当該記事は、2002年?月?日(現在、月日は詳細不明)のメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「FF11は失敗か成功か 〜再考の必要性〜」の第四章です。
ご存じのように現在ではオンラインゲーム「ファイナルファンタジーXI」は会員数は50万人を超え、スクウェア・エニックスのオンラインゲーム部門は2006年3月期において営業利益59億円を稼ぎ出す優良事業へと成長しました。
ですが、2002年当時はまだ黒字化ができていない同部門へ下される評価は厳しいものでした。このコラムでは、4年前にオンラインゲーム、特にFFXIに与えられていた「失敗」との評価を再考し、同ゲームの成功はもう目の前に見えているのではないか、ということを考察した文章となっております。
そのため、タイムリーなコラムではないことをご了承下さい。
第四章:「FF11の将来」
FF11は失敗であると言われつつも、一定の評価ができる。しかし、最終的にFF11が成功するのか失敗するのかは、オンラインゲームの問題点として指摘されている「開発費の回収」「維持管理コスト」などの事柄に対して、どう対峙するかに掛かっているだろう。FF11が中長期で繁栄を続けるためには、こうした問題をクリアしていかなければならない。
オンラインゲームがパッケージソフトと違う点は、ソフトを継続的に利用してもらうことで常に利用料を徴収できる所にある。だが、それは「開発費の回収が長期化するリスク」と「ゲームを維持管理していくコスト」を新たに抱えてしまうことでもある。
回収期間が長期化すればそれだけ開発費を回収できない可能性が高くなる。最悪の場合、開発費が回収できないばかりか、維持管理コストだけが掛かってしまうことにもなる。FF11も当然ながらこうしたリスクにさらされている。
開発費に『ゲーム自体が30億円、通信技術関連10億円、サーバーなどの機材20億円、合計60億円』(注1)もの大金が掛かっている同ゲームには深刻な問題だ。これだけの金額を回収するには短期間では無理だろう。どうしても長期化は免れない。そうした問題をすべて解決するためには会員数の拡大しかない。会員数が多ければ多いほど、短期間での回収が可能になるからだ。
FF11の場合、会員数はサービス開始以来、順調に増加している。5月に5万人であった会員数が10月の時点で12万人に増加している。5ヶ月間で2.4倍にも増えている会員数を単純に月当りの増加率に換算すると、毎月約20%増になっている。
しかも『これまでの退会者は数百人』(2002年10月8日日経産業新聞)というきわめて高い定着率がある。さらに言えば、FF11は月々の利用料だけではなくFF11のソフト自体も販売して、その売上も収入源にしている。ソフトを販売することで少しではあるが、回収期間を短くすることができる。
仮にソフト自体を無料化し月々の利用料だけを収入源にしたとしても、ソフト販売の売り上げはゼロになるが会員数はさらに増加するはずだ。ソフトが有料であるにも関わらずこれだけの会員数を集められるのであるから、無料になれば会員数の増加に拍車をかけるだろう。会員数を増やすことがオンラインゲームを運営する側にとって最も重要なのだから、無料化したとしても長期的にはプラスになる。
将来的にFF11が成功できるかどうかは、現状の会員数の増加率と定着率をどう改善・維持を図っていくかにかかっていると言えよう。会員数の増加に関しては、スクウェアは動き始めている。パソコン版のFF11を発売したのはその一例だ。しかも、その効果はすでに現れている。
今年11月7日にパソコン版 FF11が発売されたが、同月13日にスクウェアが発表したパソコン版の会員数は『3万人』(注3)であるという。10月の時点で12万人であった会員数は11月現在で15万人に増え、増加率は前月比約25%増となった。これまでの増加率を多少ではあるが上回っている。この勢いが継続すれば、今年度中にも採算ラインである20万人を超えるだろう。もし、そうなった時FF11に与えられてきた否定的な評価を改める必要がある。
採算割れの水準であるからこそ、FF11は時期尚早である、あるいは失敗だと言われつづけてきたのだ。確かに、開発費も含めた全体の投資額を回収するのはまだまだ先だ。長い道のりになるのは間違い無い。
しかし、今はオンラインゲームへの投資を行う期間であると考えるべきだろう。投資期と収穫期を分けて考えるとするならば、オンラインゲーム市場が未成熟ないまの日本市場は投資期であると言える。
十分な投資をする時期にもう回収することばかり考えていては、自ら将来の収益源をつぶしてしまうことにもなりかねない。投資額の回収は、しかるべき未来に考えるべきものだ。今は、オンラインゲームが採算ラインに乗せることがもっとも重要であるはずなのだ。
