2007年09月13日

過去のコラム編集:2001年11月「オンラインゲームの海外流失 〜韓国進出の裏側〜」Part4

当該のゲーム業界記事は、2001年11月21日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「オンラインゲームの海外流失 〜韓国進出の裏側〜」の第四章です。

2001年の記事ですので、かなり古い記述になっておりますが、文章の保存を
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第四章:「取り残される」


オンラインのノウハウを蓄積しなければ、取り残される』(2001年10月24日日経産業新聞)。やや悲壮感が漂う、この発言をしたのはスクウェアの和田取締役である。和田氏の言葉の意味はオンラインゲームのノウハウが無ければ、同業他社においてけぼりを食うという意味だろう。しかし、そのノウハウを最も活かす場は、いま日本のソフトメーカーが積極的に進出している韓国ではなく、実は “日本”である


現在の日本のオンラインゲーム市場は、前述したように数億円規模でしかない。これは韓国とは違い、日本のブロードバンドの普及状態がかなり低いことに由来する。だが、政府はこの現状を打開すべく5年以内に世界最先端のIT国家になることを目標にした「e-Japan戦略」を掲げている。その内容は2005 年までに3000万人が高速ネットに、1000万人が超高速ネットに常時接続できるよう、政府がその普及促進を行う、というものだ。


仮に、この計画が上手く行けば、日本は世界でも有数のブロードバンド普及国になる。そうなれば、韓国の先例から言っても、当然日本のオンラインゲーム市場は急成長していくと考えられる。折しも、野村総合研究所は2006年までにオンラインゲーム市場は2710億円にまで巨大化すると発表した。しかも、年平均成長率は51%にまでなるという。現状を考えればにわかに信じ難い予測ではあるが、もし野村総研の予想が現実のものになれば、数年後に日本に巨大なオンラインゲーム市場が誕生する事になる


ソフトメーカーにとって、これほどまで大きいビジネスチャンスは滅多に無い。来るべきビジネスチャンスを十二分に活かし切るためには、なんとしても巨大市場が誕生する前にオンラインゲームに関するノウハウを蓄積しておかなければならないのだ。そうしなければ、スクウェアの和田氏が言うように同業他社に取り残され、巨大化する日本のオンラインゲーム市場で遅れを取ってしまう


だからこそ、日本のソフトメーカーはオンラインゲームに力を入れているのであり、その動きの一部が韓国市場進出となって現れたのである。オンラインゲームの海外流失とも思えるようなソフトメーカー各社の韓国進出の裏側には、日本市場を睨んだ戦略が存在していたのである


日本の将来性の高さは韓国オンラインゲーム市場でナンバーワンゲーム「リニージ」を抱えるNCソフトが日本に進出している事からも窺える。『ソニーが最大のライバル』(2001年8月7日 日経産業新聞)と話すNCソフトの金社長は、日本のソフトメーカーには手強く映っているだろう。近い将来、起きると考えられている日本のオンラインゲーム市場争奪戦は、韓国企業も交えながら熾烈なものになっていくのは避けられない

どうやら、ユーザーにとっては面白い時代がやってきたようだ。(おわり)
タグ:ゲーム業界

2007年09月12日

過去のコラム編集:2001年11月「オンラインゲームの海外流失 〜韓国進出の裏側〜」Part3

当該のゲーム業界記事は、2001年11月21日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「オンラインゲームの海外流失 〜韓国進出の裏側〜」の第三章です。

2001年の記事ですので、かなり古い記述になっておりますが、文章の保存を
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第三章:「真の狙い」


韓国に進出した日本のソフトメーカー。彼らは韓国市場が有している魅力に惹かれて進出したのだが、目的は韓国市場で利益を挙げることだけではない。彼らには利益追求とはまた違った目論見がある


セガの開発子会社であるソニックチームが開発した「ファンタシースターオンライン」(PSO)は全世界でネット会員30万人を抱え、家庭用ゲーム機を使用したオンラインゲームとしては世界最大の規模を誇る。そのPSOを開発したクリエイターであり同社社長でもある中裕司氏はオンラインゲームに関して『ネットゲームは運営ノウハウが重要』(2001年2月24日日本経済新聞)であると語った。


