2007年12月23日

過去のコラム編集:2001年8月「ハドソン買収 〜それぞれの目論見〜」Part4

当該のゲーム業界記事は、2001年8月24日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「ハドソン買収 〜それぞれの目論見〜」の第四章(最終章)です。


2001年当時のハドソンは2007年とは違い、経営危機に瀕しておりました。飛ぶ鳥を落とす勢いだった80年代から十数年。ゲーム機の勝ち組ハードはファミコンからプレイステーションに移行した流れについて行けず、さらには未曾有の不況から北海道のメインバンクである北海道拓殖銀行の破綻という影響もあり、上場して間もないハドソンは早くも経営危機に陥っていました。


それをコナミが救ったのですが、コナミはただハドソンを救っただけではなく、コナミなりのハドソン活用法があったのではないか、また一方で、ハドソンにもコナミを逆活用する目論見があったのではないか、という両者の思惑を当時の時代背景から当コラムでは描き出しております。


「ハドソン買収 〜それぞれの目論見〜」Part4
第四章(最終章):「甘いハチミツ」


タカラに利用されたようで、しっかり利用し尽くしたコナミ。この経験はハドソンへの出資に活かされている。一見すると、ハドソンにコナミの経営資源を徹底的に利用させただけに感じられるほどの今回の提携だが、こうすることでハドソンが大きな利益をあげられる企業になる事こそが、コナミにとって重要なのだ。コナミの予測通り、ハドソンが高収益企業に生まれ変われば、タカラ株と同じようにハドソン株にて大きな利益を手に出来るのだ。


今回の提携会見でコナミ上月社長は少しだけ本音を洩らした。


『今、日本のゲームソフト会社は大手7社ではしっているが、いずれも株式公開会社だ。しかしハドソンはその中で、時価総額が他社に比べて1ケタ低い。ハドソンは100億円台だが他の会社は1000億円台だ。歴史、開発力を考えればハドソンはすごい会社なのに時価総額の評価は低い。そのことを考えると提携を行い、株主価値を高めることで他の会社並の地位を築くことは難しくない。…(ハドソンが)正当な評価をしてもらうように一緒にやっていきたい』(Mainichi INTERACTIVE ゲームクエスト「ハドソン・コナミ提携会見での一問一答」 2001年7月26日)。


要するに、上月社長はハドソン株の評価は、他社に比べて1ケタ低い、もっと高くなってもおかしくは無い、と言いたいのだ。


もし、仮に上月社長の言う通り、ハドソン株が時価総額1000億円程度になるためには、株価は7000円近くにならなければならない。コナミはハドソンから1株900円程度で約560万株を購入しているので、上月社長の目論見通りになれば実に1株につき約6000円の利益が生まれる事になる。それが560 万株もあるのだから、大雑把に見積もってもコナミには336億円もの利益が転がりこむ


世の中には子会社が親会社を超えて成長した例はたくさんある。将来はそういう姿を目標にしたい。コナミの社章の周りをハチ(ハドソンの社章)が飛び交っているイメージかな』(2001年7月31日 日経産業新聞)。ハドソンの工藤社長はこう述べ、コナミを利用して飛躍する将来像を描いている。


しかし、ハチが利益という蜜を集めようとすればするほど、コナミには甘い甘いハチミツをもたらすことになる


さて、この両社の関係がゲーム業界にもたらすものは何であろうか。双方の目論見が飛び交う、おもしろい共生関係はまだ始まったばかりである。(おわり)

2007年12月22日

過去のコラム編集:2001年8月「ハドソン買収 〜それぞれの目論見〜」Part3

当該のゲーム業界記事は、2001年8月24日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「ハドソン買収 〜それぞれの目論見〜」の第三章です。


2001年当時のハドソンは2007年とは違い、経営危機に瀕しておりました。飛ぶ鳥を落とす勢いだった80年代から十数年。ゲーム機の勝ち組ハードはファミコンからプレイステーションに移行した流れについて行けず、さらには未曾有の不況から北海道のメインバンクである北海道拓殖銀行の破綻という影響もあり、上場して間もないハドソンは早くも経営危機に陥っていました。


それをコナミが救ったのですが、コナミはただハドソンを救っただけではなく、コナミなりのハドソン活用法があったのではないか、また一方で、ハドソンにもコナミを逆活用する目論見があったのではないか、という両者の思惑を当時の時代背景から当コラムでは描き出しております。


「ハドソン買収 〜それぞれの目論見〜」Part3
第三章:「コナミの目論見(タカラ式利用法)」


ハドソンの目論見ではコナミは自らが持っている資金・版権・販売網などの経営資源をハドソンに徹底的に利用される事になる。今後は、さらに開発子会社であるコナミコンピュータエンタテインメントスタジオを分割して、その一方をハドソンに統合させることになっているため、その傾向は一段と強まっていると言えよう。