FF11の黒字化が見えてきた今、FF11への評価を再考する時期にきている。(おわり)
注3 (「スクウェア:中間黒字転換、通期も上方修正-欧米向けソフト好調“2”」 ブルームバーグ 2002年11月13日)
初出:メールマガジン「ゲームいろいろ情報」2002年?月?日(月日は不明)
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2006年07月18日
2006年07月17日
「FF11は失敗か成功か 〜再考の必要性〜」Part3(2002.12.3)
当該記事は、2002年12月3日にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「FF11は失敗か成功か 〜再考の必要性〜」の第三章です。
ご存じのように現在ではオンラインゲーム「ファイナルファンタジーXI」は会員数は50万人を超え、スクウェア・エニックスのオンラインゲーム部門は2006年3月期において営業利益59億円を稼ぎ出す優良事業へと成長しました。
ですが、2002年当時はまだ黒字化ができていない同部門へ下される評価は厳しいものでした。このコラムでは、4年前にオンラインゲーム、特にFFXIに与えられていた「失敗」との評価を再考し、同ゲームの成功はもう目の前に見えているのではないか、ということを考察した文章となっております。
そのため、タイムリーなコラムではないことをご了承下さい。
第三章:「評価される理由」
会員数が採算ラインに乗らなくても、FF11を評価する声がある。『オンラインゲームとして見れば一定の評価ができる』(前出)と口にしているのはエンターブレイン浜村社長だ。一体、どのような理由があってFF11を肯定的に見ているのだろうか。
FF11が評価をされている最大の理由は会員数の多さであろう。失敗の原因であると指摘されていたFF11の会員数だが、見方を変えれば評価に値する数字である。採算ラインが約20万人である限り、現状の会員12万人は少ないと言える。だが、絶対数で見れば12万人という数字は非常に評価できる。
まず、オンラインゲーム市場がまだまだ未成熟な日本で12万人もの会員を集められたのはお見事だと言っても良いだろう。世界でも有数のオンラインゲーム開発企業である韓国のNCソフトが開発し、『世界最大のオンラインゲーム』(2002年9月30日 日経産業新聞)と称されている『リネージュ』でさえ、日本での会員数は今年2月からのサービス開始以来、9月時点まで『四万人の有料会員』(同)しか集められていない。
一方のFF11の会員数は5月27日の時点で『5万人強』(注2)であると、同日のスクウェア決算説明の際に発表されている。同月16日の発売後、わずか数日間ほどで5万人の会員を獲得したのだ。
しかも、FF11をプレイするためにはソフト以外にもハードディスクなども揃えなければならず、ユーザーにとってはとても高いハードルがあったのに「リネージュ」を超える会員数をわずかな期間で確保できたのだ。現在では、さらに多くのユーザーが会員になっている。サービス開始から約半年間での12万人という集客力は、他のオンラインゲームと比較しても決して低いものではない。
さらには、その会員数の増加率にも注目する必要がある。今年5月のサービス開始から数日で5万人強、その5ヵ月後の10月の時点では12万人強にまで増加している。わずか5ヶ月で約2.4倍に急増しているのだ。単純に考えると5万人を集めた5月から毎月、前月比約20%増のペースで会員数が増えている計算になる。
この増加率はいつまで続くかわからないが、もしこのペースをあと少し保てるのであれば、採算ラインと言われている20万人を今期中に獲得できるだろう。これまでの増加率を考えれば、黒字化の道のりはそう険しいものではないのだ。
会員数の絶対数と増加率。この二つの要素はFF11を充分評価できる地位に押し上げている。それにも関わらず、FF11が失敗といわれるのはスクウェアの自ら設定したハードルが高すぎただけなのだ。
もし、スクウェアがハードルをもっと低い位置に置いていれば、今ごろは成功だと言われているだろう。収益面だけでFF11を判断すると、このゲームの評価すべき点を見逃してしまう恐れがある。FF11は“失敗”ではないのだ。
注2 (「スクウェア:下記純損失は32億円の赤字-今通期は42億円の黒字へ
“2”」 ブルームバーグ 2002年5月27日)
(つづく)
初出:メールマガジン「ゲームいろいろ情報」2002年12月3日
