当該のゲーム業界記事は、2001年10月19日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「スクウェアの決断 〜本業回帰へ〜」の第四章(最終章)です。
2001年の記事ですので、かなり古い記述になっておりますが、文章の保存を
目的に掲載しておりますので、ご了承下さい。
第四章(最終章):「再建へ」
『ゲームに特化してこなかったことで開発力が落ちている』(Mainichi INTERACTIVE ゲームクエスト「スクウェアにSCEが149億円出資 ゲーム立て直しへ」 2001年10月9日)。スクウェアの鈴木社長は、映画事業やオンライン事業に傾倒し過ぎていたこれまでの方針の弊害が本業に現れていることを認めた。
確かに、蓋をあけて見なければ分からない、リスクの高い映画事業に、しかもたった一つの映画作品に160億円もの巨費を投じるのは尋常ではない。スクウェアをこれまで支えてきたゲームソフト「ファイナルファンタジー」(FF)シリーズでさえ『開発費は30−40億円程度かかる』(ZDNet 「スクウェア−映画事業のリスクをどう見るか」 2001年5月24日)というのであるから、映画「FF」の制作費が如何に常軌を逸したものであったのかが良く分かる。
単純に考えて、映画の制作費だけで実にゲームソフト「FF」を4作品分も作ることできてしまう計算になる。それほどまで力を入れて映画事業を進め、しかもオンライン事業「プレイオンライン」にも『先行投資が大きかった』(2001年10月10日日経産業新聞)と経営陣に言わしめるほどの投資をしてきたのであるから、ゲーム開発が疎かになっていたとする鈴木社長のコメントも分かる気がする。
ただ、『スクウェアの博打』(ウィット・キャピタル証券 「カンパニーメモ:メディア&コンテンツ スクウェア」 田島健 2000年11月21日)とまで呼ばれた二つの事業が会社の経営に大きな打撃を与えた今、スクウェアに残された道は博打を止め、後回しになっていたゲーム開発に再び本腰を入れる以外にない。鈴木社長は言う。『これからはゲームの制作が中心となる、本業回帰を行ないます』(ファミ通.com 「SCEとスクウェアが緊急記者会見!」 2001年10月9日)と。
しかし、唯一気になるのは、その具体策がまだ示されていない点だ。ゲーム開発部門を強化するためには、当然掛け声だけでは駄目なはずである。口では開発部門を重視するとは言いつつも、具体的にどうやって強化するのかが無ければ、それは御題目でしかない。
本当に開発力を強化したくば、例えば開発部門への大幅な権限の委譲や、開発資金・人員の増加などの策を発表すべきなのではないのか。それを示さない所が、再建への道は決して平坦ではないことを窺わせる。
「優勝することは難しい。連覇する事はもっと難しい。だが、一番難しいのは一旦失った覇権を取り戻すことだ」。これはプロ野球で活躍し、その後も巨人・西鉄・大洋などの球団監督を務め、数々のチームを優勝に導いた名将・故三原脩の名言である。
三原は要するに「一度掴んだ栄光を再び取り戻す事ほど難しいものはない」と言っているのだ。鈴木社長は会見で『ミリオンセラーを多数発売して輝いていた時代のスクウェアを取り戻す』(2001年10月10日日経産業新聞)と意気込んでいたが、それはスクウェアにとって一番難しいことなのかもしれない。
だが、スクウェアには、その“イバラの道”を突き進む以外に道は残されていないのである。(おわり)
2007年10月21日
2007年10月18日
過去のコラム編集:2001年10月「スクウェアの決断 〜本業回帰へ〜」Part3
当該のゲーム業界記事は、2001年10月19日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「スクウェアの決断 〜本業回帰へ〜」の第三章です。
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第三章:「スクウェアの今後」
