2001年当時は既にゲーム市場の覇権はソニー(SCE)に移っており、任天堂は窮地に立たされていた状況でした。プレイステーション2の登場によりSCEの優位はますます優位になり、携帯ゲーム機に依存する任天堂は据置型ゲーム機での立て直しを迫られていました。
その結果、プレイステーション2とは異なるコンセプトで登場したのがゲームキューブでした。このゲーム機のコンセプトは今の[Wii]に繋がるもので、現在の任天堂復活の礎を作ったと言っても過言ではないと思われます。このコラムでは、そのゲームキューブに込めた任天堂の意図を描き出したものとなっております。
第六章(最終章):「GC延期の真相」
GCの延期の理由として「ハードの安定供給のため」と「自社のソフト開発の遅れ」がある。ただ、この延期の真相は、他社のソフト開発に合わせるという意味もあったのではないだろうか。
4月18日の会見上、山内社長はアメリカで行われるE3で「GCが評価されなかったら、発売の棚上げもありうる」と言っているが、「GCの評価」とは、つまり「GCでできるソフトの評価」に他ならない。山内社長はGCが成功するかどうかは、GCで発売されるソフトが命運を握っていると考えているのだ。
そのため、GCのソフトは面白いものでなければならないが、それが自社のものであるか、他社のものであるかは、この際、関係ない。GCが評価されなかったら、任天堂は「大打撃を受ける」(4月18日の経営方針説明会での山内社長の発言)のだから。
GCが評価されるためには、自社は勿論のこと、他社のゲームをも必要としている。だから、今回の延期は他社のゲームソフトメーカーに充分な開発期間を与える意図もあったと推測できるのだ。
任天堂は、必ずしもそうは思っていないかも知れない。しかし、延期によって結果として他社のゲームソフトメーカーに充分な開発期間を与えたことになったのは、紛れも無い事実なのだ。
これによって、GBAと同じく、GCでもハードと同時発売のソフトが多くなると予測できる。任天堂の家庭用ゲーム機に久し振りにソフトを出すゲームソフトメーカーも増えてくるであろう。
こうしてみると、任天堂はFC・SFC時代の未徹底であった少数精鋭主義に回帰しているように見える。ソフトの質はもちろん、多様性をも有していたFC・SFC時代に。そう言った意味では、GCは、FC・SFC の進化した生まれ変わりなのかもしれない。そうなると、GCはゲーム業界内でFC・SFCと同じ役割を演じる可能性がある。
王者PS・PS2に挑むGC。かつて王者だったFC・SFCから王者を奪ったPSと同じように、ナンバーワンプラットフォームを再び奪うことができるのだろうか。業界内で強固な地盤を作り上げたPS・PS2ではあるが、物事には絶対は存在しない。
PS・PS2がいつまでも王者として君臨し続ける保証は何処にも無いのである。だからこそ、GCが王者になる資質は充分にあるのだ。9月14日が楽しみである。(おわり)