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ご存じのように現在ではオンラインゲーム「ファイナルファンタジーXI」は会員数は50万人を超え、スクウェア・エニックスのオンラインゲーム部門は2006年3月期において営業利益59億円を稼ぎ出す優良事業へと成長しました。
ですが、2002年当時はまだ黒字化ができていない同部門へ下される評価は厳しいものでした。このコラムでは、4年前にオンラインゲーム、特にFFXIに与えられていた「失敗」との評価を再考し、同ゲームの成功はもう目の前に見えているのではないか、ということを考察した文章となっております。
そのため、タイムリーなコラムではないことをご了承下さい。
第三章:「評価される理由」
会員数が採算ラインに乗らなくても、FF11を評価する声がある。『オンラインゲームとして見れば一定の評価ができる』(前出)と口にしているのはエンターブレイン浜村社長だ。一体、どのような理由があってFF11を肯定的に見ているのだろうか。
FF11が評価をされている最大の理由は会員数の多さであろう。失敗の原因であると指摘されていたFF11の会員数だが、見方を変えれば評価に値する数字である。採算ラインが約20万人である限り、現状の会員12万人は少ないと言える。だが、絶対数で見れば12万人という数字は非常に評価できる。
まず、オンラインゲーム市場がまだまだ未成熟な日本で12万人もの会員を集められたのはお見事だと言っても良いだろう。世界でも有数のオンラインゲーム開発企業である韓国のNCソフトが開発し、『世界最大のオンラインゲーム』(2002年9月30日 日経産業新聞)と称されている『リネージュ』でさえ、日本での会員数は今年2月からのサービス開始以来、9月時点まで『四万人の有料会員』(同)しか集められていない。
一方のFF11の会員数は5月27日の時点で『5万人強』(注2)であると、同日のスクウェア決算説明の際に発表されている。同月16日の発売後、わずか数日間ほどで5万人の会員を獲得したのだ。
しかも、FF11をプレイするためにはソフト以外にもハードディスクなども揃えなければならず、ユーザーにとってはとても高いハードルがあったのに「リネージュ」を超える会員数をわずかな期間で確保できたのだ。現在では、さらに多くのユーザーが会員になっている。サービス開始から約半年間での12万人という集客力は、他のオンラインゲームと比較しても決して低いものではない。
さらには、その会員数の増加率にも注目する必要がある。今年5月のサービス開始から数日で5万人強、その5ヵ月後の10月の時点では12万人強にまで増加している。わずか5ヶ月で約2.4倍に急増しているのだ。単純に考えると5万人を集めた5月から毎月、前月比約20%増のペースで会員数が増えている計算になる。
この増加率はいつまで続くかわからないが、もしこのペースをあと少し保てるのであれば、採算ラインと言われている20万人を今期中に獲得できるだろう。これまでの増加率を考えれば、黒字化の道のりはそう険しいものではないのだ。
会員数の絶対数と増加率。この二つの要素はFF11を充分評価できる地位に押し上げている。それにも関わらず、FF11が失敗といわれるのはスクウェアの自ら設定したハードルが高すぎただけなのだ。
もし、スクウェアがハードルをもっと低い位置に置いていれば、今ごろは成功だと言われているだろう。収益面だけでFF11を判断すると、このゲームの評価すべき点を見逃してしまう恐れがある。FF11は“失敗”ではないのだ。
注2 (「スクウェア:下記純損失は32億円の赤字-今通期は42億円の黒字へ
“2”」 ブルームバーグ 2002年5月27日)
(つづく)
初出:メールマガジン「ゲームいろいろ情報」2002年12月3日
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2006年07月16日
「FF11は失敗か成功か 〜再考の必要性〜」Part2(2002.11.26)
当該記事は、2002年11月26日にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「FF11は失敗か成功か 〜再考の必要性〜」の第二章です。
ご存じのように現在ではオンラインゲーム「ファイナルファンタジーXI」は会員数は50万人を超え、スクウェア・エニックスのオンラインゲーム部門は2006年3月期において営業利益59億円を稼ぎ出す優良事業へと成長しました。
ですが、2002年当時はまだ黒字化ができていない同部門へ下される評価は厳しいものでした。このコラムでは、4年前にオンラインゲーム、特にFFXIに与えられていた「失敗」との評価を再考し、同ゲームの成功はもう目の前に見えているのではないか、ということを考察した文章となっております。
