2007年09月04日

過去のコラム編集:2001年12月「XboxがPS2を脅かす? 〜Xbox脅威論〜」part4

当該のゲーム業界記事は、2001年12月24日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「XboxがPS2を脅かす? 〜Xbox脅威論〜」の第四章(最終章)です。

2001年の記事ですので、かなり古い記述になっておりますが、文章の保存を
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ので、ご了承下さい。



第四章:「危機感」


PS2とXboxの通信機能を比べると、現時点では大きな差があると言わざるを得ない。PS2ユーザーが、Xbox並みの機能を手に入れようと思えば、それなりの周辺機器が必要になる。さらには、Xbox向けには人気コンテンツのオンラインゲームが複数出る。それならば、オンラインゲームはXboxで遊ぼうと考えるユーザーがいてもおかしくない


そうなれば、Xboxの存在はPS2の販売台数の伸びを抑えることになる。PS2は驚異的なスピードで普及したとはいえ、PS1の普及台数にはまだまだ届いていない。それだけ、PS2を購入していないPS1ユーザーが数多くいるのだ。SCEの家庭用ゲーム機市場における覇権を維持していくためには、彼らを再びPS2ユーザーとして取りこむ必要がある。


しかし、Xboxとの間には通信機能などの面において明確な優劣が存在しているのだ。もし、オンラインゲーム市場が今後の急激な成長を遂げることを見越して、PS2の購入をためらうPS1ユーザーが大量にXboxに流れ始めれば、SCEはオンラインゲーム市場を取られるだけではなく、もしかしたら家庭用ゲーム市場すらも失う可能性もある


Xbox が家庭用ゲーム市場に負けず劣らずの規模に急成長していくオンラインゲーム市場を牽引するハードになっていけば、Xboxの普及台数はそれに合わせて相当、大きな数になっていくと予想できる。オンラインゲーム市場の成長と同じようにXboxも普及し、仮にPS2と肩を並べるくらいの普及台数になれば、 PS2は家庭用ゲーム市場でも厳しい立場に追いこまれるだろう。理由は一つ。PS2がXboxに並ばれた時点で、PS2のXboxに対する唯一の優位がなくなっているためだ。


Xboxは最後発なため、PS2よりも性能は高い。しかも、通信機能があり、オンラインゲームがXboxに集まっているのだ。これでは如何にPS2といえども、厳しいと言わざるを得ない。PS2は急成長するオンラインゲーム市場での失敗をきっかけに、Xboxにいつの間にか負ける事態も十分考えられるのだ。


ソニー内部で沸き上がったXbox脅威論は、こうした背景から生まれたものと言えるだろう。更に言えば、PS2を脅かす相手がGCではなくXboxだといっている理由がここから分かる。それはGCがXboxとは異なり、通信機能が標準装備されていないからだ。だから、PS2を脅かす存在とは思われていないのだ


ソニーが抱いている危機感を如実に物語っているのが、SCEの提携戦略ではないか。2001年12月の間だけでもSCEは、NTT-BB・ヤフーBB・有線ブロードネットワークスなどといった通信各社と提携すると矢継ぎ早に発表した。この目的はすべてはXbox対策のためである。ハードディスクなどの周辺機器をレンタルする方式を導入し『レンタル制で敷居が低い価格設定ができる』(Mainichi INTERACTIVE ゲームクエスト 「PS2用ソフトをブロードバンド配信 SCE、NTT-BBなど」 2001年12月11日) と久多良木氏が話していることから考えても一連の動きはXbox対策と判断できる。


さて、SCEのXbox対策は上手く行くのだろうか。久多良木氏はMSや任天堂とのシェア争いには『全く興味がない』(2001年11月26日 日本経済新聞)と語っていたことがあったが、今後はそんなことも言っていられなくなるだろう。Xboxは久多良木氏にとって意外に強敵なのだから。(終わり)
タグ:ゲーム業界

2007年09月03日

過去のコラム編集:2001年12月「XboxがPS2を脅かす? 〜Xbox脅威論〜」part3

当該のゲーム業界記事は、2001年12月24日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「XboxがPS2を脅かす? 〜Xbox脅威論〜」の第三章です。

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第三章:「Xboxの強み」


2001年12月7日付の日本経済新聞に、あるオンラインゲームが来夏にも登場するという記事があった。そのオンラインゲームとは、バンダイの「機動戦士ガンダム」を題材にした「ユニバーサルセンチュリーネット・ガンダムオンライン(仮称)」(ガンダムオンライン)である。だが、この記事で最も注目すべき点は次の一文『対応ハードや価格、発売時期などは未定だが、パソコンやマイクロソフトのゲーム機“Xbox”が有力』であろう。ソニーがXboxを恐れる理由はここにある。


