2007年08月18日

過去のコラム編集:2002年4月「Xboxの憂鬱 〜未完の大器〜」Part4

当該のゲーム業界記事は、2002年4月頃(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「Xboxの憂鬱 〜未完の大器〜」の第四章(最終章)です。

2002年の記事ですので、かなり古い記述になっておりますが、文章の保存を
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第四章(最終章):「二つのソフト」


発売以来、販売が振るわない結果だけ捕らえて論評すると、Xboxの先行きを見間違う恐れがある。その理由のひとつとしては、MSの戦略があろう。 Xboxは、MSの収益構造を変えるために登場した戦略商品のひとつであるため、同社が短期間に収益があがらないという理由でXbox事業を軌道に乗せる努力を簡単に放棄するとは考えにくい。MSはXboxが広く普及するように、たゆまぬ努力するだろう。今後も、Xboxの販売促進のためにMSは何らかの手を打っていくはずだ。


さらに、Xboxが普及するために必要なはずのオンラインゲームが未だに出てきていないことも、もうひとつの理由として挙げられる。オンラインゲームができないのであれば、Xboxの魅力が半減したと言っても過言ではないからだ。オンラインゲームの無い、現在のXboxは他社のハードと競争できる状態ではない。はっきり言って、Xboxはまだ“発売”されてはいないのである。


これらの理由からXboxの未来をいま、決めつけるのはあまりにも早計だ。世界有数の大企業の期待を一身に集め、本当の意味で発売されていないXboxの販売計画が予定通りにはなっていないことを以って、Xboxの今後を予測するのは少々大胆すぎる。


しかし、他社ハードと同じスタートラインに立っていないからと言って、販売不振を容認できるわけではない。Xboxの売り行きが鈍い事実は、オンラインゲーム以外の一般的なゲームを比較すると、Xboxのソフトより他社のハードで発売されているソフトの方が良いと、ユーザーが判断している証拠でもあるからだ。


さらに、Xboxがいくらオンラインゲームが強いと言っても、それだけが頼りになってしまうと、ユーザーの間でもソフトメーカーの間でも「Xbox はオンラインゲーム専用機」とのレッテルを貼られてしまう恐れがある。レッテルを貼られることはそれほど問題ではないが、可能性を狭めるレッテルは注意する必要があるだろう。


ユーザーがXboxにオンラインゲームだけを期待すると、ソフトメーカーはユーザーが期待しているソフト、つまりオンラインゲームだけをXboxに供給する可能性が高まる。そうなると、ユーザーはますますXboxにオンラインゲームを期待するようになり、ソフトメーカーは、その声に押されるようにオンラインゲームを出す


のサイクルが、いつの間にかXboxにレッテルを貼ることに繋がってしまうのだ。もし、オンラインゲーム専用機というレッテルがXboxに貼られてしまったのならば、同機には大きな痛手だろう。オンラインゲームは決して誰にでもできるゲームではない。それなりにハードルは高い。気軽に参加できなければ、どうしてもユーザーの数は一般的なゲームより少数になる。参加者を選ぶゲームがXboxの主流になれば、同機の大量普及は難しくなる


Xboxにオンラインゲームが出てきていないからと言って決して、将来を楽観視できるほど簡単な状況でも無いのだ。


ただ、オンラインゲームがヒットする中で一般的なゲームがXboxで登場する可能性も十分ある。そうなれば、Xboxのイメージも変わっていくだろう。 Xboxが大きな飛躍を遂げるためには最初は“オンラインゲーム”、途中からは“普通のゲーム”の二つのゲームソフト必要になる。


もし、両ゲームがタイミング良く表れれば、PS2でさえ安穏とはしていられない。高い性能を有した未完の大器が予想だにしなかった結果をもたらす可能性は意外にある。(おわり)
タグ:ゲーム業界

2007年08月17日

過去のコラム編集:2002年4月「Xboxの憂鬱 〜未完の大器〜」Part3

当該のゲーム業界記事は、2002年4月頃(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「Xboxの憂鬱 〜未完の大器〜」の第三章です。

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第三章:「真の発売日」


Xboxの最大の売りはその高性能さにある。現在、ゲーム市場でトップを快走するPS2をも超える性能をXboxは有するが、中でも優れた所は通信機能だろう。ブロードバンドに対応した通信機能をあらかじめ搭載したのは、Xboxぐらいなものだ。PS2にも対応能力はあるが、通信機能を発揮させるためには対応する周辺機器を追加購入しなければならない。


MSは、今後大きな飛躍を遂げると予測されているオンラインゲーム市場で、Xboxの存在感を大いにアピールするためには、通信機能を強化しておくと競争優位に立てると考えたのだろう。オンラインゲームが伸びれば、オンラインに強いXboxも一緒に伸びることができる、と。そのため、通信機能が優れているXboxにとってオンラインゲームは欠かせないものなのである