そのため、タイムリーなコラムではないことをご了承下さい。
第二章:「失敗の背景」
FF11が失敗だと判断されている最大の理由は、「利益」が出ないソフトだからだろう。スクウェアが発表しているFF11の採算ラインは約20万人であるが、現状の会員数はその6割程度でしかない。同社からすると、早い時期(今年夏頃)から採算ラインを突破するだろうと予測していたらしく、今期2003年3月期ではオンラインゲーム事業で4億円の営業利益を出すと見込んでいた。
しかし現状の水準であれば、それは厳しいと言わざるを得ない。採算割れが発生した直接の理由は、12万人の会員数でも利益が生まれるような体制を構築していなかったことにある。では、どうして少ない会員数でも収益を確保できる事業体制を築かなかったのか。その理由は、スクウェアが「ファイナルファンタジー」シリーズを抱えているからである。
FFシリーズはゲーム業界を代表するソフトだ。累計出荷本数が4000万本を超えるほどの優良コンテンツはスクウェアが生み出したものだ。このFFシリーズのお陰でスクウェアは成長できたと言っても過言ではない。しかし、このFFシリーズを抱えているからこそFF11での失敗に繋がったのだとも言える。なぜなら、FFという強固なブランドがあるためにスクウェアの経営が安定しているからである。
FFシリーズはその第一作が1987年に世に出てからすでに15年ほど経っている。新作を発売するごとに大ヒットになるソフトを抱えていれば、よっぽどの失敗をやらかさない限り、経営は安定する。逆に、そうならなければ経営者として失格だろう。事実、昨年の映画事業の失敗による赤字を除くと多くの年度で黒字を達成してきている。
この優良コンテンツがあれば、仮にFF11で計画通りの収益が見込めずに採算割れを起こしたとしても、社全体としてはFFシリーズの新作が販売され続ける限り、経営の根幹を揺るがす事態にはならない。4億円の黒字予想から、実際はまったく逆の4億円の赤字になったとしてもそれほど大問題ではない。
そもそもスクウェアはFF11を長期的な視点で見ているのだ。『4〜5年かけてじっくり市場を育てたい』(Mainichi INTERACTIVE ゲームクエスト 『“FF11は長期的視点で”スクウェア・和田社長』 2002年5月1日)と言っているぐらいだ。
この余裕はFFシリーズに守られているからこそ言える言葉だ。だが、その余裕は失敗の遠因でもある。FFシリーズという大黒柱があるからこそ、同社はFF11の収益にあまり敏感にならなくても良いのである。
そんな状況であれば、オンライン事業に関して多少ドンブリ勘定になってしまうのも仕方が無い。スクウェアが発表した今期の業績予想では同事業が黒字化すると言っているが、必ずしも黒字にしなくても良い。
予想はあくまで予想なのだ。もし黒字化を達成できなくても株主・投資家に謝罪し、近い将来大きな収入源になると釈明すれば良いだけの話である。同社にとって今期のFF11の黒字化は義務ではなく、おそらく努力目標なのだから。
(つづく)
初出:メールマガジン「ゲームいろいろ情報」2002年11月26日
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ご存じのように現在ではオンラインゲーム「ファイナルファンタジーXI」は会員数は50万人を超え、スクウェア・エニックスのオンラインゲーム部門は2006年3月期において営業利益59億円を稼ぎ出す優良事業へと成長しました。
ですが、2002年当時はまだ黒字化ができていない同部門へ下される評価は厳しいものでした。このコラムでは、4年前にオンラインゲーム、特にFFXIに与えられていた「失敗」との評価を再考し、同ゲームの成功はもう目の前に見えているのではないか、ということを考察した文章となっております。
そのため、タイムリーなコラムではないことをご了承下さい。
第二章:「失敗の背景」
FF11が失敗だと判断されている最大の理由は、「利益」が出ないソフトだからだろう。スクウェアが発表しているFF11の採算ラインは約20万人であるが、現状の会員数はその6割程度でしかない。同社からすると、早い時期(今年夏頃)から採算ラインを突破するだろうと予測していたらしく、今期2003年3月期ではオンラインゲーム事業で4億円の営業利益を出すと見込んでいた。
しかし現状の水準であれば、それは厳しいと言わざるを得ない。採算割れが発生した直接の理由は、12万人の会員数でも利益が生まれるような体制を構築していなかったことにある。では、どうして少ない会員数でも収益を確保できる事業体制を築かなかったのか。その理由は、スクウェアが「ファイナルファンタジー」シリーズを抱えているからである。