Xbox の最大の特長は通信機能が標準装備されていることだ。その特長があったために「ガンダムオンライン」の供給先は全世界で2000万台以上が普及している PS2ではなく、Xboxが有力と見られているのだ。もし、このまま「ガンダムオンライン」がXboxでの供給に決まってしまった場合、PS2にとって重大な出来事になるだろう。それは、PS2よりもXboxの方がオンラインゲームのハードとして最も適したハードであると判断されたに等しいからだ。


PS2 はXboxとは異なり、通信機能があらかじめ備わっているわけではない。Xboxであれば標準装備されている通信機能が、PS2では新たに周辺機器を購入しなければ手に入らないのだ。ユーザーにとって、これは大きな障害だ。これらのことを考慮すると、バンダイが「ガンダムオンライン」をXboxへの供給する確率は高いと言えよう。


こうしたバンダイの判断は、他のソフトメーカーにも波及する可能性がある。現に、バンダイ以外の複数のソフトメーカーには自社のオンラインゲームをXboxに供給する計画がある。アトラスの「真・女神転生オンライン」などはその一例だろう。仮に、このまま多くのソフトメーカーがオンラインゲームを供給するゲーム機にはPS2よりXboxの方が相応しいと判断し、供給を始めたならば「オンラインゲームはXboxで」という流れが生まれてしまうだろう。そうなると、PS2は今後数年で数千億円市場になると予測されているオンラインゲーム市場をみすみす逃してしまうことになる。SCEにとって、これは致命傷になりかねない動きだ。だからこそ、ソニーの安藤社長はXbox脅威論を唱えたのである


PS2 の通信機能の未整備さが、PS2の弱点になるかもしれないと危惧していたのは、カプコンの岡本吉起氏だ


心配なのは、プレイステーション2がただのスターターキットにしかならなくなるという可能性があること。ハードディスクが出る。さらにモデムも出る。それらを楽しむためにより高額の投資をしなければならないということは、今後発売されるニューハードに対してハンディキャップを背負うかもしれないですね』(P97 「週刊ファミ通 3月16日号」エンターブレイン 2001)。


今回の新聞記事は、正に岡本氏の心配が現実のものになろうとしている前触れと言えるのかもしれない。(続く)


続きはこちら→最終章:「危機感」
タグ:ゲーム業界

2007年09月02日

過去のコラム編集:2001年12月「XboxがPS2を脅かす? 〜Xbox脅威論〜」part2

当該のゲーム業界記事は、2001年12月24日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「XboxがPS2を脅かす? 〜Xbox脅威論〜」の第二章です。

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第二章:「対抗馬はXbox?GC?」



ソニー内部でPS2を脅かす存在に考えられているXboxであるが、任天堂のゲームキューブ(GC)はPS2の脅威とはならないのだろうか。GCは任天堂が満を持して世に送り出す期待のゲーム機である。GCの前世代のゲーム機「ニンテンドウ64」(N64)はそれなりの評価を受けていたものの、ソフトの作り難さをソフトメーカーに嫌気されライバルであるPSに大きな差をつけられてきた。


任天堂はN64での失敗を反省し、 GCではソフト作成過程を簡素化するなどの工夫を凝らしてきた。その結果、ソフトメーカーやユーザーなどから高い評価を受けるようになった。N64では殆どソフトを供給してこなかった大手のソフトメーカーが続々と参入を表明している事を考えれば、それがわかるだろう。その良い一例としては、カプコンの「バイオハザード」シリーズがGCに移籍したことが挙げられる。


ソフトメーカーだけでなく、ユーザー側からもGCの評価は高い。2001年5月にアメリカで行なわれた世界最大のゲーム見本市「エレクトリック・エンターテインメント・エキスポ」(E3)では、GCを設置していた任天堂ブースが会場内で最も盛況だったという。その様子を2001年5月26日付の日本経済新聞では『ゲームキューブは試遊できるゲームソフトこそ八種類と少なめだったが、試遊台を何重にも人垣が取り囲み、通路を歩くのが困難なほどの混雑ぶり』と伝えている。


ソフトを作る側からも、遊ぶ側からも歓迎されているGCをゲーム雑誌最大手「ファミ通」編集長である浜村弘一氏は『間違いなく、すごいスピードで普及するだろう』(ブルームバーグ 「フォーラム:ゲーム機“Xbox”の国内発売は年内困難」 2001年8月24日)と予測した。


結果から見ると、浜村氏の予測は当たったと言える。特に北米で当たったといえよう。日本ではGC発売時には予想されたハイペースでは売れなかったが、米国では発売から15日間で60万台のGCが無くなってしまうほどのハイペースで売れていったという。そのため、任天堂は2002年3月末までに400万台を出荷する計画を修正し、それよりも50万台多いGCを追加で生産しなければならなくなったほどだ。日本ではさほど騒ぎにはならなかったが、北米で計画を上回るほどの売れ行きを示したGCは総合的に考えると、PS2の対抗馬の一番手として考えられてもよいのではないだろうか


