当該記事は、2002年2月頃(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「「GCの不戦主義 〜任天堂の非競合戦略〜」の第四章です。
2002年の記事ですので、かなり古い記述になっておりますが、文章の保存を
目的に掲載しておりますので、ご了承下さい。
第四章:「残された宿題」
任天堂はGCをPS2やXboxに対抗させることを嫌った。GCを両ゲーム機とは様々な面で差別化を図り、非競合状態に持ちこんだのだ。競合する相手がいなければGCは生き残る、と任天堂は考えたからだろう。PS2が全世界で普及台数を伸ばす中で、それ以外のハードが生き残るためには、任天堂の差別化戦略は必要だったのである。
任天堂の山内社長は過去にXboxのことを『競合相手とは考えていない』(日経産業新聞 2001年5月24日)と評したことがある。一般的にこの発言の真意は「XboxはGCの相手にはならない」ということだと捉えられてきたが、こうして考えると「GCとXboxはそもそも、競合しあう関係にはないのだ」と見ることも出来る。この発言は、山内社長は当時から差別化を意識していた証拠でもあると考えられるのだ。
差別化に成功し、ゲーム機市場で生き残るであろうGCは、任天堂にある変化をもたらす。任天堂にとってその変化の影響は決して小さくない。それは、山内社長の引退だ。山内社長はここ数年頻繁に社長職の引退をほのめかしている。確かに山内社長は1927年生まれの74歳。引退してもおかしくない年齢だ。氏は引退する前提として『新ゲーム機の戦略が受け入れられたら』(日経産業新聞 2001年9月19日)という漠然とした条件を掲げていた。
だが、GCが成功する可能性が非常に高い今、山内社長がその職を退く日が迫ってきていると見て良い。山内氏はこう話す。『もう2年以上前から考え、今年の真ん中ぐらいまでには辞めたいと思っているが、はっきりは決めていない』(Mainichi INTERACTIVE ゲームクエスト 「“Xboxは売れない” 任天堂社長、山内溥さん」 2002年1月17日)。早ければ今年の真ん中には辞めるかもしれないと、具体的な時期まで話す山内氏。だが、任天堂を世界有数の大企業に育て上げた人物の代わりなど、そう簡単に見つかるのだろうか。
国内のある証券トレーダーは『だれも山内社長の役割を代わることはできない、引退となれば社内が混乱するのでは』(同)と危惧をする。1949年に任天堂の社長に就任してから、すでに50年以上経っているのだ。誰が新社長になっても社内が不安になるのは当然だろう。それでも、社長はいつか代わる。任天堂にとって、それは乗り越えなければならない壁でもあるのだ。
GCの成功は大変喜ばしいことである。しかし、同時にGCの成功は、できれば考えたくなかった社長交代という難問を任天堂に付き付けたのだ。山内社長は、任天堂にGCと大きな宿題を残して、その座を去ろうとしている。
(おわり)
2007年05月24日
2007年05月23日
過去のコラム編集:2002年2月「GC(ゲームキューブ)の不戦主義 〜任天堂の非競合戦略〜」part3
当該記事は、2002年2月頃(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「「GCの不戦主義 〜任天堂の非競合戦略〜」の第三章です。
2002年の記事ですので、かなり古い記述になっておりますが、文章の保存を
目的に掲載しておりますので、ご了承下さい。
第三章:「差別化の徹底」
GCがゲーム市場で今後、元気に活躍できると予想した背景には、顧客の年齢層に違いがあるから、と前回に述べた。だが、GCの差別化策はそれだけには留まらない。GCは様々な面でPS2・Xboxとの“勝負を避けた”のだ。もちろん、“勝負を避けた”とは差別化のことを指す。
PS2やXboxの特徴は、数多くあるが代表的なものにオンライン対応機能があるだろう。オンライン対応機能は両ゲーム機の最も強調すべきセールスポイントのひとつでもある。今後、数年の間にオンラインゲーム市場が急成長する、との予測が大勢を占める中、PS2とXboxはオンラインゲーム市場をはっきり見据え、準備に余念がない。PS2の場合、ネット接続をするためには必要な周辺機器を購入しなければならないが、その代わり、早ければ今年の4、5月にもインターネット接続やゲームのコンテンツ配信サービスを始めるという。