FFシリーズはゲーム業界を代表するソフトだ。累計出荷本数が4000万本を超えるほどの優良コンテンツはスクウェアが生み出したものだ。このFFシリーズのお陰でスクウェアは成長できたと言っても過言ではない。しかし、このFFシリーズを抱えているからこそFF11での失敗に繋がったのだとも言える。なぜなら、FFという強固なブランドがあるためにスクウェアの経営が安定しているからである。
FFシリーズはその第一作が1987年に世に出てからすでに15年ほど経っている。新作を発売するごとに大ヒットになるソフトを抱えていれば、よっぽどの失敗をやらかさない限り、経営は安定する。逆に、そうならなければ経営者として失格だろう。事実、昨年の映画事業の失敗による赤字を除くと多くの年度で黒字を達成してきている。
この優良コンテンツがあれば、仮にFF11で計画通りの収益が見込めずに採算割れを起こしたとしても、社全体としてはFFシリーズの新作が販売され続ける限り、経営の根幹を揺るがす事態にはならない。4億円の黒字予想から、実際はまったく逆の4億円の赤字になったとしてもそれほど大問題ではない。
そもそもスクウェアはFF11を長期的な視点で見ているのだ。『4〜5年かけてじっくり市場を育てたい』(Mainichi INTERACTIVE ゲームクエスト 『“FF11は長期的視点で”スクウェア・和田社長』 2002年5月1日)と言っているぐらいだ。
この余裕はFFシリーズに守られているからこそ言える言葉だ。だが、その余裕は失敗の遠因でもある。FFシリーズという大黒柱があるからこそ、同社はFF11の収益にあまり敏感にならなくても良いのである。
そんな状況であれば、オンライン事業に関して多少ドンブリ勘定になってしまうのも仕方が無い。スクウェアが発表した今期の業績予想では同事業が黒字化すると言っているが、必ずしも黒字にしなくても良い。
予想はあくまで予想なのだ。もし黒字化を達成できなくても株主・投資家に謝罪し、近い将来大きな収入源になると釈明すれば良いだけの話である。同社にとって今期のFF11の黒字化は義務ではなく、おそらく努力目標なのだから。
(つづく)
初出:メールマガジン「ゲームいろいろ情報」2002年11月26日
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2006年07月15日
「FF11は失敗か成功か 〜再考の必要性〜」Part1(2002.11.20)
当該記事は、2002年11月20日にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「FF11は失敗か成功か 〜再考の必要性〜」の第一章です。
ご存じのように現在ではオンラインゲーム「ファイナルファンタジーXI」は会員数は50万人を超え、スクウェア・エニックスのオンラインゲーム部門は2006年3月期において営業利益59億円を稼ぎ出す優良事業へと成長しました。
ですが、2002年当時はまだ黒字化ができていない同部門へ下される評価は厳しいものでした。このコラムでは、4年前にオンラインゲーム、特にFFXIに与えられていた「失敗」との評価を再考し、同ゲームの成功はもう目の前に見えているのではないか、ということを考察した文章となっております。
そのため、タイムリーなコラムではないことをご了承下さい。
第一章:「疑念」
オンラインゲームの将来性に疑念が生まれつつある。未来のゲーム業界のけん引役を務めると期待されてきたが、ここにきてオンラインゲームの成長性が疑われ始めている。きっかけとなったのがスクウェアが提供している「ファイナルファンタジー11」(FF11)の“不振”だ。
当初の会員数の目標は『百万人程度』(2002年1月10日 日経金融新聞)に定められていたFF11。いきなり100万人という大台が目標であっただけに、スクウェアの期待がいかに大きかったかがわかる。だが、映画事業の失敗に代表されるようにここ数年、スクウェア本体の業績が悪化したため、全社的なコスト構造の見直しを迫られた結果、当然ながら新規事業であるオンライン事業も縮小され、最終的に『二十万人で収益を確保する』(2001年10月24日 日経産業新聞)という規模にまで引き下げられた。
壮大な数字から、現実的な数字への転換。オンライン事業の採算ラインを低くすることで同事業を早期に黒字化させ、業績回復の一役を担わせようとしたスクウェアであったが、それでも同社の目論見は達成困難と見られている。
