスクウェアを取り戻す』(2001年10月10日日経産業新聞)と意気込んでいたが、それはスクウェアにとって一番難しいことなのかもしれない。


だが、スクウェアには、その“イバラの道”を突き進む以外に道は残されていないのである。(おわり)
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