2008年05月28日

過去のコラム編集:2001年3月「カプコン撤退?〜カプコンが出した絶縁状〜」Part5

当該のゲーム業界コラム記事は、2001年3月26日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「カプコン撤退?〜カプコンが出した絶縁状〜」の第五章(最終章)です。


プレイステーション2が発売された2000年前後、業務用ゲーム市場は不振に喘いでいました。小規模ゲームセンターの売上不振が鮮明になり、ゲームセンター運営大手であるタイトーやナムコも同事業が不振に陥り、同様にゲームセンター運営大手であるセガが家庭用ゲーム部門でもドリームキャスト撤退により、深刻な経営危機に陥っておりました。


ゲームセンター事業はその後スクラップアンドビルドにより大規模化し、家族でも遊べる「屋内アミューズメントパーク化」を推し進め大きく改善しますが、それはまだ先の話であり、ゲームセンターの将来に対して皆、悲観的になっていた時期でもありました。


そんな時、業務用ゲーム開発大手であるカプコンが、業務用ゲーム事業の大規模な縮小を行うとメディアに大きく報道されます。大ヒット格闘ゲームなどを開発したカプコンの事実上撤退は驚きを以て受け止められますが、カプコンの「決断」が業界全体やカプコン社そのものにどのような影響を与えるのか、を考察したものを下記にて記載しております。





過去のコラム編集:2001年3月「「カプコン撤退?〜カプコンが出した絶縁状〜」Part5第五章(最終章):「ゲーセンというプラットフォームの放棄」


カプコンショックをカプコンの社内的に見るのではなく、業界全体で捉えるとどうなるのであろうか。確かに、カプコンの業務用ゲームソフト事業の売上は少なく、数字的な面から言えば、具体的な影響は、殆ど無いように思われる(カプコンの業務用ゲームソフト事業売上はわずか39億円でしかない)。


だが、カプコンの撤退は単に数字的な影響に留まらないと考えられる。それは、「90年代前半、ゲームセンターを賑わせた大手メーカーが手を引く」という事実に大きな問題があるからだ。「業務用ゲームソフト開発・販売を手がける大手がゲーセンというプラットフォームを見放した」のである。ゲームセンター側が受けた心理的ダメージは計り知れないだろう。


ゲーセン側にとって、今回の発表は「絶縁状」みたいなものだ。本来ならば、メーカーとゲーセンは「車の両輪」であるはずだ。どちらか一方が、頑張ってもゲーセン市場は動かない。ゲーセン市場を再び盛り上げるためには市場が冷え込んでいる今こそ、両者が協力し合って、活性化の道を探っていかなければならないはずである。それなのに、相方に「儲からないから止めた」と絶縁状を付きつけられてしまったのだ。ゲーセンのダメージは大きいであろう。


しかも、このカプコンショックが嫌な前例になる可能性もある。この後、他のメーカーも、カプコンのように「儲からなくなったからうやめる」と発表してしまうことだって考えられるのだ。カプコンショックの他のメーカーへの波及。これがゲーセンが最も恐れる事態の一つである。


さらに、カプコンショックは、ゲーセンからユーザーを引き離してしまうことも十分に考えられる。カプコンの撤退はゲーセンに良く行くユーザーにも、たまにしかいかないユーザーにも心理的ダメージを与えかねない。


あの「ストリートファイター2」で一時代を築いたカプコンが、もうゲーセンにソフトを(ほぼ)供給しなくなる。この報を聞いたユーザーはがっかりするだろうし、心理的に「漠然とした残念さ」を味わうであろう。


これによって、ユーザーは、これからのカプコンの業務用ゲームだけではなく、ゲーセン全体に期待しなくなる(=足を遠のかせる)可能性だってあるのだ。もちろん、これらは相当ネガティブな発想であるのは間違いない。が、可能性はゼロではない。影響は徐々に現れるかもしれないのだ。


もし、ゲーセン市場がこのままの状況で、改善が見こめない事になれば、カプコンショックの影響は少しづつ表れる。今回のカプコンの決断は、結果的にゲーセンを一層厳しい場所に追い込んでしまったといえよう。