中氏が「運営ノウハウが重要」と発言した背景には、オンラインゲーム特有の問題がある。オンラインゲームは、これまで普通に販売されてきたゲームソフト(パッケージソフト)とは異なり、オンライン上で遊ぶものだ。そのため、パッケージソフトであれば起きなかったはずの様々な問題が発生する。PSOの発売初日から、オンライン上のトラブルのためユーザーがPSOを遊べない、といった問題が発生したことは、その一例になるだろう。


こうした問題を解決し、安定的にオンラインゲームを提供するためには、それなりの運営ノウハウが絶対に必要になる。中氏はPSOを開発した目的のひとつとして『ネットゲームの運営ノウハウを習得する』(2001年8月29日 日経産業新聞)ためだと述べていることからも、運営ノウハウがいかに大切であるかを読み取れる事ができる。


オンラインゲームを提供するのであれば提供者側にはそれなりの運営ノウハウが要求される。では、その大切な運営ノウハウをどうすれば習得できるのか。セガのように、自分でオンラインゲームを提供しつつ、ノウハウを蓄積するのも一つの方法ではある。しかし、それより簡単なやり方はないだろうか。考えて見ると、自前で習得する以外にひとつある。それは他人に教えてもらう事だ


韓国ではオンラインゲーム市場は巨大な市場に成長し、オンラインゲーム提供会社も数多く存在している。ということは、それだけ運営ノウハウも確立されていると見て間違いない。もし、オンラインゲームの運営ノウハウが無い企業が、それを吸収したいと考えたならば、韓国企業と提携し、同市場に参入するのはひとつの良い方法だ。


そうすれば、韓国でオンラインゲームを提供しているうちに、彼らの運営ノウハウが自然と身に付くからだ。韓国企業と組み、同市場に参入したエニックスの本多社長は『通信環境で先行する韓国での経験は日本でも参考になる』(2001年8月7日日経産業新聞)と言っている。本多社長が言う「韓国での経験」の中に、オンラインゲームの運営ノウハウが入っていることは言うまでも無い。


ハドソンの場合は、自社でゲームのキャラクターとシステムを提供する代わりに、提供先の韓国企業に運営ノウハウを出させている。各企業はそれぞれ独自の方法で、運営ノウハウを吸収しているのだろう。


日本のソフトメーカーが韓国に進出した裏には、韓国市場で得られるであろう利益以外にも、こうした目論見があったのである。もしかすると、こちらの目論見の方が韓国での利益以上に大切なものなのかも知れない。(つづく)


→続きはこちら:最終章「取り残される」

2007年09月11日

過去のコラム編集:2001年11月「オンラインゲームの海外流失 〜韓国進出の裏側〜」Part2

当該のゲーム業界記事は、2001年11月21日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「オンラインゲームの海外流失 〜韓国進出の裏側〜」の第二章です。

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第二章:「韓国の魅力」


日本のゲームメーカーが韓国に進出する背景には、韓国オンラインゲーム市場に大きな魅力があるからだろう。特に韓国には、大手のソフトメーカーであるカプコン・ハドソンなどがそれぞれ独自の手法でオンラインゲームを提供、または提供を予定していることを考えれば、韓国市場は強い魅力を持っていると言える。では、韓国市場の魅力とはどこにあるのだろうか。その答えは韓国のオンラインゲーム会社NCソフトが開発したオンラインゲーム「リニージ」(リネージュ)が握っている


NCソフトは、オンラインゲームで韓国最大手の企業である。その同社が1998年に発売した「リニージ」というオンライン戦略シミュレーションゲームは、発売以来韓国国内で記録的なヒットとなった。若者だけでなく、30代〜40代の大人をも巻きこんで一大ブームを巻き起こした「リニージ」は月一回以上、同ソフトを利用するユーザーを200万人以上獲得、ピーク時には約10万人もの人達が同時に「リニージ」に参加するほどの人気を得た韓国国内のオンラインゲーム市場は2000年の時点で前年比9倍弱の1915億ウォン(約190億円)に急成長したが、その4割程度を「リニージ」が占めているという。まさに、「リニージ」は韓国のオンラインゲーム市場急成長の立役者であったといえるだろう。


