2007年08月21日

過去のコラム編集:2002年1月「カードeリーダーに込められた期待 ファミコン市場の復活」Part3

当該のゲーム業界記事は、2002年1月頃(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「カードeリーダーに込められた期待 ファミコン市場の復活」の第三章(最終章)です。

2002年の記事ですので、かなり古い記述になっておりますが、文章の保存を
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第三章(最終章):「任天堂の狙い」


「カードeリーダー」によってファミコン市場を復活させようとしている任天堂の狙いはどこにあるのか。まず、任天堂は、ファミコン市場を再び登場させる事によって、「カードeリーダー」というシステム自体を広く定着させようとしているのではないだろうか。もちろん、「カードeリーダー」が登場した経緯を考えると、ポケモンのために作られた周辺機器と言えるのだから、ポケモンに「カードeリーダー」の普及の牽引役を務めてもらうのは、当然の成り行きではある。


だが、それだけでは、ポケモンユーザー以外に広がっていくことはあまり望めないし、単なる「ポケモンユーザーの専用端末」として扱われ、それ以上の存在になるのは難しい。だから、「カードeリーダー」をより多くのユーザーに利用してもらうため、そして「カードeリーダー」の可能性を広げるためにも利用層を選ばないファミコンソフトを用いたのではないか。


では、任天堂は「カードeリーダー」を定着させるためだけにファミコン市場を復活させようとしているのであろうか


任天堂がファミコン市場に再びを注目したのには、もう一つの狙いがあるからだ。それは、『ゲームから離れていった層を引き戻すこと』(2001年8月24日日経産業新聞)である。この言葉は、任天堂の浅田副社長がマスコミのインタビューに対し、ゲームキューブ(GC)の開発方針を語ったときのものである。さらに、浅田氏はインタビューの中で現状のゲーム業界を『ゲームソフトの売上高は減少しており、既存のゲームに飽きたユーザーが次々に離れている』(同)と分析し、ゲームユーザーのゲーム離れを防ぎつつ、離れていったユーザーを再び引き戻すためにGCを開発したと話す。


昨今のゲーム業界の不況とも言える事態に人一倍、危機感を抱いているのは任天堂である。その危機を打開するためには、ゲームから遠ざかっていたユーザー達の支持を再び集めなければならない。だが、任天堂のこの目標は、何もGCにだけに課せられた使命ではないだろう。任天堂全体の目標でもあるはずだ。彼らの興味をもう一度ゲームに惹きつける方法は色々あるが、そのひとつとして昔、彼らが楽しんだゲームを用いるやり方があるだろう。


つまり、ファミコンの復活だ。過去にゲームユーザーで、今はそうではなくなった層の多くはファミコンで遊んでいた人達だと考えられる。なぜなら、ファミコンと言えば家庭用ゲーム機の代名詞ともなったハードであり、それほどまでに有名なハードであれば過去にゲームユーザーであった人達の殆どが、ファミコンを経験しているはずだからである


その彼らが“懐かしさ”から今一度、あのゲームの楽しさを味わいたいと思い、「カードeリーダー」に手を出したとしても不思議では無い。もし、そうなれば任天堂の狙いは大成功であると言えるだろう。


登場した直後は、ポケモンユーザーのための端末に過ぎないと思われていたが、アイディアひとつでその役割を大きく変える事になった「カードeリーダー」。この何とも面白い可能性を秘めた商品が、果たして『ゲームに飽きたユーザー』(同)を取り戻し、ゲーム業界の危機を救える事ができるのであろうか


一般的には、今のゲーム業界の危機は、ネットワークゲームが救うのではないかと見られている。しかし、ネットなどを使わずに、カードというアナログ感満点の商品で、ゲーム業界を救おうとする所がいかにも任天堂らしい。すでに機能しなくなっていた数世代前のハードを、GBAという最新のハード上に完全に復活させて、ゲーム業界を救おうとする任天堂の前代未聞の挑戦は、これから始まろうとしている。(おわり)
タグ:ゲーム業界

2007年08月20日

過去のコラム編集:2002年1月「カードeリーダーに込められた期待 ファミコン市場の復活」Part2

当該のゲーム業界記事は、2002年1月頃(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「カードeリーダーに込められた期待 ファミコン市場の復活」の第二章です。

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第二章:「ファミコン市場の完全復活」


「カードeリーダー」によるGBAのファミコン化にはどんな影響があるのか。考えられるのは、GBAのファミコン化による“ファミコン市場の完全復活”ではないだろうか。人気のあった旧作のファミコンソフトが「カードe」として多少、市場に出回るというだけでは済まないものと思われる。


「カードeリーダー」でファミコンソフトを出すためには、ソフトを「カードe」化しなければならないが、逆にカード化することでソフトの売価はこれまでより非常に安くなる。任天堂が発売を予定している「ゲーム&ウォッチカードe」の場合、現在発売中の「ポケモンカードe」と同様に数百円になると見られている。


このことから、ファミコンの場合もこれらとあまり大差なく、価格は同程度であると予想できる。一般のソフトが数千円であることを考えれば格段に安い。しかも、過去に人気のあったファミコンソフトであるなら、ある程度の支持をユーザーから期待できる


一方、制作者サイドからみれば、過去のゲームをカード化して売るだけであるから、ゲーム制作費などの経費がかかることは殆どない。そのために「カードe」の利益率はかなり高いものとなるだろう。仮に、こうした「カードe」の販売が好調で利益が挙がるものと確認されれば、「カードe」の種類は一挙に増加するだろう


なぜなら、経費をそれほどかけずに効率よく利益を得られるからだ。当然の事ながら、他のソフトメーカーも高い利益率を目当てに任天堂に追随して「カードe」の販売を進めていくはずである。任天堂だけでなく他のソフトメーカーもファミコンソフトの「カードe」を出すようになれば、ファミコン市場は復活したも同然だ