こうしてみると、両社の関係はハドソンばかりが得をする形になってしまっている。これではコナミには、ハドソンと協業体制を築けるという以外に利するところがあまり無い。コナミは一般的に言われているように携帯電話向けのゲームやオンラインゲーム等での分野で、事業展開を優位な立場で進めるという目標だけを達成するためにハドソンに50億円もの大金を出資し、その他様々な経営資源を提供したのであろうか。ハドソンのように隠れた目論見はないのであろうか。その答えは、玩具メーカーのタカラが握っている


タカラは2000年にコナミの出資を受け入れ、コナミグループの一員となった。2000年度のタカラは、ちょうど経営の建て直しを図っていた時期でもあったが、そういった時にコナミはタカラに33億円強の出資を行った。具体的にはタカラから、タカラの株式を一株400円、計843万株を新たに買い入れることでタカラに資金を提供したのだった。タカラと一緒になる事で、コナミはタカラの持つコンテンツを利用して新たなゲームソフトなどを開発できると期待された。


その後、タカラは「e-kara」「ベイブレード」などの大ヒット商品などにより、完全に立ち直ることになる。しかしコナミにはタカラのコンテンツを利用した商品がヒットした、などの提携した事による効果は殆ど無かったと言っても良い。


これだけを見ると、コナミはタカラに33億円以上もの大金を、ただ出資しただけだったと思えてしまう。では、コナミはタカラに利用されただけで、何の得もなかったのだろうか。


コナミに全く利益が無く、ただタカラに利用されただけだ、と考えるのは早計だ。実はコナミは、タカラがコナミを利用する以上に、タカラを利用し大きな恩恵を得ているのだ。その恩恵とは、株式による巨額な利益だ。タカラの株価は経営の再建が評価され、近年には無い高値をつけている。八月中旬現在の株価は 1500円近辺で動いている状況だ。


コナミは一株400円でタカラ株を購入しているため、一株につき1100円程度の利益があり、それが843万株もあるため、単純に考えたとしてもコナミの利益は92億円強。一方で、タカラが2001年3月期に稼ぎ出した純利益はその僅か五分の一か六分の一に過ぎない16億円なのだ。


こうして考えると、コナミはタカラを最大限に利用したといえるだろう。そして、この構図はそっくりそのままハドソンにもあてはまる。つまり、コナミはハドソンを利用し尽くすために、まずコナミを徹底的に利用させたいのだ。そうすることで、ハドソンは儲かる。同時にそれは、ハドソン株の評価が高まることに繋がり、最終的にコナミには株式を通じて巨額の利益が生ずる寸法だ。コナミの目論見はこれなのである。


コナミは二匹目のドジョウを狙っている。(つづく)


続きはこちら→最終章(第四章):「甘いハチミツ」

2007年12月19日

過去のコラム編集:2001年8月「ハドソン買収 〜それぞれの目論見〜」Part2

当該のゲーム業界記事は、2001年8月24日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「ハドソン買収 〜それぞれの目論見〜」の第二章です。


2001年当時のハドソンは2007年とは違い、経営危機に瀕しておりました。飛ぶ鳥を落とす勢いだった80年代から十数年。ゲーム機の勝ち組ハードはファミコンからプレイステーションに移行した流れについて行けず、さらには未曾有の不況から北海道のメインバンクである北海道拓殖銀行の破綻という影響もあり、上場して間もないハドソンは早くも経営危機に陥っていました。


それをコナミが救ったのですが、コナミはただハドソンを救っただけではなく、コナミなりのハドソン活用法があったのではないか、また一方で、ハドソンにもコナミを逆活用する目論見があったのではないか、という両者の思惑を当時の時代背景から当コラムでは描き出しております。


【ゲームコラム】「ハドソン買収 〜それぞれの目論見〜」Part2
第二章:「ハドソンの目論見」


要するに我が社には資金がなかった。…資本提携の一番のメリットはこれで財務体質が見違えるほど良くなること』(2001年7月31日日経産業新聞)。ハドソン工藤社長は、コナミからの50億円の出資に対し、こう述べる。しかし、ハドソンにとっての一番のメリットとは、本当に財務体質が強化されるという事だけなのか。


確かに、2001年2月期の売上高ですら70億円程度のハドソンにとっては、とてつもなく大きい資金が手に入るため、財務体質が目に見えて良くなるのは間違いない。ただ、ハドソンにとって今、この時期に手に出来る50億円は本当に欲しい資金であったのだろうか


ハドソンが資金難に苦しめられた時期は、主な資金調達源であった北海道拓殖銀行が98年に破綻してから4年間にも及ぶ。工藤社長は『当社はメーンバンクである北海道拓殖銀行破たんから四年間、ほとんど開発資金を調達できなかった』(2001年7月27日 日経産業新聞)と語り、その間は『初めて体験した地獄の苦しみ』(2001年2月16日 日経産業新聞)だったという。北海道拓殖銀行破綻後の4年間はハドソンにとって苦難の時代であったのだろう。


だが、ハドソンを地獄に落とした原因の資金難はすでに解消しているといっても良い。なぜなら、ハドソンは2000年12月にナスダック・ジャパンと呼ばれる株式市場に株式を上場させ、20億円近い資金を調達しているし、翌2001年には北洋銀行や住友銀行(現三井住友銀行)などの複数の銀行から32億円を借入れているのだ。合わせると、約50億円程度の資金となり、ゲーム開発資金としては十分なレベルである