2000年度の日本のオンラインゲーム市場の市場規模は、野村総合研究所の試算では、数億円と言われていることを考えれば、「リニージ」によって急成長した韓国オンラインゲーム市場と、その「リニージ」の大きさを改めて感じさせられる。


この急成長の大本には、契約数が700万にまで膨れ上がった韓国のブロードバンド事情があろう。韓国国内の総世帯数がおよそ1600万であるから、一世帯・一契約と考えれば、韓国では約半数の世帯でインターネットの常時接続が行われている計算になる。このように、ブロードバンドが広く普及した韓国のインターネット環境は、オンラインゲームの普及・成長にうってつけの場所だったのだ。


オンラインゲームを遊ぶのに、高いハードルがあるならば、普及の大きな妨げになるそういう障害が無い韓国はオンラインゲーム市場が誕生する下地が十分に存在していたのである。「リニージ」の大成功はこうした恵まれた環境を最大限利用した結果だと言えるのだ。


韓国の魅力はまさに、ここにある。つまり、高いブロードバンド普及率に支えられて誕生した巨大なオンラインゲーム市場が、韓国に進出した日本のソフトメーカーにとって大きな魅力なのである。オンラインゲームを提供する側としては、韓国は遥かに事業展開がし易い場所であり、利益を挙げられる可能性が大きい市場なのだ。

だが、日本のソフトメーカー各社は韓国オンラインゲーム市場が有する魅力だけを目当てに韓国に乗りこむわけではない。彼らは“韓国市場で得られる利益”以外にも重要なものが韓国にあるから、韓国市場に進出したのである。

“韓国での利益”以外に大切なもの、その考察は次に譲ることにする。(つづく)


続きはこちら:第三章「真の狙い」
タグ:ゲーム業界

2007年09月10日

過去のコラム編集:2001年11月「オンラインゲームの海外流失 〜韓国進出の裏側〜」Part1

当該のゲーム業界記事は、2001年11月21日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「オンラインゲームの海外流失 〜韓国進出の裏側〜」の第一章です。

2001年の記事ですので、かなり古い記述になっておりますが、文章の保存を
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第一章:「韓国を目指せ」


昨今、ゲームソフトメーカーのオンライン分野での海外進出が目立つようになってきた。特に2001年におけるソフトメーカーの進出具合を見ると、それは進出というより“流失”と称しても良い程の勢いである。なかでも、エニックスやハドソン、カプコンにバンダイなどの大手のソフトメーカーは積極的に海外に進出しつつある


彼らが目指しているのは、ゲームソフトの一大消費市場であるアメリカや欧州ではない。市場規模としてはそれらの地域には到底及ばないアジア、それも隣国の韓国だ。韓国には、いま挙げたソフトメーカーのすべてが進出、もしくは進出を予定しており、各ソフトメーカーは韓国進出に大きな力を入れている


カプコンは、韓国でアニメーションビデオの企画・制作などを手掛けるココ・エンタープライズと共にオンラインゲームなどのゲーム開発会社を設立、韓国市場に本格進出しているし、同じくバンダイも韓国のオンラインゲーム制作会社であるゲームベンチャーと組み、将来的に韓国でのサービス提供も視野に入れた合弁会社を作っている。ハドソンは合弁会社こそ作らないが、韓国のオンラインゲーム会社であるウィズゲートと提携、2002年から韓国国内でオンラインゲームを供給する予定でいる。現地企業と協力する形で、韓国に進出したのはエニックスも同じである。


このように、ソフトメーカーによる海外進出の動きは、現地の企業を巻きこみながら、活発化してきているのである。今後はこれらの企業だけでなく、その他のソフトメーカーも追随する可能性も十分に考えられる。


日本のソフトメーカー各社がこぞって韓国に進出している現状から、彼らに大きな期待をされている格好の韓国市場であるが、そうなった原因は、韓国市場には日本のソフトメーカーを惹きつけるほどの魅力があるからに違いないでは、その韓国市場の魅力とは一体何であるのか。それを解き明かすために、このコラムを使わせてもらうのも面白いかもしれない。(つづく)


続きはこちら:第二章「韓国の魅力」
タグ:ゲーム業界