XboxはPS2と違いネット接続に必要な機能はあらかじめ搭載されており、その点ではPS2より上だ。Xbox総責任者のバック氏もそこを強調する。『…ブロードバンドでのオンラインプラットホームとして、ハードディスクやイーサネットを搭載しており、その面でPS2に勝る』(Mainichi INTERACTIVE ゲームクエスト「日本上陸間近、Xboxチーフオフィサーが戦略を語る」 2002年2月6日)。さらには『…Xboxがブロードバンド化を進める原動力となることに期待して欲しい』(同)とも言っている。PS2・Xboxともにオンライン対応機能には大きな期待をかけ、具体的に動いているのである。
しかし、GCにはオンライン対応機能は無い。任天堂の首脳達もオンラインゲームには消極的だ。『ネットゲームの事業性は未知数』(日本経済新聞2001年 8月14日)と語る山内社長の言葉が任天堂のオンラインゲームに対する姿勢を表している。ここでGCとPS2・Xboxとの違いがはっきりと見て取れる。
任天堂はオンラインという武器をGCに持ちこまない事で、彼らと同じ土俵での争いを避けたのだ。もちろん、将来的にはGCもオンライン対応機能を身に付けるようになるだろう。だが、それは将来の話だ。任天堂の今西紘史氏は『ネットゲームの収益性が確認でき次第、対応する自社ソフトを販売したい』(同)と述べているが、その時期がいつになるのかはわからない。Xbox事業部長の大浦博久氏でさえ『ブロードバンドを生かしたゲームが主流になるのは来年以降になる』(日経産業新聞 2002年1月29日)と見ているのだ。
任天堂としては、そんな先の不確定要素の強い分野で今、PS2やXboxと争うよりも、オンライン対応機能をあえて盛り込まないことで、最も大事な出足の時期に差別化を図ったのだ。そうすることで、非競合状態にGCを置き、生き残りを確かなものにしたのだ。GCとしては自分自身が生き残る足場さえ早期に確保してしまえば、その後でオンラインの面でPS2やXboxといくら競合しようとも、問題は無いのだ。
任天堂は、差別化をオンライン対応機能の面だけには留めなかった。PS2・Xboxに装備されている「DVD再生機能」もGCから外したのだ。これは、 DVD再生機能を付ければゲーム機本体の価格が上昇することを嫌気したためであろう。
価格を抑えることによって、価格の面からも差別化を図ろうとしたのである。結果として、GCの価格帯とPS2・Xboxの価格帯は、五千円〜一万円の差が生じているのだから差別化には成功したと言えるだろう。さらには、開発者側に配慮し、ソフトの開発を容易にしたこともGCの差別化戦略の一環だと言える。
このように、任天堂はGCを徹底的に差別化をして、PS2・Xboxとは違う特徴を持ったゲーム機に仕立て上げたのである。だからこそ、GCは生き残ると予測出来るのである。(つづく)
→第四章:「残された宿題」へ続く
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第三章:「差別化の徹底」
GCがゲーム市場で今後、元気に活躍できると予想した背景には、顧客の年齢層に違いがあるから、と前回に述べた。だが、GCの差別化策はそれだけには留まらない。GCは様々な面でPS2・Xboxとの“勝負を避けた”のだ。もちろん、“勝負を避けた”とは差別化のことを指す。
PS2やXboxの特徴は、数多くあるが代表的なものにオンライン対応機能があるだろう。オンライン対応機能は両ゲーム機の最も強調すべきセールスポイントのひとつでもある。今後、数年の間にオンラインゲーム市場が急成長する、との予測が大勢を占める中、PS2とXboxはオンラインゲーム市場をはっきり見据え、準備に余念がない。PS2の場合、ネット接続をするためには必要な周辺機器を購入しなければならないが、その代わり、早ければ今年の4、5月にもインターネット接続やゲームのコンテンツ配信サービスを始めるという。
XboxはPS2と違いネット接続に必要な機能はあらかじめ搭載されており、その点ではPS2より上だ。Xbox総責任者のバック氏もそこを強調する。『…ブロードバンドでのオンラインプラットホームとして、ハードディスクやイーサネットを搭載しており、その面でPS2に勝る』(Mainichi INTERACTIVE ゲームクエスト「日本上陸間近、Xboxチーフオフィサーが戦略を語る」 2002年2月6日)。さらには『…Xboxがブロードバンド化を進める原動力となることに期待して欲しい』(同)とも言っている。PS2・Xboxともにオンライン対応機能には大きな期待をかけ、具体的に動いているのである。