2001年3月24日の日本経済新聞によると、ハドソンは2002年2月期から毎年の出荷タイトルを20前後にする考えだが、それらを開発するための費用は2002年2月期で55億円前後だという。そうなると、ハドソンは自前でゲーム開発に必要な資金は確保していることになるのだ。


では、なぜハドソンはコナミの傘下に入る事を決断したのか。それは、コナミグループ入りすることで、コナミを利用し尽くすことができるからだ。工藤社長は、コナミとの提携のメリットについて、財務体質の強化の他にコナミが所有する版権や販売網の利用をあげている。


ゲーム開発ではコナミが保有する版権などを活用できるのも大きい。コナミの販売網を活用できれば、ゲームの売り上げ増も期待できるだろう』(2001年7月31日日経産業新聞)とし、コナミを利用することでハドソンには大きなメリットが生まれると、工藤社長は言う。


つまり、ハドソンにとって一番欲しかったのは、50億円ではなく、コナミが持っている力だったと結論付ける事ができるのだ。それを裏付けるかのように、工藤社長はこうも述べている。『(コナミの)上月社長には利用できるモノは何でも利用させてもらうと話してある』(同 括弧内は著者)。


コナミを徹底的に“使う”。これがハドソンの狙いだ。(つづく)


→続きはこちら:第三章「コナミの目論見(タカラ式利用法)」

2007年12月16日

過去のコラム編集:2001年8月「ハドソン買収 〜それぞれの目論見〜」Part1

当該のゲーム業界記事は、2001年8月24日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「ハドソン買収 〜それぞれの目論見〜」の第一章です。


2001年当時のハドソンは2007年とは違い、経営危機に瀕しておりました。飛ぶ鳥を落とす勢いだった80年代から十数年。ゲーム機の勝ち組ハードはファミコンからプレイステーションに移行した流れについて行けず、さらには未曾有の不況から北海道のメインバンクである北海道拓殖銀行の破綻という影響もあり、上場して間もないハドソンは早くも経営危機に陥っていました。

それをコナミが救ったのですが、コナミはただハドソンを救っただけではなく、コナミなりのハドソン活用法があったのではないか、また一方で、ハドソンにもコナミを逆活用する目論見があったのではないか、という両者の思惑を当時の時代背景から当コラムでは描き出しております。


「ハドソン買収 〜それぞれの目論見〜」Part1
第一章:「傘下へ」


コナミがハドソンを“買った”。2001年7月26日午後、そう表現できる出来事があった。ハドソンがコナミから約50億円の出資を受け、コナミグループに入ると発表したのだ。これにより、コナミのハドソンへの出資比率は最終的に45%程度となり、事実上コナミはハドソンの経営権を握った事になる。


最近のコナミは積極的に他社に対して資本参加をしている昨年は玩具メーカーのタカラに出資しているし、今年は7月末まででフィットネスクラブ運営企業のピープル(現コナミスポーツ)、ゲームソフトメーカーのサクセス、そして今回のハドソンと、実に多い。近年の好調な業績が生み出した潤沢な資金を他社にせっせと投入している姿がここから見える。


一方、コナミとは全く対照的な状態にあるのがハドソンだ。昔は業界のトップランナーとも言える位置にあり、売上高も400億円を超える時もあったのだが、近頃はメインバンクの北海道拓殖銀行の破綻などによって業績は右肩下がりで推移、2001年2月期の売上高はついに100億円の大台を大きく割りこみ、 70億円台に留まってしまった


当然、そのような環境下では利益が生まれるはずも無く、赤字に転落している。ハドソンの経営陣は、おそらく今回の提携を機に、経営の建て直しを図りたい、と考えていることだろう。


それでは、今回のコナミによるハドソンへの出資にはどういった狙いがあるのだろうか。一般的に両社が一緒になることで、ゲームソフト分野での協力体制が生まれ、より良いゲームソフトが世に出る、といったことが考えられている。


特にコナミにとっては、成長が見こまれている携帯電話向けのゲームや、オンラインゲームに技術力があるハドソンがグループ入りする事で、それらの分野でコナミが優位に事業展開できるだろうと期待されている。逆にハドソンには、約50億円の資金が手に入るため、ゲーム開発資金が豊富になり、ゲーム開発能力の向上がもたらされるだろうと言われている。


だが、両社の目論見はこれだけなのであろうか


ハドソンへの出資をしたコナミと、コナミから資金提供を受けたハドソン。この両社はこれらの事だけを期待して、50億円もの大金をやりとりしたのであろうか。著者は、この提携はそのような教科書的な効果しかない、とは思わない。一般的な見方以外の効果がそれぞれにあるだろうと考えている。


では、世間で語られている以外の「効果」とは一体どのようなものなのか。次からはハドソンとコナミのそれぞれが持っている目論見について解き明かしていく事にしたい。(つづく)


続きはこちら→第二章:「ハドソンの目論見」