ゲーセンの苦難の時代は続くことになる。(おわり)

2008年05月25日

過去のコラム編集:2001年3月「カプコン撤退?〜カプコンが出した絶縁状〜」Part4

当該のゲーム業界コラム記事は、2001年3月26日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「カプコン撤退?〜カプコンが出した絶縁状〜」の第四章です。


プレイステーション2が発売された2000年前後、業務用ゲーム市場は不振に喘いでいました。小規模ゲームセンターの売上不振が鮮明になり、ゲームセンター運営大手であるタイトーやナムコも同事業が不振に陥り、同様にゲームセンター運営大手であるセガが家庭用ゲーム部門でもドリームキャスト撤退により、深刻な経営危機に陥っておりました。


ゲームセンター事業はその後スクラップアンドビルドにより大規模化し、家族でも遊べる「屋内アミューズメントパーク化」を推し進め大きく改善しますが、それはまだ先の話であり、ゲームセンターの将来に対して皆、悲観的になっていた時期でもありました。


そんな時、業務用ゲーム開発大手であるカプコンが、業務用ゲーム事業の大規模な縮小を行うとメディアに大きく報道されます。大ヒット格闘ゲームなどを開発したカプコンの事実上撤退は驚きを以て受け止められますが、カプコンの「決断」が業界全体やカプコン社そのものにどのような影響を与えるのか、を考察したものを下記にて記載しております。





過去のコラム編集:2001年3月「「カプコン撤退?〜カプコンが出した絶縁状〜」Part4第四章(前編):「カプコンショックの明と暗 (明)」



業務用ゲームソフト事業を事実上ストップさせる。「カプコンショック」といっても良いほどの、このショッキングな決断によって、ゲーム業界全体の今後に様々な影響が出るのは明らかであろう。


なぜなら、業務用ゲームソフトを開発・販売してきた大手メーカーでは、カプコンがはじめて撤退するのだ。しかも90年代前半はカプコンが業務用ゲーム市場を引っ張っていたほどの大手である。何もないとはとても考えられない。


ここからは、カプコンが投じた一石の波紋の影響を良い面と悪い面に分けて、予測してみたい。まず、この章では良い面、つまり「明」の部分を取り上げてみたい。


撤退の決断によってもたらされる「明」の部分は、カプコン社の利益向上であろう。前記した通り、利益率の面から考えて、業務用ゲームソフト事業を続けるよりも、家庭用ゲームソフト事業にシフトした方が効率は非常に良い


同じゲームを同じ額だけ販売したとしても、利益率は後者の分野の方が圧倒的に高いのだ。業務用ゲームソフト事業の撤退は、まちがいなくカプコンに今まで以上の利益をもたらす。しかも、カプコンは現在、家庭用ゲームソフト事業では「バイオハザード」などのヒット作が次々に出しているのだ。


このまま、縮小していく業務用ゲームソフト市場にしがみつくよりも、そこに投入していた人材や資金を家庭用ゲームソフト事業に再配置すれば、より一層の利益を手中にすることができるのである。カプコンとしては、多いにメリットがある決断だったと言えるだろう。



 第四章(後編):「カプコンショックの明と暗 (暗)」


カプコンショックがもたらす「暗」の部分で考えられるのが、「業務用ゲームソフト事業の再開時における困難」があろう。これは一体どういうことか。簡単に言えば、こうである。


一度、なんらかの分野を停止させ、一定期間経過後、それを再び再開させるには、多くの手間とコストが掛かり、すぐには出来ない。だから、ある程度の規模を確保していなければ、機動的に対処するのは難しい、という事である。


たとえば、軍事の世界でもそのようなことはある。「軍事力は一朝一夕には育たない。戦車や軍艦は完成品を買って来れたにしても(略)、それに乗って戦う兵士と、それを総合的に運用指揮できる指揮官を育てるには長い年月がかかる。……そのため、一度ある分
野の軍事的能力を止めてしまうと、それを再建するには非常に長い年月と多くの労力、経費が必要になる」(「安全保障とは何か」 著江畑謙介  p160〜162 平凡社 1999)。