SCEをオーナーの宮本氏に次ぐ第二位の大株主に迎えたことで、スクウェアの今後はどうなるのであろうか。一般的には何らかの影響があると見られている。特に『SCE以外のゲーム機へのソフト供給が難しくなることが予想される』(LYCOSニュース 「スクウェアが大幅高−SCEの資本参加を好感(ブルームバーグ)」 2001年10月10日10時43分)という声がその最たるものだろう。では、本当にSCEが大株主になったことでSCE以外のゲーム機にソフトを供給できなくなってしまうのか。
SCEの久多良木社長は今回の出資に関して次のように述べた。『スクウェアさんについては、プレイステーション、プレイステーション2だけでソフトを作ってくれ、と頼むよりも、とにかくおもしろくて、誰でも楽しめるソフトを出してほしいとお願いします』(ファミ通.com 「SCEとスクウェアが緊急記者会見!」 2001年10月9日)。この主張をそのまま受け取ると、スクウェアがプレイステーション(PS)・プレイステーション2(PS2)以外のゲーム機にソフトを供給する事に異論は無いと言っているように聞こえる。
スクウェアの鈴木社長も任天堂のGBAなどの携帯ゲーム機にソフトを供給するべく、任天堂と交渉をしている、と会見で明らかにしていることからもSCEはPS・PS2以外にはソフト供給を認めないわけではないと思われる。では、なぜSCEはそこまで柔軟な姿勢でいるのか。その一つの理由として、SCEの微妙な出資比率が背景にあるからではないだろうか。
SCEがスクウェアに出資した金額は約148億円であり、出資比率は18.6%である。しかし、この「18.6%」という数字は企業会計上、非常に微妙な数字なのである。世界で最も支持されているアメリカの会計基準を用いて考えれば、出資比率が20%に満たない企業に対して出資元の企業は『実質的な影響を与えることができない』(P148 「MBAファイナンス」 グロービス・マネジメント・インスティテュート ダイヤモンド社 1999年)とされている。
逆に出資比率が20%以上50%まで上昇すると『政策レベルで実質的な影響を与えることができる』(同)とされ、出資元企業の“関連会社”と呼ばれる。仮にSCEが20%の出資比率を確保していれば、スクウェアを”関連会社”として扱う事ができるのだが、出資比率18.6%では、出資先企業に実質的な影響を与え、関連会社化できるとされる20%にはわずかではあるが及ばないのだ。これでは、SCEはスクウェアに対して影響力を行使することができない。
しかも、筆頭株主にはSCEの持ち株の倍以上を保有するオーナーの宮本氏が依然として控えているのだ。どちらがスクウェアに対して強い影響力を有しているのかは明白であろう。
以上の事柄をまとめると、スクウェアがSCEに出資を仰いだことにより、SCEの政策に縛られPS・PS2以外のゲーム機にゲームソフトを供給する事ができないという事態には陥らないと考えられる。久多良木社長も、スクウェアには影響を与えられないことは理解しているようで、今回の出資に関して『経営権をとる云々ではない』(NIKKEI NET 「“ソフト開発力が落ちていた”――スクウェア社長らの会見内容」 2001年10月9日)と述べている。
SCEの出資によってスクウェアの行動に「今後チェックが入る」との懸念は杞憂に終わりそうである。(つづく)
→続きはこちら:最終章「再建へ」
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第三章:「スクウェアの今後」
SCEをオーナーの宮本氏に次ぐ第二位の大株主に迎えたことで、スクウェアの今後はどうなるのであろうか。一般的には何らかの影響があると見られている。特に『SCE以外のゲーム機へのソフト供給が難しくなることが予想される』(LYCOSニュース 「スクウェアが大幅高−SCEの資本参加を好感(ブルームバーグ)」 2001年10月10日10時43分)という声がその最たるものだろう。では、本当にSCEが大株主になったことでSCE以外のゲーム機にソフトを供給できなくなってしまうのか。