だが、残念ながらXboxの特長を最大限アピールするために必要なオンラインゲームは同機が発売されてもなお、殆ど出てきていない。これでは、Xboxの良さをユーザーに訴えかけることができない。一般的なゲームユーザーであれば、すでにPS2を保有していると考えられる。発売から約二年間が経ち、普及台数が2000万台を大きく超え3000万台も射程圏内に入っている現状はそれを証明しているだろう。


ならば、そのPS2ユーザーが、新しいハードが出たからといって、わざわざXboxを購入してくれるだろうか。PS2より性能が高いXboxのゲームが、必ずしもPS2のゲームより面白いわけではない。更に言えば、PS2に比べXbox専用ソフトは少なく、本体の店頭価格はXboxの方が高いのだ。これでは、普通のゲームユーザーは様子見を決め込むだろう。


彼らに、こういった高いハードルを超えてもらいXboxを購入してもらうためには、PS2ではできないオンラインゲームが絶対に必要である。だが、それは未だに姿を表してはいない。Xboxならではのオンラインゲームが出てきていないのだから、Xboxが不振に陥るのは当然の結果と言える


そういったことを考えれば、Xboxに関してある極端な仮説を作ることができる。それは「Xboxはまだ“本当の意味”で発売されていない」というものだ。Xboxの特長であるオンラインゲームが出てきていない以上、ユーザーにXboxの良さを十分にアピールできていない。オンラインゲームがあって初めてXboxの存在を「PS2とは違う」とユーザーに認識してもらえるのに、未だにそうなっていないのだ。これではユーザー側にしてみれば、Xboxはまだ本当の意味で発売されていないのだ、という認識になるだろう。


Xboxの真の発売日は、Xbox専用ソフトとしてオンラインゲームが発売された時だ。二重の発売日を持つハードはこれまでに例が無いが、この点がこれまでのハードとXboxが違うところでもある。Xboxの本当のスタートはまだ先なのだ。(つづく)


続きはこちら→第四章(最終章)「二つのソフト」
タグ:ゲーム業界

2007年08月16日

過去のコラム編集:2002年4月「Xboxの憂鬱 〜未完の大器〜」Part2

当該のゲーム業界記事は、2002年4月頃(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「Xboxの憂鬱 〜未完の大器〜」の第二章です。

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第二章:「意思と体力」

MSはXboxをコンシューマ事業のひとつの柱にするつもりでいる。ウィンドウズ(Windows)に代表されるパソコン用OS(基本ソフト)販売に収益の大きな部分を依存しているMSは決して将来を楽観視していない。着々と進行しているインターネットの世界的な普及が必ずしもMSに恩恵をもたらすわけではないからだ。


すこし前であれば、インターネットに接続するためには、OSを搭載したパソコンが必須だったが、現在では何もパソコンを使わずとも携帯電話や携帯情報端末(PDA)などで容易にネット接続ができる。逆に、インターネットの普遍化がこうした非パソコンの流れを作り、パソコンの販売を鈍らせる可能性は十分にある。そうなると、パソコン向けにOSを販売しているMSの収益はジリ貧に陥ってしまう。パソコンが常に情報通信機器の王様であり続ける保証はなくなりつつあるのだ


MSとしてはパソコンが携帯電話に代表されるような便利な端末に取って代わられる時のことも予想しておかなければならない。もし、パソコンの普及が停滞するような事態になれば、パソコン用OSを収益の軸にしているMSは大きな打撃を受ける。それを回避するためには、収益構造をパソコン依存型からの全面的な転換を図らなければならないのだ。MSは、パソコンに頼らずとも収益を挙げられる形を作り上げる必要に迫られているのである。


その戦略の一環としてXboxを使ったゲーム事業があった。だからこそ、MSのXboxに掛ける意気込みには、並々ならぬものがあるのだ。自社の未来を考えれば、MSはXboxに注力しなければならないのである。


しかしながら、MSは焦っているわけではない。収益構造の改革は急を要するものではないからだ。パソコン依存型の体質はいずれ変えなければならないが、それは将来における課題である。MSも参入後にすぐ、ゲーム市場の覇権を握れるとは考えていないだろう。彼らは、かなりの長期でXbox事業を軌道に乗せるつもりでいる。『Xboxは、今後3段階くらいで進化を続け、最低でも15年間は続く事業と考えている』(BizTech News 「“Xbox初期のつまずきを今後に活かす”、MS大浦常務」 2002年3月26日)。


大浦氏の言葉は興味深い。それだけ、MSは長期戦を覚悟でゲーム業界に参入しているのだ。確かに、MSにはそれをできるだけの体力がある。長い間、高収益企業であり続けたMSの内部には巨額の利益が積み重なっているはずなのだから。ゲーム事業立ち上げの際に発生した多少の損失程度ではMSは傾かない