ゲームの世界でもほとんど同じであろう。つまり、もう一度業務用ゲームソフトを開発する人間を育て上げるためには大きなコストと長い時間がかかってしまうのである。


一般に、家庭用ゲームソフト事業を手がけている大手ゲーム各社でさえ、プレイステーション2の開発環境になれるまで、時間がかかっているといわれているのだ。撤退した業務用ゲームソフト事業を復活させるためには、相当な困難が待ち構えているのは容易に想像がつく。(つづく)


続きはこちら→第五章(最終章):「ゲーセンというプラットフォームの放棄」

2008年05月22日

過去のコラム編集:2001年3月「カプコン撤退?〜カプコンが出した絶縁状〜」Part3

当該のゲーム業界コラム記事は、2001年3月26日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「カプコン撤退?〜カプコンが出した絶縁状〜」の第三章です。


プレイステーション2が発売された2000年前後、業務用ゲーム市場は不振に喘いでいました。小規模ゲームセンターの売上不振が鮮明になり、ゲームセンター運営大手であるタイトーやナムコも同事業が不振に陥り、同様にゲームセンター運営大手であるセガが家庭用ゲーム部門でもドリームキャスト撤退により、深刻な経営危機に陥っておりました。


ゲームセンター事業はその後スクラップアンドビルドにより大規模化し、家族でも遊べる「屋内アミューズメントパーク化」を推し進め大きく改善しますが、それはまだ先の話であり、ゲームセンターの将来に対して皆、悲観的になっていた時期でもありました。


そんな時、業務用ゲーム開発大手であるカプコンが、業務用ゲーム事業の大規模な縮小を行うとメディアに大きく報道されます。大ヒット格闘ゲームなどを開発したカプコンの事実上撤退は驚きを以て受け止められますが、カプコンの「決断」が業界全体やカプコン社そのものにどのような影響を与えるのか、を考察したものを下記にて記載しております。





過去のコラム編集:2001年3月「「カプコン撤退?〜カプコンが出した絶縁状〜」Part3第三章:「カプコン決断のわけ」


カプコンは事実上、業務用ゲームソフト事業をやめる決断をしたが、これまで自社を支えてきたこの事業を「捨てる」理由はどこにあるのであろうか。


日経新聞には業務用ゲームソフト業界の今後の回復が見こめないと書いてあったが、もっと直接的な理由としては「利益率の低さ」があげられるだろう。


ソシエテジェネラル証券のレポートによると、カプコンの業務用機器販売・レンタル事業とコンシューマ用機器販売事業(家庭用ゲーム事業)の両部門が同時に利益を出していた1996年3月期から1998年3月期までの3年間の平均営業利益率は、前者が11.03%、後者が29.6%であった(2001年1月23日付け ソシエテジェネラル証券 「カプコンレポート」より作成)。


両者の格差は約3倍弱の開きが生まれている。これだけ、利益率に差が生まれていれば、業務用ゲームソフト事業を止め、家庭用ゲーム事業に注力するカプコンの決断は納得できる。カプコンは営利企業。より利益の上がるところに経営資源をシフトさせるのは、当然のことであるのだ。(つづく)


続きはこちら→第四章:「カプコンショックの明と暗 (明)」

2008年05月21日

過去のコラム編集:2001年3月「カプコン撤退?〜カプコンが出した絶縁状〜」Part2

当該のゲーム業界コラム記事は、2001年3月26日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「カプコン撤退?〜カプコンが出した絶縁状〜」の第二章です。


プレイステーション2が発売された2000年前後、業務用ゲーム市場は不振に喘いでいました。小規模ゲームセンターの売上不振が鮮明になり、ゲームセンター運営大手であるタイトーやナムコも同事業が不振に陥り、同様にゲームセンター運営大手であるセガが家庭用ゲーム部門でもドリームキャスト撤退により、深刻な経営危機に陥っておりました。


ゲームセンター事業はその後スクラップアンドビルドにより大規模化し、家族でも遊べる「屋内アミューズメントパーク化」を推し進め大きく改善しますが、それはまだ先の話であり、ゲームセンターの将来に対して皆、悲観的になっていた時期でもありました。