しかし、GCにはオンライン対応機能は無い。任天堂の首脳達もオンラインゲームには消極的だ。『ネットゲームの事業性は未知数』(日本経済新聞2001年 8月14日)と語る山内社長の言葉が任天堂のオンラインゲームに対する姿勢を表している。ここでGCとPS2・Xboxとの違いがはっきりと見て取れる。
任天堂はオンラインという武器をGCに持ちこまない事で、彼らと同じ土俵での争いを避けたのだ。もちろん、将来的にはGCもオンライン対応機能を身に付けるようになるだろう。だが、それは将来の話だ。任天堂の今西紘史氏は『ネットゲームの収益性が確認でき次第、対応する自社ソフトを販売したい』(同)と述べているが、その時期がいつになるのかはわからない。Xbox事業部長の大浦博久氏でさえ『ブロードバンドを生かしたゲームが主流になるのは来年以降になる』(日経産業新聞 2002年1月29日)と見ているのだ。
任天堂としては、そんな先の不確定要素の強い分野で今、PS2やXboxと争うよりも、オンライン対応機能をあえて盛り込まないことで、最も大事な出足の時期に差別化を図ったのだ。そうすることで、非競合状態にGCを置き、生き残りを確かなものにしたのだ。GCとしては自分自身が生き残る足場さえ早期に確保してしまえば、その後でオンラインの面でPS2やXboxといくら競合しようとも、問題は無いのだ。
任天堂は、差別化をオンライン対応機能の面だけには留めなかった。PS2・Xboxに装備されている「DVD再生機能」もGCから外したのだ。これは、 DVD再生機能を付ければゲーム機本体の価格が上昇することを嫌気したためであろう。
価格を抑えることによって、価格の面からも差別化を図ろうとしたのである。結果として、GCの価格帯とPS2・Xboxの価格帯は、五千円〜一万円の差が生じているのだから差別化には成功したと言えるだろう。さらには、開発者側に配慮し、ソフトの開発を容易にしたこともGCの差別化戦略の一環だと言える。
このように、任天堂はGCを徹底的に差別化をして、PS2・Xboxとは違う特徴を持ったゲーム機に仕立て上げたのである。だからこそ、GCは生き残ると予測出来るのである。(つづく)
→第四章:「残された宿題」へ続く
2007年05月21日
過去のコラム編集:2002年2月「GC(ゲームキューブ)の不戦主義 〜任天堂の非競合戦略〜」part2
当該記事は、2002年2月頃(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「「GCの不戦主義 〜任天堂の非競合戦略〜」の第二章です。
2002年の記事ですので、かなり古い記述になっておりますが、文章の保存を
目的に掲載しておりますので、ご了承下さい。
第二章:「非競合状態」
SCE・任天堂・MSの三社が出すハードの中で最も生き残る可能性が高いゲーム機は、GCである。そう予測する人は少なからず存在する。現在、普及台数がトップであり、他社のゲーム機に大きく差をつけているPS2ではなく、発売後一年も経過していないGCが生き残るという根拠として、任天堂が抱える主要購買層が関係している。
任天堂のゲームを遊ぶユーザーの大半は、小学生や中学生である。任天堂のゲームソフトの主要購買層に低年齢層が多くなったのは、「ポケットモンスター」などに代表される任天堂のゲームが低年齢層に受け入れられたからだろう。このため、同層における任天堂の支持率はかなり高いものになる。
従って、GCの主な購買層も小中学生が多くなるのは当然と言える。MSのXbox総責任者ロバート・J・バック氏もそれは確認済みで『GCは12歳以下の購入者が多く(いる)』(Mainichi INTERACTIVE ゲームクエスト 「日本上陸間近、Xboxチーフオフィサーが戦略を語る」 2002年2月6日カッコ内は筆者)と述べ、GCの主な顧客層が低年齢層に集中している事実を把握している。
一方、PS2の主要顧客層は『十代後半から三十代』(日経流通新聞MJ 2001年10月13日)にかけての若年層であり、GCのそれとは見事にずれている。Xboxの場合も『十六−二十六歳』(日経流通新聞 2001年11月20日)が主な購買層であり、GCとは重ならない。これがGCを生き残らせている一つの理由になっている。
つまり、表面上PS2や Xboxは、GCとお互いに競争しあう立場にいるにも関わらず、主要顧客層がGCとは異なっているために、実質的に両ゲーム機はGCの競争相手にはなっていないのだ。バック氏は『ゲーム市場は成熟化し、住み分けが可能になった』(Mainichi 以下前記)とも言っているが、その住み分けにGCは成功したのだ。