SCEの久多良木社長は今回の出資に関して次のように述べた。『スクウェアさんについては、プレイステーション、プレイステーション2だけでソフトを作ってくれ、と頼むよりも、とにかくおもしろくて、誰でも楽しめるソフトを出してほしいとお願いします』(ファミ通.com 「SCEとスクウェアが緊急記者会見!」 2001年10月9日)。この主張をそのまま受け取ると、スクウェアがプレイステーション(PS)・プレイステーション2(PS2)以外のゲーム機にソフトを供給する事に異論は無いと言っているように聞こえる。
スクウェアの鈴木社長も任天堂のGBAなどの携帯ゲーム機にソフトを供給するべく、任天堂と交渉をしている、と会見で明らかにしていることからもSCEはPS・PS2以外にはソフト供給を認めないわけではないと思われる。では、なぜSCEはそこまで柔軟な姿勢でいるのか。その一つの理由として、SCEの微妙な出資比率が背景にあるからではないだろうか。
SCEがスクウェアに出資した金額は約148億円であり、出資比率は18.6%である。しかし、この「18.6%」という数字は企業会計上、非常に微妙な数字なのである。世界で最も支持されているアメリカの会計基準を用いて考えれば、出資比率が20%に満たない企業に対して出資元の企業は『実質的な影響を与えることができない』(P148 「MBAファイナンス」 グロービス・マネジメント・インスティテュート ダイヤモンド社 1999年)とされている。
逆に出資比率が20%以上50%まで上昇すると『政策レベルで実質的な影響を与えることができる』(同)とされ、出資元企業の“関連会社”と呼ばれる。仮にSCEが20%の出資比率を確保していれば、スクウェアを”関連会社”として扱う事ができるのだが、出資比率18.6%では、出資先企業に実質的な影響を与え、関連会社化できるとされる20%にはわずかではあるが及ばないのだ。これでは、SCEはスクウェアに対して影響力を行使することができない。
しかも、筆頭株主にはSCEの持ち株の倍以上を保有するオーナーの宮本氏が依然として控えているのだ。どちらがスクウェアに対して強い影響力を有しているのかは明白であろう。
以上の事柄をまとめると、スクウェアがSCEに出資を仰いだことにより、SCEの政策に縛られPS・PS2以外のゲーム機にゲームソフトを供給する事ができないという事態には陥らないと考えられる。久多良木社長も、スクウェアには影響を与えられないことは理解しているようで、今回の出資に関して『経営権をとる云々ではない』(NIKKEI NET 「“ソフト開発力が落ちていた”――スクウェア社長らの会見内容」 2001年10月9日)と述べている。
SCEの出資によってスクウェアの行動に「今後チェックが入る」との懸念は杞憂に終わりそうである。(つづく)
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2007年10月16日
過去のコラム編集:2001年10月「スクウェアの決断 〜本業回帰へ〜」Part2
当該のゲーム業界記事は、2001年10月19日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「スクウェアの決断 〜本業回帰へ〜」の第二章です。
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第二章:「“大株主SCE”をなぜ誕生させたのか」
スクウェアが映画事業の失敗によって生じた資金不足を埋めるべく行動した結果、「大株主SCE」が誕生する事になった。では、なぜスクウェアはSCEを選んだのであろうか。ここでは、スクウェアがSCEを資金調達先として選んだ経緯を推察してみることにしたい。
巨額の資金が不足し、業界関係者に『資金繰りに窮していた』(2001年10月10日日経金融新聞)と言われるほどの状況を脱するために、スクウェアはあらゆる資金調達方法を模索していたと思われる。それだけに、最初から「SCEに大株主になってもらうことで資金不足を解消する」という一つの方法しかもっていなかったとは考えにくい。
SCE以外の企業からの出資金や、一般投資家からの出資金あるいは銀行からの借入金で資金不足を解決する道も当然検討していただろう。その中で、スクウェアがあえてSCEを選んだ理由は、SCE以外にスクウェアの資金需要を満たしてくれる所が無かったからではないだろうか。