そんな時、業務用ゲーム開発大手であるカプコンが、業務用ゲーム事業の大規模な縮小を行うとメディアに大きく報道されます。大ヒット格闘ゲームなどを開発したカプコンの事実上撤退は驚きを以て受け止められますが、カプコンの「決断」が業界全体やカプコン社そのものにどのような影響を与えるのか、を考察したものを下記にて記載しております。





過去のコラム編集:2001年3月「「カプコン撤退?〜カプコンが出した絶縁状〜」Part2第二章:「日経の報道とカプコンの否定」


この章では、両者の主張の食い違う点に注目し、それがあまりずれていないことと、カプコンが実際、業務用ゲームソフト事業に関して、どんな道を選んだのか、ということを推測してみたい。


日経新聞側の報道では、「新作ソフトの開発を止め、年内に撤退する」というものであるのに対し、カプコン側は「正式には撤退は決めていないが、業務用を縮小させつつ、業務用ソフトも供給する」と主張する。


単純に考えると、縮小させるが業務用ソフトは引き続き供給していくとするカプコンの主張は、撤退を伝えた日経新聞側と対立する格好になる。しかし、良く考えてみると両者の対立点は意外に少ない。表面上では対立しつつも、実際はあまり食い違っていないのである。


まず、明らかに対立している「撤退と縮小」であるが、言葉にすると大きな違いがあるものの、両者の間にそれほどの隔たりはない。基本的にカプコンの売上高に占める業務用ゲームソフト事業の割合は10%前後でしかない


この数字を仮にカプコンが5%に半減させたとしよう(この仮定条件はそれほどおかしいものではないだろう。カプコンは縮小させる方向性を持っているのだから)。すると、カプコンの売上高の95%は業務用ゲームソフト事業以外からの収入で賄われることになる。わずか5%ほどしか売上に貢献しない事業は会社にとってあまり重要ではない。


業務用ゲームソフト事業が最盛期であったころの売上高に占める比率は30%であったのは前記した通りである。その時は、この事業は最も重要視されていたはずであろう。だが、それが5分の1にまで落ち込めば、会社の待遇は今までと同じであるはずがない。


2001 年1月25日に発売されたプレイステーション2用ソフト「鬼武者」の開発費が10億円を超えているといわれている。それに対して、業務用ゲームソフト事業の売上構成比が今述べたとおり、5%となるとわずか20億円程の売上でしかなくなる(今期の業績10%・39億円をそのまま半減させる)。


たった1ソフトの開発費と、1事業部門の売上の差が2倍程度でしかないのである。これでは、日経新聞に(事実上の)撤退と認識されてもしょうがない。


次に「ソフトの開発問題」であるが、カプコン側は「ソフトを引き続き供給していく」としか言っていない。これが「今後もカプコンの新製品を世に出し続ける」と考えるのは早計であろう。「ソフトの供給」は自社の在庫商品であるかもしれないし、他社のソフトであるかもしれないからだ。


しかも、カプコンは「業務用ゲームソフト事業は縮小させる」方向で動いている。規模を縮小させつつ、大型の新作ソフトを開発し販売していく事は、現実的に難しいと言わざるを得ない。


ただ、無難な新作を細々と開発する事は多いに考えられる。現にカプコンは「機動戦士ガンダム 連邦vs.ジオン」「プロキアの嵐」などの新作をリリースする予定でいる。しかし、カプコンとしてはこれら新作に大きな期待はしていないだろう。


そこそこのヒットを狙える新作であるとは会社側も思っているだろうが、所詮はその程度でしかない。数年前に同じ業務用ゲームソフト事業で大ヒットを飛ばした会社の対応とはとても思えない劇的な変化である。


こうしてみると、カプコンは業務用ゲームソフト事業から事実上撤退するものの、完全に止めてしまうことはせず、細々と続けていくという「生かしも殺しもしない」政策をとったと推測できる。この変化を日経新聞は「撤退」と考え、記事にした。事実はこんな所ではないか。つまり、今回の報道はいわゆる「誤報」ではなく、ほぼ真実を伝えていると言って良い。カプコンが否定したのは日経新聞側の使った「表現」だけだと思われる。(つづく)