しかし、XboxもGCと同様に好調なスタートを切っている。任天堂は計画として2001年中のGCの出荷数を130万台としていたが、Xboxの方は11 月の発売以来、出荷数がすでに110万台に達している。MSは発売直後の売れ行きを「Xbox、ゲーム機発売時における史上最高の売上を記録」(2001 年12月5日マイクロソフト)というニュースリリースにおいて『次世代ゲーム機Xboxが、発売後2週間の時点で、家庭用ゲーム機の発売開始としては、史上最高の売上を記録しました』と発表した。


もちろんMS側の発表であるから、本当に史上最高であるかどうかは分からないが、出荷数が110万台に達している事を考慮すれば、それ相当のXboxが売れたと考えて間違いないだろう。


あれだけ前評判の高かったGCに匹敵するか、それを以上の売上を記録したXboxは,GCに代わってPS2の対抗馬の一番手になる資格は十分にあるといえる。では、ソニーの安藤社長はXboxの販売が好調であるから、XboxがPS2の脅威になると考えているのだろうか


それは違うだろう、と筆者は考えている。ソニーがXboxを恐れる理由。そのヒントはバンダイを代表するコンテンツである「機動戦士ガンダム」が握っている。(続く)


続きはこちら→第三章:「Xboxの強み」
タグ:ゲーム業界

2007年08月29日

過去のコラム編集:2001年12月「XboxがPS2を脅かす? 〜Xbox脅威論〜」part1

当該のゲーム業界記事は、2001年12月24日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「XboxがPS2を脅かす? 〜Xbox脅威論〜」の第一章です。

2001年の記事ですので、かなり古い記述になっておりますが、文章の保存を
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第一章:「絶好調のはずが…」


2000年3月に発売以来、国内外で飛躍的に普及台数を伸ばしているプレイステーション2(PS2)。業界団体であるコンピュータエンターテインメントソフトウェア協会の調べによると、2000年のPS2出荷台数(国内)は392万台であり、同年の家庭用ゲーム機総出荷台数1020万台の内、38.5%のシェアを確保したという。


翌2001年もその勢いは続き、累計で全世界に2000万台の出荷(国内では約700万台を出荷)をしたとソニーコンピュータエンタテインメント(SCE)は発表している。PS2普及の背景には、SCEの価格戦略もあるだろう。発売当初の販売価格39800円を2001年から段階的に引き下げたことは、ユーザーの購買意欲を誘い、PS2普及の後押しをしたと言える。


そんな中、ゲームの巨大消費市場である北米のゲーム市場は2001年も大きく伸びている。セガ・オブ・アメリカの豊田副社長は2001年の北米ゲーム市場について『今年も上期だけで市場規模が昨年一年を上回ったようだ。明らかにゲーム人口は増えている』(2001年11月16日日経産業新聞)との認識を示した。


豊田氏の言葉を額面通りに受け取れば、北米のゲーム市場には2001年9月にニューヨークで発生したテロ事件も関係なかったようだ。当初はテロ事件がアメリカ経済全体に悪い影響を与え、ゲーム市場も例外ではないと考えられていたのだが、結果は無風状態であった。カプコンの大島副社長はテロの影響に関して『米同時テロの悪影響はゲームソフト販売にはほとんどありません』(2001年11月17日日本経済新聞)と答えている。


北米で800万台を超えるPS2を出荷しているSCEにとって北米市場の急成長は喜ばしい限りだ。この急成長がPS2普及に更に拍車をかけるのはほぼ間違い無いと言えよう。


そのような余裕からかSCEの会長である丸山茂雄氏は「東京ゲームショウ2001秋」のマイクロソフト(MS)ブースにあるXboxのゲーム画面を見てこう言ったという。『ソフトがよくなった。なんとか盛り上がって欲しいね』(2001年11月13日日経産業新聞)と。通常であれば、ライバル企業のトップが他社製品にエールを送ることなど考えられない。それをあえてSCE会長がしたのはXboxをゲーム業界を盛り上げる単なる起爆剤としか見ていないからではないだろうか。同時に、それだけPS2に絶対の自信を持っている証拠でもある


だが、ソニー内部ではXbox脅威論が厳然として存在する。ソニーの安藤社長はフィナンシャルタイムス紙のインタビューに対し『PlayStation2(PS2)にとって最大の脅威は,Xboxによって業界の製品ライフサイクルが変わることだ』(ZDNN 「Xboxの影響で,加速する“PS3”の開発」 2001年11月19日) と語っている。つまり、Xboxの登場によってPS2のビジネスモデルをこのまま維持できるかは不明瞭であり、PS2自体のライフサイクルも短くなる可能性もあると彼は考えているのだ


これは一体どういうことなのか。なぜ、ソニーの安藤社長は絶好調のPS2が新参者でSCE会長からエールを送られるようなXboxに脅かされると思っているのだろうか。今回はXboxがPS2の脅威になるというXbox脅威論の背景について考えてみることにしたい。


続きはこちら→第二章:「対抗馬はXbox?GC?」
タグ:ゲーム業界