2007年07月29日

過去のコラム編集:2002年7月「ゲーセンの復権 〜ブームの予兆〜」Part4

当該記事は、2002年7月頃(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「ゲーセンの復権 〜ブームの予兆〜」の第四章(最終章)です。

2002年の記事ですので、かなり古い記述になっておりますが、文章の保存を
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ので、ご了承下さい。



最終章:「楽観論と悲観論」


ゲームセンターに再びブームの波はやってくるのか。ここまで、ブームが起きる可能性はあながち的外れな予想ではないという楽観論と、今の好調さは長続きしないためブームは起きにくいとする悲観論を考えてきたが、仮に結論を出すとすればどちらがより現実味のある予測なのだろうか。


収益の回復が単純に楽観論に繋がらないのは、その持続性に疑問があるからだ。AM施設が新しい顧客層を獲得しながら回復基調を歩み続けているのは事実であるが、それが本当に軌道に乗ったのかどうかはまだわからない


回復のけん引役を務めたプリクラや「VF4」等の人気ゲームがこれからも集客力を保てるかどうかが、はっきりわからないからだ。これらのヒットは一時的な現象であるかもしれないのだ。一時しか続かないものであれば、今のAM施設の回復は幻に終わる可能性は高い。


だが、趣向の凝らした新しい景品ゲームやメダルゲームなどが人気を集めているのは、ゲームセンターにとって光明である。なぜなら、プリクラや「VF4」などだけでは、ゲームセンター自体が早い時期に「飽き」られる可能性があるためだ。絶対に飽きないゲームなどありえないのだから、人気があるゲームにもいずれ「飽き」がやってくる


しかも、これらのゲーム機は数年前に一度(もしくはそれ以上)登場しているのだ。いま、ゲームセンターに過去に登場したゲーム機の続編や改良版しか無かったとしたら、次なるブームどころか収益の回復も一過性のもので終わってしまうだろう。続編や改良版はどうしても、目新しさに欠けるからだ。あっさり、飽きられてしまいかねない。


そういった意味からも、新しい景品ゲームなどの登場はあり難いことだ。新鮮味を持ったこの存在はAM施設の回復傾向を長持ちさせる力を有している。確かにプリクラと同一のユーザー層がメインであるから、プリクラ人気が落ち着いてしまえば一緒に落ち込んでしまうかもしれない


だが、それなりに新鮮味のあるゲーム機であり、人気も徐々に高まりつつあるのは事実だ。ナムコはこれらのゲーム機の開発に重点を置くとも言っている。生き残っていく力は十分に持っているだろう。


仮に、このまま景品ゲーム等の人気が続くのであれば、次なるブームの発生確率は高まるかもしれない。なぜなら、新しいブームは、大概新しいゲーム機によって生み出されるものだからだいま、大手メーカーはこれまで抑制してきたAM事業への再投資を行う方向で動いている。もちろん開発部門への投資も行われる


開発部門が充実すれば、それだけ新しいゲーム機が生まれる確率も高まる。現在、景品ゲームが人気化しているのは、AM事業への再投資が結実しつつある結果だといっても過言ではないだろう。景品ゲームなどが次なるブームの主役を担う未来はあり得るのだ。


収益の改善と顧客層の拡大。人気ゲーム機の登場とメーカーによる再投資。ゲーセンを取り巻く環境はだいぶ好転してきている。ゲームセンターの復権は簡単ではないが、そう遠くにあるものでもないようだ。(おわり)

2007年07月28日

過去のコラム編集:2002年7月「ゲーセンの復権 〜ブームの予兆〜」Part3

当該記事は、2002年7月頃(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「ゲーセンの復権 〜ブームの予兆〜」の第三章です。

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第三章:「疑問」


「次のブームがやってくる」という予測がなかなか現実的なものであるという結論を出すための材料は揃っている。しかし、この予測した未来が実際に訪れる保証は無い。ならば、ブームが訪れないとすれば、その場合の根拠はどこにあるのだろうか。


そもそも、AM施設が昨年後半から回復傾向にあるというが、この主たる要因は「VF4」や「鉄拳4」などの人気シリーズがリリースされたからであるし、客単価の高い(1プレイ料金が高い)「プリクラ」が再び人気になったからである。極端な話、それらが主にAM施設の回復傾向に大いに貢献をしただけなのだ。