続きはこちら→第三章:「カプコン決断のわけ」

2008年05月18日

過去のコラム編集:2001年3月「カプコン撤退?〜カプコンが出した絶縁状〜」Part1

当該のゲーム業界コラム記事は、2001年3月26日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「カプコン撤退?〜カプコンが出した絶縁状〜」の第一章です。


プレイステーション2が発売された2000年前後、業務用ゲーム市場は不振に喘いでいました。小規模ゲームセンターの売上不振が鮮明になり、ゲームセンター運営大手であるタイトーやナムコも同事業が不振に陥り、同様にゲームセンター運営大手であるセガが家庭用ゲーム部門でもドリームキャスト撤退により、深刻な経営危機に陥っておりました。


ゲームセンター事業はその後スクラップアンドビルドにより大規模化し、家族でも遊べる「屋内アミューズメントパーク化」を推し進め大きく改善しますが、それはまだ先の話であり、ゲームセンターの将来に対して皆、悲観的になっていた時期でもありました。


そんな時、業務用ゲーム開発大手であるカプコンが、業務用ゲーム事業の大規模な縮小を行うとメディアに大きく報道されます。大ヒット格闘ゲームなどを開発したカプコンの事実上撤退は驚きを以て受け止められますが、カプコンの「決断」が業界全体やカプコン社そのものにどのような影響を与えるのか、を考察したものを下記にて記載しております。





過去のコラム編集:2001年3月「「カプコン撤退?〜カプコンが出した絶縁状〜」Part1第一章(前編):「完全撤退」



2001年3月19日付の日本経済新聞(日経新聞)に衝撃的なあるニュースが掲載された。それはゲーム業界全体にとって大変好ましくない決定を伝えるニュースであった。何かといえば、「カプコン、業務用ゲームからの撤退を決断」である。日経新聞で報道された主な内容は次の通りである。



 ・年内に業務用ゲームソフト事業から撤退する。
 ・開発中のソフトを除き新作ソフトの開発を見送る。
 ・家庭用ゲームソフト事業に経営資源を集中させる。
 ・旧作の販売は当面継続する。



同記事にはカプコンが業務用ゲームソフト事業から撤退する理由として、カプコン内における業務用ゲームソフト事業の売上の急落や、業界全体の今後も回復は見込めないことをあげている。


2001 年3月期の業務用ソフトの売上高は39億円(見こみ額)と、最盛期の規模に比べると、額で5分の1、単独売上高に占める割合では30%から10%程度にまで落ち込んでいる。この程度の規模であるなら、会社側も事業を続けるメリットが少ないと判断したために、今回の決定に至ったと思われる。

 
第一章(後編):「誤報?」


日経新聞が衝撃的なニュースを報じてからまもなく、最新のゲーム情報を伝える各種ホームページにある一文がアップされていた。意外な事に、先ほど日経新聞が伝えたニュースを否定するカプコン側の声明であった。


「本日、一部報道機関において当社業務用ゲームソフト事業からの撤退する旨、報道がなされておりますが、弊社から公式に発表したものではなく、現時点で正式に決定されたものではありません。当社といたしましては、来期は業務用部門を縮小し、家庭用ゲームソフト事業に注力するものの、引き続き、業務用ソフトも供給してまいります。(カプコン 経営企画室 証券業務チーム)」(2001年3月19日 「ファミ通ドットコム」より)


カプコン側のすばやい否定声明で、この日経新聞の報道は誤報であると思われた。実際、報道機関が誤報を流す事は少なくない。最近では、あるアメリカの報道機関が「任天堂がセガを買収する」という嘘とも本当ともつかないニュースを掲載し、両社から抗議を受けた事がある。この先例を鑑みると、今回のカプコン撤退報道も誤報に見えてしまう。


では、カプコン側の否定でこの一件は収まったといえるのであろうか。そう簡単にはいかない、と筆者は考える。それは何故だろうか。どうして、当事者が否定したことを筆者は疑うのだろうか。次の章からその理由を考えてみたい。(つづく)



続きはこちら→第二章:「日経の報道とカプコンの否定」