競争がなければGCは無くなる事はない。任天堂があらかじめ、PS2やXboxとは違う顧客層を獲得していたために非競合状態にすることができたのである。これが、GCが生き残ると予測させる根拠になっているのである。
しかし、GCの差別化策は顧客層の違いだけではない。その程度であれば、差別化に成功したとは言い難いだろう。もっと明確にGCをPS2・Xboxと区別する必要があるのだ。
任天堂は競合を避けるために、GCを徹底的に差別化していくことになる。(つづく)
→第三章:「差別化の徹底」へ続く
2002年の記事ですので、かなり古い記述になっておりますが、文章の保存を
目的に掲載しておりますので、ご了承下さい。
第二章:「非競合状態」
SCE・任天堂・MSの三社が出すハードの中で最も生き残る可能性が高いゲーム機は、GCである。そう予測する人は少なからず存在する。現在、普及台数がトップであり、他社のゲーム機に大きく差をつけているPS2ではなく、発売後一年も経過していないGCが生き残るという根拠として、任天堂が抱える主要購買層が関係している。
任天堂のゲームを遊ぶユーザーの大半は、小学生や中学生である。任天堂のゲームソフトの主要購買層に低年齢層が多くなったのは、「ポケットモンスター」などに代表される任天堂のゲームが低年齢層に受け入れられたからだろう。このため、同層における任天堂の支持率はかなり高いものになる。
従って、GCの主な購買層も小中学生が多くなるのは当然と言える。MSのXbox総責任者ロバート・J・バック氏もそれは確認済みで『GCは12歳以下の購入者が多く(いる)』(Mainichi INTERACTIVE ゲームクエスト 「日本上陸間近、Xboxチーフオフィサーが戦略を語る」 2002年2月6日カッコ内は筆者)と述べ、GCの主な顧客層が低年齢層に集中している事実を把握している。
一方、PS2の主要顧客層は『十代後半から三十代』(日経流通新聞MJ 2001年10月13日)にかけての若年層であり、GCのそれとは見事にずれている。Xboxの場合も『十六−二十六歳』(日経流通新聞 2001年11月20日)が主な購買層であり、GCとは重ならない。これがGCを生き残らせている一つの理由になっている。
つまり、表面上PS2や Xboxは、GCとお互いに競争しあう立場にいるにも関わらず、主要顧客層がGCとは異なっているために、実質的に両ゲーム機はGCの競争相手にはなっていないのだ。バック氏は『ゲーム市場は成熟化し、住み分けが可能になった』(Mainichi 以下前記)とも言っているが、その住み分けにGCは成功したのだ。
競争がなければGCは無くなる事はない。任天堂があらかじめ、PS2やXboxとは違う顧客層を獲得していたために非競合状態にすることができたのである。これが、GCが生き残ると予測させる根拠になっているのである。
しかし、GCの差別化策は顧客層の違いだけではない。その程度であれば、差別化に成功したとは言い難いだろう。もっと明確にGCをPS2・Xboxと区別する必要があるのだ。
任天堂は競合を避けるために、GCを徹底的に差別化していくことになる。(つづく)
→第三章:「差別化の徹底」へ続く
2007年05月19日
過去のコラム編集:2002年2月「GC(ゲームキューブ)の不戦主義 〜任天堂の非競合戦略〜」part1
当該記事は、2002年2月頃(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「「GCの不戦主義 〜任天堂の非競合戦略〜」の第一章です。
2002年の記事ですので、かなり古い記述になっておりますが、文章の保存を
目的に掲載しておりますので、ご了承下さい。
第一章:「三つ巴」
2002年2月22日にマイクロソフト(MS)のXboxが発売になる。Xboxの登場によってソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)のプレイステーション2(PS2)、任天堂のゲームキューブ(GC)と三台のゲーム機が出揃うことになりゲーム市場が活性化すると期待されている。
先に三台のゲーム機が市場に現れたアメリカでは新発売になったGC・Xboxだけでなく、PS2も含めたすべてのゲーム機が好調な売り上げを記録したという。SCE の福永憲一氏は『昨年11月に北米でXboxとニンテンドーゲームキューブが発売されたときも、プレイステーション2は、前週比の1.7倍くらい売れました。何もしなかったのに』(P110 「週刊ファミ通 1月25日号」 2002 エンターブレイン)と証言する。