しかし、それでもファミコン市場が“完全”に復活したとは言えない。旧作のファミコンソフトが「カードe」として出回り、GBA上でファミコン市場が再構築されたとしても、所詮そこには旧作しか存在しないのだ。それでは、復活も名ばかりである


そもそも、ソフト市場は旧作と新作が両方合わさる事で活性化するものだ。その片方がなければ、市場の半分は機能していないのと同じであり、盛り上がりに欠ける。そんなファミコン市場を、完全に復活したと考えるのはおかしい。だが、新作がまた再び表れれば、ファミコン市場は動き出すようになる。新作と旧作が生み出す相乗効果が“新ファミコン市場”を活性化していくだろう。


では、その可能性はあるのか。筆者は十分にあると考える。それは、携帯電話やPDA(携帯情報端末)などのゲーム機以外の複数のプラットフォームにゲームを供給しているソフトメーカーが多いからである。ゲームの供給先を多様化させて、収益の増加を目指しているソフトメーカーには、ファミコンの復活は歓迎だろう


携帯電話やPDA用ゲームを開発するのと同じようにファミコン用ゲームを供給してもおかしくは無いのである。しかも、ユーザーが旧作に飽き、新作を望むようになればソフトメーカーは一層積極的になる。


「カードeリーダー」によるGBAのファミコン化の影響は、ファミコン市場の鮮やかな復活を演出するという形で表れてくる。(つづく)


続きはこちら→第三章:「任天堂の狙い」
タグ:ゲーム業界

2007年08月19日

過去のコラム編集:2002年1月「カードeリーダーに込められた期待 ファミコン市場の復活」Part1

当該のゲーム業界記事は、2002年1月頃(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「カードeリーダーに込められた期待 ファミコン市場の復活」の第一章です。

2002年の記事ですので、かなり古い記述になっておりますが、文章の保存を
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第一章:「カードeリーダーの可能性」


任天堂の新型携帯ゲーム機「ゲームボーイアドバンス」(GBA)は昨年の発売以来、順調に販売台数を伸ばしている。GBAがユーザーの支持を受けている理由の一つとしては、もちろんGBA用ソフトの充実が背景にあるからだが、それ以外の要因としてはGBAならではの遊び方が多数用意されていることもまた GBAの普及を助けている


例えば、GBA同士をケーブルによって一つに繋ぐと、一本のゲームを数人で遊ぶことができるのはGBAの利点であるし、また GBAをゲームキューブ(GC)に接続し、両ゲーム機を連動させてゲームをより楽しいものにする、といった新しい遊び方ができるのはGBAならではだろう。こうした特長がGBAの利用価値を高め、普及を促す要因にもなっているのだ。


だが、GBAで出来る遊びの中で最も注目したいものはカードとGBAを連動させる遊びである。なぜなら、それはGBAを大きく変えるかもしれない可能性を持っているからだ。


カードとGBAを連動させて遊ぶためには、GBA周辺機器「カードeリーダー」がなければならない。この「カードeリーダー」は「カードe」と呼ばれるカードをGBAに読みこませる事で、カードに記されたデータをGBA上に表示させる機能を持つ周辺機器だ。当初、「カードeリーダー」は一時の勢いが無くなってきた「ポケットモンスター」(ポケモン)の人気を回復させるために登場したと考えられた。


それは「カードeリーダー」がポケモンの、GBAにおける展開の一環として現れたからだ。任天堂は「カードeリーダー」を使う事で、子供達に広く普及しているポケモンカードと、GBAを連動させ、ポケモンの世界に一層の面白みを加えてポケモン人気の回復を図ろうとしたのである。


同社の浅田副社長も『今までのポケモンの展開をそのまま踏襲しては、いつかは飽きられる。カードゲームとの連携はマンネリ化を防ぐための一つのアイデアだ。子供に人気のカードの世界にポケモンの展開を拡大することで、新しい遊び方が生まれる』(2001年3月8日日経産業新聞)と話している事からも、「カードeリーダー」はポケモン人気を再び盛り上げる為に登場したと言って過言ではないのである。


だが、任天堂はポケモンのマンネリ化打破の道具として生まれた「カードeリーダー」を、そのまま「ポケモンユーザー専用の周辺機器」として留めておくつもりは全く無いようだ。それは任天堂が、過去に人気を博した「ゲーム&ウォッチ」の「カードe」版の発売を予定していることから分かる。


1980年代に登場し大好評であったゲーム&ウォッチ。これに収められていたゲームを「カードe」として再度販売し、GBA上で遊んでもらおうと任天堂は考えている。さらに、将来的には「ゲーム&ウォッチ」だけではなく、「ファミリーコンピュータ」(ファミコン)の初期のゲームさえも、「カードe」化して発売する意向だという。


これがもし本当に発売されるのであれば、注目に値する出来事だろう。なぜなら、ファミコンソフトを「カードe」として再販売することで、GBAが“ファミコン”へと姿を変えてしまうからだ。「カードeリーダー」を使う事でGBA上で、過去のファミコンソフトが遊べてしまうのであれば、GBAはファミコンになってしまったと言っても間違いではない


こうなってくると、「カードeリーダー」はポケモンユーザーのための専用端末から、GBAをファミコン化させる貴重な周辺機器へと役割が変わってくるようになる。GBA自体を大きく変えかねない「カードeリーダー」はなかなか面白い可能性を持っているだけに、各方面に色々な影響を与えていくだろう。(つづく)


続きはこちら→第二章:「ファミコン市場の完全復活」
タグ:ゲーム業界