スクウェアが複数挙げていた資金調達先として、まず始めに消えたのが銀行であろう。一般的にゲーム会社は銀行借入をあまりしない。しない、というより「借りられない」と言ったほうが良いのかもしれない。
それはゲーム会社が行っているゲームソフト事業の不安定さなどを銀行に嫌がられているからだ。そのために銀行は短期間の資金貸出には応じるものの長期間の貸出は渋る傾向にある。多くのゲーム会社の長期の借入金は数億円から数十億円の間だ。無借金企業だってある。
スクウェアの欲している資金はおおよそ映画事業で失った金額であろう。すると、100億円を軽く超えてしまう。この巨額の資金を借り受けるのは簡単ではない。こういったことを考えると、スクウェアの執るべき策はどこかの企業からの出資、もしくは一般投資家からの出資に頼る以外に無くなってしまう。
だが、日経平均株価が一万円の大台を割り、スクウェア株も上場来安値を更新している状況では、一般投資家から新たな出資は期待できない。それでは、スクウェアが提携しているナムコやエニックスに出してもらうという方法もあるが、両社の企業規模や現状を考えると難しい。ナムコはようやっと赤字経営から立ち直ってきた所であるし、エニックスは今期減収が見込まれているのだ。自社の経営でさえ苦しいのに、他の企業を助けるための資金を出すなど無理な話なのだ。
そうなると、ゲーム業界の中で企業規模が大きく、資金が豊富にある企業が有力候補になる。例えば、コナミや任天堂・SCEなどであろう。しかし、コナミは既にタカラやハドソンなどの上場企業に多額の資金を出資済みであるし、任天堂との関係改善の兆しが見えない状況下では、スクウェアに残された道はSCEに頼む以外に方法が無かったのである。
スクウェアが大株主としてSCEを選んだ理由を推察すると、八方ふさがりのスクウェアを救えるのはSCE以外にいなかった、と言えるだろう。では、SCE を大株主として迎える事で救われたスクウェアは、今後どうなるのであろうか。それを次に考える事にしたい。(つづく)
続きはこちら→第三章:「スクウェアの今後」
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第二章:「“大株主SCE”をなぜ誕生させたのか」
スクウェアが映画事業の失敗によって生じた資金不足を埋めるべく行動した結果、「大株主SCE」が誕生する事になった。では、なぜスクウェアはSCEを選んだのであろうか。ここでは、スクウェアがSCEを資金調達先として選んだ経緯を推察してみることにしたい。
巨額の資金が不足し、業界関係者に『資金繰りに窮していた』(2001年10月10日日経金融新聞)と言われるほどの状況を脱するために、スクウェアはあらゆる資金調達方法を模索していたと思われる。それだけに、最初から「SCEに大株主になってもらうことで資金不足を解消する」という一つの方法しかもっていなかったとは考えにくい。
SCE以外の企業からの出資金や、一般投資家からの出資金あるいは銀行からの借入金で資金不足を解決する道も当然検討していただろう。その中で、スクウェアがあえてSCEを選んだ理由は、SCE以外にスクウェアの資金需要を満たしてくれる所が無かったからではないだろうか。
スクウェアが複数挙げていた資金調達先として、まず始めに消えたのが銀行であろう。一般的にゲーム会社は銀行借入をあまりしない。しない、というより「借りられない」と言ったほうが良いのかもしれない。
それはゲーム会社が行っているゲームソフト事業の不安定さなどを銀行に嫌がられているからだ。そのために銀行は短期間の資金貸出には応じるものの長期間の貸出は渋る傾向にある。多くのゲーム会社の長期の借入金は数億円から数十億円の間だ。無借金企業だってある。
スクウェアの欲している資金はおおよそ映画事業で失った金額であろう。すると、100億円を軽く超えてしまう。この巨額の資金を借り受けるのは簡単ではない。こういったことを考えると、スクウェアの執るべき策はどこかの企業からの出資、もしくは一般投資家からの出資に頼る以外に無くなってしまう。