これまで、ゲーム事業に参入し、夢破れて撤退した企業群とMSが異なっている点のひとつがここにある。MSとその他の企業との体力差が、過去に撤退していったハードとは違って、Xboxを生き残らせる可能性があるのだ。ゲーム市場でハードを手掛け、そこから利益をあげるためには莫大な投資が必要になる。


成功すれば問題は無いが、仮に失敗すれば、会社が傾く事態も十分ありえる。セガが身を以ってそれを示したのは記憶に新しい所だ。だが、MSにそんな心配はいらない。しかも、北米市場での健闘はXbox事業の推進を下支えするだろう。北米である程度の成功があれば、Xbox事業を疑問視する人たちを説き伏せることもできるからだ。


体力と意思があり、長期戦を覚悟で構えているMSとXboxが置かれている現状を基に将来を判断するのは得策ではない。(つづく)


続きはこちら→第三章:「真の発売日」
タグ:ゲーム業界

2007年08月15日

過去のコラム編集:2002年4月「Xboxの憂鬱 〜未完の大器〜」Part1

当該のゲーム業界記事は、2002年4月頃(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「Xboxの憂鬱 〜未完の大器〜」の第一章です。

2002年の記事ですので、かなり古い記述になっておりますが、文章の保存を
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第一章:「軟調」


Xboxの販売が振るわない。2002年2月に日本市場に華々しく登場したが、数字がそれに伴っていない。これまでに販売した台数は20万台前後と言われているが、この数は初回に出荷した約25万台に満たない。おそらく初回出荷分は未だに完売できていないものと思われる。


販売不振の傾向は日本だけではなく、欧州でも確認されている。特に、フランス・イギリスでの販売は悲惨な結果になっている。『仏で二万台、独で一万二千台程度』(2002年4月19日日本経済新聞)しか売れていないのだから、とても好調とは言いがたい。


期待を裏切られた格好のマイクロソフト(MS)は、欧州での販売価格をプレイステーション2(PS2)と同程度になるよう値段を下げざるを得なくなった。発売からわずか、一ヶ月余りでの本体価格の値下げは異例である。


日本と欧州の販売不振のあおりを受け、MSはXboxの販売計画のレベルを引き下げた。従来から、2002年6月頃までに四百五十万台から六百万台を販売する目標を掲げていたが、今回新たに三百五十万台から四百万台というレベルを落とした販売計画を再設定し、目標を現実的なものへと切り替えた。同時にMS 本体の業績も販売計画の変更で下方修正をした。


Xboxの不振原因を日本市場に求めると、まずソフト不足があげられるだろう。Xboxの普及を後押しする最大のキラーソフトに目されていた「デッドオアアライブ3」(DOA3)はそれなりに役割を果たしたが、Xboxを完売させるだけの威力は無かった。だからと言って、DOA3を責めるわけにはいかない。


そもそもXboxのキラータイトルが事実上DOA3だけだったことが根本的な問題なのだ。『DOA3だけのために四万円も出せない』(2002年2月 21日日経流通新聞MJ)と、都内のある男性ユーザーは購入を渋っている理由をこう打ち明けた。DOA3以外にも有力タイトルがあれば、彼のような購入を迷っているユーザーの手にもXboxが渡っていた可能性があるだけにソフト不足は、明らかに普及の足を引っ張ったと言える。


ゲームソフト不足以上にマイナスの影響を与えたのが、Xbox本体の不具合であろう。「Xboxで再生するとDVD/CD-ROMに傷が付く」という不具合があると報じられれば、ユーザーがXboxの購入を手控えるのは当然だ。さらには、Xboxを購入した人たちからの問い合わせが相次いだ当初、MS側の対応がお世辞にも上手でなかったことも、未購入ユーザーのXbox購買意欲を減退させた。追い討ちをかけるように一部のゲーム販売店が、MSの対応の混乱が原因でXbox本体の販売を一時取りやめたことも、それに一層、拍車をかける結果となった


Xboxの販売が振るわない理由を挙げると、こうした幾つかの要因によるものだと推測できるが、ではXboxはこのまま回復することなく、終わってしまうのだろうか。ライバルである任天堂やソニーコンピュータエンタテインメントの首脳達がかつて予想していた通り、“Xboxは売れない”のだろうか


停滞ムードが漂うXbox。だが、まだ評価を下すのは時期尚早だ。なぜなら、Xboxはこれまで沈滞ムードを打破できず消えていったハードとは少し違っているからである。その違いとは何か。その検証は次に譲ることにしたい。(つづく)


続きはこちら→第二章:「意思と体力」
タグ:ゲーム業界