しかし、今年もそれらの人気ゲーム機の続編が続いて出るとは限らない。「VF4」などは、実に数年ぶりの登場なのだ。その新作が今年も続けて出てくるとは思えない。改良版程度は出るだろうが、新作を出すのはかなり難しいだろう。セガはそれを見越して、今期(2003年3月期)のAM施設の収益は昨年より減少すると予測している


さらに第二次プリクラブームと言われている現在のプリクラブームも、前回のブームと同じく早々にブームが過ぎ去ってしまうことだって十分考えられる。今回のブームは前回ものとは違い、長続きすると見る向きもあるだろうが、“歴史は繰り返す”という言葉もある。今回もブームも急に失速することだってあり得るのだ


そうなると、プリクラを利用していた女性ユーザーなどのゲームセンター離れが起きることも懸念しなければならない。しかも、彼女らを主たる顧客としていたメダルゲームや景品ゲームも、同様に失速することすら考えられる。人気ゲーム機で女性ユーザーや家族連れをゲームセンターに呼び込んだと言えども、完全に定着したわけではない。決して、AM施設の回復傾向は盤石ではないのだ。


つまり、AM施設の昨年の回復はヒット作に恵まれただけの、ただの一過性のものであると判断することもできる。かなり悲観的な見方かもしれないが、そういう可能性は十分にあるのだ。


そう考えると、ブームを予測したメーカー首脳の言葉は、単にAM施設の久しぶりの好調さに期待感を表しただけだった、とも受け取れる。リストラ策が効を奏し収益が顧客層の拡大を伴って順調に回復した結果から、今後のブームの予兆を独自の嗅覚で嗅ぎとっただけかもしれない。リストラや人気ゲーム機の登場、新しい顧客層の獲得などの要因によってAM施設が回復したからと言えども、必ずしも次のブームが来るとは言えないのだ。(つづく)


→最終章:「楽観論と悲観論」へ続く

2007年07月26日

過去のコラム編集:2002年7月「ゲーセンの復権 〜ブームの予兆〜」Part2

当該記事は、2002年7月頃(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「ゲーセンの復権 〜ブームの予兆〜」の第二章です。

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第二章:「ブームの根拠」


「次のブームが来る」と言うメーカー首脳の予測は果たして現実的なものなのか。それとも楽観的な希望が先走っただけの話なのだろうか。確かに、メーカーの首脳の発言であるからそれなりの根拠に基づいた主張であると思われる。では、その予測に説得力を持たせている事実は、一体どこにあるのだろうか。


メーカー首脳による予測を単なる夢物語にしていない事実は複数ある。まず、前にも述べた通りAM施設の売上が回復しつつあることが挙げられるだろう。現在でも回復傾向が続いていることから、ユーザーがAM施設に戻ってきていると言える。ユーザーが増加すれば、それだけブームが起きやすい素地ができるのだから、次なるブームの予測はまったくの空想ではないだろう


しかも、最近のAM施設では、プリクラや対戦型格闘ゲーム以外にも、景品ゲームやメダルゲームなどといったこれまで定番だったゲーム機とは違う、新しいコンセプトのもとで開発された業務用ゲーム機が人気を集めている。


例えば景品ゲームだと、よく当たるように成功率を高めたゲーム機などは高い人気だ。この種のゲーム機は従来のユーザー層とは異なる家族連れや女性ユーザーに人気があり、新しい顧客層の獲得に繋がっている。新しいユーザーの増加はAM施設の回復基調をより一層、確実にするはずだ。


客層の拡大やAM施設が回復している事実は、ここ数年メーカーを慎重にさせてきたAM事業への再投資を積極的にさせる原動力にもなっている。ナムコの高木新社長ははっきりと『守りの一年は終わり。今度は攻めだ』(2002年6月1日 日本経済新聞)と述べている。


投資金額が大きい反面、利益率が低いという構造的な問題を抱え、しかも市場全体が縮小傾向を示しているAM事業からの撤退や縮小を実行しているメーカーがあるなかで、同事業にそれなりの資金を投資することはあまり歓迎されるものではない。だが、AM施設が好調を取り戻しつつあるのなら、再投資を行う名目ができる


AM事業への投資は、次のブームを作る上でも非常に大事である。なぜなら、AM事業に新規に資金を投じるということはゲームセンターなどのAM施設を出店するだけではなく、業務用ゲーム機の開発にも力をいれることでもあるからだ。ブームを作るためには、ユーザーが熱中するような楽しいゲーム機が無くては始まらない。