だが、日経平均株価が一万円の大台を割り、スクウェア株も上場来安値を更新している状況では、一般投資家から新たな出資は期待できない。それでは、スクウェアが提携しているナムコやエニックスに出してもらうという方法もあるが、両社の企業規模や現状を考えると難しい。ナムコはようやっと赤字経営から立ち直ってきた所であるし、エニックスは今期減収が見込まれているのだ。自社の経営でさえ苦しいのに、他の企業を助けるための資金を出すなど無理な話なのだ。
そうなると、ゲーム業界の中で企業規模が大きく、資金が豊富にある企業が有力候補になる。例えば、コナミや任天堂・SCEなどであろう。しかし、コナミは既にタカラやハドソンなどの上場企業に多額の資金を出資済みであるし、任天堂との関係改善の兆しが見えない状況下では、スクウェアに残された道はSCEに頼む以外に方法が無かったのである。
スクウェアが大株主としてSCEを選んだ理由を推察すると、八方ふさがりのスクウェアを救えるのはSCE以外にいなかった、と言えるだろう。では、SCE を大株主として迎える事で救われたスクウェアは、今後どうなるのであろうか。それを次に考える事にしたい。(つづく)
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2007年10月15日
過去のコラム編集:2001年10月「スクウェアの決断 〜本業回帰へ〜」Part1
当該のゲーム業界記事は、2001年10月19日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「スクウェアの決断 〜本業回帰へ〜」の第一章です。
2001年の記事ですので、かなり古い記述になっておりますが、文章の保存を
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第一章:「150億円」
ゲームソフトメーカー大手のスクウェアは、2001年10月9日にソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)からの出資を受け入れたと発表した。出資金は148億9600万円にも上る。SCEがスクウェアの総発行済株式数のニ割に近い大量の株式を新たに買う事で、今回のスクウェアへの資本参加が成立した。
これによって、SCEはスクウェアの全株式の18.6%を保有することになり、創業者でありオーナーでもある宮本雅史氏の40.98%に次ぐ第二位の大株主になった。スクウェアは、この度の増資はゲームソフト開発力と財務体質の強化を目的に行われたものだとしている。
スクウェアがSCEに出資を要請した背景には、何と言っても映画事業の大失敗がある。映画「ファイナルファンタジー」は1億3700万ドル(約164億円)もの莫大な資金と約200人のクリエイターを投入しながら、北米での興行収入は目標の三分の一の3000万ドル、日本での収入は『目標の9億円には届かない見通しだ』(asahi.com 「CG映画“FF”不振でスクウェアが130億円の特損」 2001年10月4日)と報じられるほどの惨憺たる結果しか残せなかった。
しかも、日本での上映は、あまりの不人気を反映して3週間で打ち切りになるという。スタジオジブリが制作し宮崎駿氏が監督を務める、映画「千と千尋の神隠し」が7月に公開以来、日本映画最高の興行収入を挙げているのとは、まさに正反対である。
映画「ファイナルファンタジー」の想定外の不振は、スクウェアの経営を直撃した。スクウェアはSCEからの出資を受けると発表する一週間ほど前の同月2日に、映画制作費の同社負担分の139億円が回収不能になる可能性があると公表しているのだ。この発表によって、スクウェアは2002年3月期も前期に引き続いて赤字になることがほぼ確実になった。その赤字額は前期比三倍以上の100億円をも上回ると見られている。
100億円を超す赤字額は、スクウェアの手持資金の不足を招き、財務体質を非常に弱体化させることになる。特に、資金不足は大問題だ。業界関係者の中にはスクウェアの資金不足について『来期以降のソフト開発資金が底をつく』(2001年10月10日 日本経済新聞)と見ている人もいるほどであるから、その深刻さが窺える。