福永氏はこの現象からハード競争は限られた市場の中でのユーザーの奪い合い、シェアの食い合いなど、それぞれに悪影響をもたらすものではなく、ゲーム市場自体を拡大させる『プラスの相乗効果』(同)があると判断している。北米の販売状況を見れば、福永氏の主張には納得させられる。そのためにXboxの登場は日本でもゲーム市場活性化のために望まれているのである。
新ハードが登場し、ゲーム市場全体が盛り上がることは良い傾向だ。三台すべてのゲーム機が「プラスの相乗効果」を互いにもたらし、それだけ市場が拡大するのだから。だが、当事者の間ではそんな呑気な事は言っていられないだろう。これから将来に渡ってゲーム市場に留まり続けるためには、激しい競争を生き抜いていかなければならないのだ。
「プラスの相乗効果」はあるとは言え、それが必ずしも自社のゲーム機に有利に働くとは限らない。いまは、競争することで良い効果がもたらされているかもしれないが、いつ競争の負の面が現れて、自社のハードを駆逐するか、分かったものではない。彼らにしてみれば競争は、競争でしかないのだ。
では、その競争に高い確率で生き残るハードはこの中でどれか。もし、どれか一つ具体的なゲーム機の名を挙げよ、と言われれば最も多い普及台数を誇るSCE のPS2より、任天堂のGCの名を口にする人が少なからずいるのではないか、と思われる。それは、GCに込められた生き残り策を高く評価しているからだろう。ならばGCの生き残り策とは何なのか。
これから競争が激化すると予測されているゲーム市場で生き残る方法を編み出したGCとPS2やXboxは何が違うのか。そこを少し考えてみる事にしたい。(つづく)
→第二章:「非競合状態」へ続く
2002年の記事ですので、かなり古い記述になっておりますが、文章の保存を
目的に掲載しておりますので、ご了承下さい。
第一章:「三つ巴」
2002年2月22日にマイクロソフト(MS)のXboxが発売になる。Xboxの登場によってソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)のプレイステーション2(PS2)、任天堂のゲームキューブ(GC)と三台のゲーム機が出揃うことになりゲーム市場が活性化すると期待されている。
先に三台のゲーム機が市場に現れたアメリカでは新発売になったGC・Xboxだけでなく、PS2も含めたすべてのゲーム機が好調な売り上げを記録したという。SCE の福永憲一氏は『昨年11月に北米でXboxとニンテンドーゲームキューブが発売されたときも、プレイステーション2は、前週比の1.7倍くらい売れました。何もしなかったのに』(P110 「週刊ファミ通 1月25日号」 2002 エンターブレイン)と証言する。
福永氏はこの現象からハード競争は限られた市場の中でのユーザーの奪い合い、シェアの食い合いなど、それぞれに悪影響をもたらすものではなく、ゲーム市場自体を拡大させる『プラスの相乗効果』(同)があると判断している。北米の販売状況を見れば、福永氏の主張には納得させられる。そのためにXboxの登場は日本でもゲーム市場活性化のために望まれているのである。
新ハードが登場し、ゲーム市場全体が盛り上がることは良い傾向だ。三台すべてのゲーム機が「プラスの相乗効果」を互いにもたらし、それだけ市場が拡大するのだから。だが、当事者の間ではそんな呑気な事は言っていられないだろう。これから将来に渡ってゲーム市場に留まり続けるためには、激しい競争を生き抜いていかなければならないのだ。
「プラスの相乗効果」はあるとは言え、それが必ずしも自社のゲーム機に有利に働くとは限らない。いまは、競争することで良い効果がもたらされているかもしれないが、いつ競争の負の面が現れて、自社のハードを駆逐するか、分かったものではない。彼らにしてみれば競争は、競争でしかないのだ。
では、その競争に高い確率で生き残るハードはこの中でどれか。もし、どれか一つ具体的なゲーム機の名を挙げよ、と言われれば最も多い普及台数を誇るSCE のPS2より、任天堂のGCの名を口にする人が少なからずいるのではないか、と思われる。それは、GCに込められた生き残り策を高く評価しているからだろう。ならばGCの生き残り策とは何なのか。
これから競争が激化すると予測されているゲーム市場で生き残る方法を編み出したGCとPS2やXboxは何が違うのか。そこを少し考えてみる事にしたい。(つづく)
→第二章:「非競合状態」へ続く