そのためには開発力の充実は必要不可欠なのだ。前記したナムコは今後の業務用ゲーム機開発の重点を景品ゲームやメダルゲームに置くと表明している。現在、ゲームセンターに新しい景品ゲーム・メダルゲームなどが登場しているのは再投資の結果であろう。


AM施設の回復傾向が、メーカーによる再投資を後押しし、ゲームセンターの純増とゲーム開発力の強化をもたらす。その結果、AM施設の業績の改善にさらに貢献をする。メーカー首脳はこの好循環をすでに読んでいたからこそ、ブームがやって来ると予測したのではないだろうか。こうしてみると、なるほど「次なるブーム」はまったくの希望や願望ではなさそうだ。(つづく)


→第三章:「疑問」へ続く

2007年07月25日

過去のコラム編集:2002年7月「ゲーセンの復権 〜ブームの予兆〜」Part1

当該記事は、2002年7月頃(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「ゲーセンの復権 〜ブームの予兆〜」の第一章です。

2002年の記事ですので、かなり古い記述になっておりますが、文章の保存を
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第一章:「浮上」


ゲームセンターが復活の兆しを見せ始めている。一時は、市場規模の前年割れが続き、大手ゲームメーカーも自社の保有するアミューズメント(AM)施設などの縮小を打ち出して全国的に店舗の閉鎖・撤退が相次いだことがあったのだが、最近ではそれが留まりつつある。


最大の要因は写真シール機「プリクラ」や対戦型格闘ゲーム「バーチャファイター4」(VF4)などのヒット作に恵まれたからであろう。


AM施設からの売上が収益の一角を占めるナムコ・セガ・タイトーなどは、これまで抑制してきたゲームセンターの新規出店を増加させる計画を立てている。中でも既存店の立て直しが急務として出店を極力控えてきたナムコやセガが再出店に臨む背景にはいくつかの事情がある。


まず、第一にこれまで続いてきたAM業界の縮小傾向に終わりが見え、明るい兆しが表れてきたことが挙げられる。2001年の後半から昨年同時期の売上を上回るAM施設が増え、業界全体に明るい将来の見えてきた今こそ、再びAM施設に力を入れる絶好のチャンスだと考えたのだろう


そういった環境の好転に加え、各社ともAM施設のリストラが完了し、収益を出せる態勢が整ったことも理由のひとつだ。ここ数年はAM施設の低迷が続き、黒字どころか赤字が出るまでに落ち込んでいた。


そのため、各メーカーは赤字店舗の閉鎖などの“縮小均衡”を望み、売上の減少を受け入れる代わりに黒字化を達成したのである。そんな時に、AM施設全体に明るい兆しが見えてきたのだ。縮小均衡では、収益の持続的な成長は期待できない。将来の収益拡大は売上が伸びてこそ、達成されるものである


ならば、彼らが執る道は新規出店による売上拡大しかない。出店攻勢を強めることで、例え緩やかであっても再度、成長路線に戻ろうと考えているのだ。


AM施設の周囲の環境に少しづつ明るい兆しが出てきたその中で、ある大手メーカー首脳はこういう言葉を口にしている。『そろそろ次のブームが来るはず』 (2002年3月29日日経産業新聞)。何とも大胆な予測であるが、90年代後半に「プリクラ」や「ダンスダンスレボリューション」などの一大ブームを巻き起こした業務用ゲーム機は、その都度AM施設の収益を伸ばしてきた。AM施設にとって、ブームは是非とも必要な“うねり”であるのは間違い無い。


もちろん、次のブームは歓迎すべきであるし、それを欲するメーカー首脳の気持ちも分かる。それゆえ、単なる希望的観測のもとに出た発言である可能性は十分にある。だが、まったく根拠のない発言であると断定できるわけでもない。そこで、今回はこの発言を検証してみることにしたい。果たして、予測は現実的なものなのか、それとも根拠の無いものなのか。


次回からは、ブームが起きる根拠とブームはそうは簡単に起きない根拠について考え、最終的にどちらの考え方が現実味があるのかを判断したい。メーカー首脳の主張は、外から聞いていれば面白いものではある。検証してみる価値は十分あるのではないだろうか。(つづく)

→第二章:「ブームの根拠」へ続く