資金不足でゲームソフトメーカーがゲームを開発できなかったらどうなるのか。同じソフトメーカーであるハドソンは資金難によってゲーム開発費不足に悩まされたメーカーの一つだ。ハドソンはメインバンクであった北海道拓殖銀行破綻後、資金不足に悩まされた。
資金不足による弊害は、ゲーム開発が滞り、新規開発が出来なくなるという形で現れた。その結果、ハドソンから発売されたゲームタイトル数は激減、ゲームソフトが少なくなれば当然売上も減り、1999年2月期に170億円あった売上は2001年2月期には半分以下の70億円台になってしまったのである。
こうした前例があるからこそ、スクウェアはゲーム開発ができるだけの充分な資金を必要としたのである。だが、その調達先としてSCEを選んだ理由はどこにあるのであろうか。それらを次に考えてみたい。(つづく)
続きはこちら→第二章:「“大株主SCE”をなぜ誕生させたのか」
2001年の記事ですので、かなり古い記述になっておりますが、文章の保存を
目的に掲載しておりますので、ご了承下さい。
第一章:「150億円」
ゲームソフトメーカー大手のスクウェアは、2001年10月9日にソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)からの出資を受け入れたと発表した。出資金は148億9600万円にも上る。SCEがスクウェアの総発行済株式数のニ割に近い大量の株式を新たに買う事で、今回のスクウェアへの資本参加が成立した。
これによって、SCEはスクウェアの全株式の18.6%を保有することになり、創業者でありオーナーでもある宮本雅史氏の40.98%に次ぐ第二位の大株主になった。スクウェアは、この度の増資はゲームソフト開発力と財務体質の強化を目的に行われたものだとしている。
スクウェアがSCEに出資を要請した背景には、何と言っても映画事業の大失敗がある。映画「ファイナルファンタジー」は1億3700万ドル(約164億円)もの莫大な資金と約200人のクリエイターを投入しながら、北米での興行収入は目標の三分の一の3000万ドル、日本での収入は『目標の9億円には届かない見通しだ』(asahi.com 「CG映画“FF”不振でスクウェアが130億円の特損」 2001年10月4日)と報じられるほどの惨憺たる結果しか残せなかった。
しかも、日本での上映は、あまりの不人気を反映して3週間で打ち切りになるという。スタジオジブリが制作し宮崎駿氏が監督を務める、映画「千と千尋の神隠し」が7月に公開以来、日本映画最高の興行収入を挙げているのとは、まさに正反対である。
映画「ファイナルファンタジー」の想定外の不振は、スクウェアの経営を直撃した。スクウェアはSCEからの出資を受けると発表する一週間ほど前の同月2日に、映画制作費の同社負担分の139億円が回収不能になる可能性があると公表しているのだ。この発表によって、スクウェアは2002年3月期も前期に引き続いて赤字になることがほぼ確実になった。その赤字額は前期比三倍以上の100億円をも上回ると見られている。
100億円を超す赤字額は、スクウェアの手持資金の不足を招き、財務体質を非常に弱体化させることになる。特に、資金不足は大問題だ。業界関係者の中にはスクウェアの資金不足について『来期以降のソフト開発資金が底をつく』(2001年10月10日 日本経済新聞)と見ている人もいるほどであるから、その深刻さが窺える。
資金不足でゲームソフトメーカーがゲームを開発できなかったらどうなるのか。同じソフトメーカーであるハドソンは資金難によってゲーム開発費不足に悩まされたメーカーの一つだ。ハドソンはメインバンクであった北海道拓殖銀行破綻後、資金不足に悩まされた。
資金不足による弊害は、ゲーム開発が滞り、新規開発が出来なくなるという形で現れた。その結果、ハドソンから発売されたゲームタイトル数は激減、ゲームソフトが少なくなれば当然売上も減り、1999年2月期に170億円あった売上は2001年2月期には半分以下の70億円台になってしまったのである。
こうした前例があるからこそ、スクウェアはゲーム開発ができるだけの充分な資金を必要としたのである。だが、その調達先としてSCEを選んだ理由はどこにあるのであろうか。それらを次に考えてみたい。(つづく)
続きはこちら→第二章:「“大株主SCE”をなぜ誕生させたのか」
