2001年当時のハドソンは2007年とは違い、経営危機に瀕しておりました。飛ぶ鳥を落とす勢いだった80年代から十数年。ゲーム機の勝ち組ハードはファミコンからプレイステーションに移行した流れについて行けず、さらには未曾有の不況から北海道のメインバンクである北海道拓殖銀行の破綻という影響もあり、上場して間もないハドソンは早くも経営危機に陥っていました。
それをコナミが救ったのですが、コナミはただハドソンを救っただけではなく、コナミなりのハドソン活用法があったのではないか、また一方で、ハドソンにもコナミを逆活用する目論見があったのではないか、という両者の思惑を当時の時代背景から当コラムでは描き出しております。
第四章(最終章):「甘いハチミツ」
タカラに利用されたようで、しっかり利用し尽くしたコナミ。この経験はハドソンへの出資に活かされている。一見すると、ハドソンにコナミの経営資源を徹底的に利用させただけに感じられるほどの今回の提携だが、こうすることでハドソンが大きな利益をあげられる企業になる事こそが、コナミにとって重要なのだ。コナミの予測通り、ハドソンが高収益企業に生まれ変われば、タカラ株と同じようにハドソン株にて大きな利益を手に出来るのだ。
今回の提携会見でコナミ上月社長は少しだけ本音を洩らした。
『今、日本のゲームソフト会社は大手7社ではしっているが、いずれも株式公開会社だ。しかしハドソンはその中で、時価総額が他社に比べて1ケタ低い。ハドソンは100億円台だが他の会社は1000億円台だ。歴史、開発力を考えればハドソンはすごい会社なのに時価総額の評価は低い。そのことを考えると提携を行い、株主価値を高めることで他の会社並の地位を築くことは難しくない。…(ハドソンが)正当な評価をしてもらうように一緒にやっていきたい』(Mainichi INTERACTIVE ゲームクエスト「ハドソン・コナミ提携会見での一問一答」 2001年7月26日)。
要するに、上月社長はハドソン株の評価は、他社に比べて1ケタ低い、もっと高くなってもおかしくは無い、と言いたいのだ。
もし、仮に上月社長の言う通り、ハドソン株が時価総額1000億円程度になるためには、株価は7000円近くにならなければならない。コナミはハドソンから1株900円程度で約560万株を購入しているので、上月社長の目論見通りになれば実に1株につき約6000円の利益が生まれる事になる。それが560 万株もあるのだから、大雑把に見積もってもコナミには336億円もの利益が転がりこむ。
『世の中には子会社が親会社を超えて成長した例はたくさんある。将来はそういう姿を目標にしたい。コナミの社章の周りをハチ(ハドソンの社章)が飛び交っているイメージかな』(2001年7月31日 日経産業新聞)。ハドソンの工藤社長はこう述べ、コナミを利用して飛躍する将来像を描いている。
しかし、ハチが利益という蜜を集めようとすればするほど、コナミには甘い甘いハチミツをもたらすことになる。
さて、この両社の関係がゲーム業界にもたらすものは何であろうか。双方の目論見が飛び交う、おもしろい共生関係はまだ始まったばかりである。(おわり)