『ビジネスモデルの見直しなどを加えなければ、収益源への成長は難しい』(2002年10月21日 日経金融新聞)と判断されている最大の原因は会員数の“不足”であろう。10月の時点で採算ラインである約20万人には遥かに及ばない『十二万人強』(同)でしかない。この水準では黒字化は微妙である。
そんな現状からオンラインゲームに対する慎重論も出てきている。SCE(注1)の久多良木社長と任天堂の岩田社長は『普及には時間がかかる』(2002年10月8日 日経産業新聞)、『FF11は時期尚早』(Mainichi INTERACTIVE ゲームクエスト 「“FF11は時期尚早”任天堂・岩田新社長が批判」 2002年6月6日)との見解を示している。任天堂山内前社長はもっとはっきり『FF11は失敗だった』(同)と述べている。
では、FF11は“失敗”したのだろうか。一方、それにも関わらずFF11を評価する声もある。『オンラインゲームとして見れば一定の評価ができる』(2002年10月8日 日経産業新聞)と見ているのはエンターブレイン浜村社長だ。浜村氏に“評価できる”と言われた理由は何なのか。
今回は、FF11がなぜ“失敗”したのかを考えると共に、そんな中でも評価されている理由について考えてみることにしたい。
注1…ソニー・コンピュータエンタテインメント
初出:メールマガジン「ゲームいろいろ情報」2002年11月20日
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ご存じのように現在ではオンラインゲーム「ファイナルファンタジーXI」は会員数は50万人を超え、スクウェア・エニックスのオンラインゲーム部門は2006年3月期において営業利益59億円を稼ぎ出す優良事業へと成長しました。
ですが、2002年当時はまだ黒字化ができていない同部門へ下される評価は厳しいものでした。このコラムでは、4年前にオンラインゲーム、特にFFXIに与えられていた「失敗」との評価を再考し、同ゲームの成功はもう目の前に見えているのではないか、ということを考察した文章となっております。
そのため、タイムリーなコラムではないことをご了承下さい。
第一章:「疑念」
オンラインゲームの将来性に疑念が生まれつつある。未来のゲーム業界のけん引役を務めると期待されてきたが、ここにきてオンラインゲームの成長性が疑われ始めている。きっかけとなったのがスクウェアが提供している「ファイナルファンタジー11」(FF11)の“不振”だ。
当初の会員数の目標は『百万人程度』(2002年1月10日 日経金融新聞)に定められていたFF11。いきなり100万人という大台が目標であっただけに、スクウェアの期待がいかに大きかったかがわかる。だが、映画事業の失敗に代表されるようにここ数年、スクウェア本体の業績が悪化したため、全社的なコスト構造の見直しを迫られた結果、当然ながら新規事業であるオンライン事業も縮小され、最終的に『二十万人で収益を確保する』(2001年10月24日 日経産業新聞)という規模にまで引き下げられた。
壮大な数字から、現実的な数字への転換。オンライン事業の採算ラインを低くすることで同事業を早期に黒字化させ、業績回復の一役を担わせようとしたスクウェアであったが、それでも同社の目論見は達成困難と見られている。
『ビジネスモデルの見直しなどを加えなければ、収益源への成長は難しい』(2002年10月21日 日経金融新聞)と判断されている最大の原因は会員数の“不足”であろう。10月の時点で採算ラインである約20万人には遥かに及ばない『十二万人強』(同)でしかない。この水準では黒字化は微妙である。
そんな現状からオンラインゲームに対する慎重論も出てきている。SCE(注1)の久多良木社長と任天堂の岩田社長は『普及には時間がかかる』(2002年10月8日 日経産業新聞)、『FF11は時期尚早』(Mainichi INTERACTIVE ゲームクエスト 「“FF11は時期尚早”任天堂・岩田新社長が批判」 2002年6月6日)との見解を示している。任天堂山内前社長はもっとはっきり『FF11は失敗だった』(同)と述べている。
では、FF11は“失敗”したのだろうか。一方、それにも関わらずFF11を評価する声もある。『オンラインゲームとして見れば一定の評価ができる』(2002年10月8日 日経産業新聞)と見ているのはエンターブレイン浜村社長だ。浜村氏に“評価できる”と言われた理由は何なのか。
今回は、FF11がなぜ“失敗”したのかを考えると共に、そんな中でも評価されている理由について考えてみることにしたい。
注1…ソニー・コンピュータエンタテインメント
初出:メールマガジン「ゲームいろいろ情報」2002年11月20日
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