2008年06月29日

過去のコラム編集:2001年3月「オンラインゲームは普及するのか。カードゲームがもたらすもの」Part4

当該のゲーム業界コラム記事は、2001年3月21日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「オンラインゲームは普及するのか。カードゲームがもたらすもの」の第四章(最終章)です。



2001年当時、まだ常時接続が珍しいインターネットの普及期にあった頃盛んにゲーム業界で持て囃されていたのが「オンラインゲーム」でした。そのオンラインゲームが、今後普及するのか、それとも一時期のブームだけで定着しないのかを検証したのが当コラムです。このコラムでは、2001年前後に流行っていたカードゲームを例に出し、オンラインゲームの未来を予測したものになっております。



過去のコラム編集:2001年3月「オンラインゲームは普及するのか。カードゲームがもたらすもの」Part4第四章(最終章):「カードゲームの本当の魅力」


オンラインゲームが成功する理由を述べる前に、なぜカードゲームが流行したかを考えてみたい。先ほど、カードゲームが人気となった幾つかの表面的理由を挙げたが、本当はそれだけでない。カードゲームがこれほどまで人気になった訳は、カードゲーム自体が持つ本当の面白さに由来する。


カードゲームが流行った本当の理由は、「他人とカードゲームを通じて遊べる」というカードゲーム本来が持つ特長がユーザーに受けたからだ。何を当たり前な事を、と言う向きもあるだろう。だが、これは重要な事だ。


もし、カードゲームが自分一人で遊べるように作られていたら、こんなにヒットしただろうか。おそらく、そうはならなかったと思う。なぜなら、ユーザーはもう一人で遊ぶことに飽きているからだ。


TVゲーム・携帯ゲームの世界をみても、その傾向は強い。今は、一人で遊べてしまうゲームより、同一ゲームに複数人が参加し、同時に遊べるゲームに人気が集まっている。その代表格が「ポケモン」であろう。「ポケモン」や、それに類似したポケモン系ゲーム、さらに複数人参加型がゲームが、ゲームの売上ランキング上位を占めることは珍しいことではない。


このような流れから分かることは、ある決められた思考パターンを持つコンピューターなどを相手にゲームをするより、コンピューターのように型にはまった戦略を取るわけではない、生身の人間の方を相手にするほうが面白い、とユーザーは感じている、ということだ。


だから、ユーザーはより面白いゲームであるカードゲームに流れていっているのである。既存のゲームでは、ゲームを熱心にやればやるほど、コンピューターの思考パターンが読めてしまい、どうしても飽きてしまう。「攻略法」という言葉もあるぐらいだから、「相手」の次の行動が比較的楽に読めてしまう。


こうなるとゲームの遊び方に「マンネリ」が生まれてしまう。ゲームは先が分からないから、面白い。これはゲームに限ったことではないが、先が分かったマンネリゲームほど面白くないゲームはない。だから、ユーザーは今までのゲームに飽きてしまったのだ。しかし、カードゲームではそうはいかない。


相手は常に新鮮な人間相手なので、次にどんな手法でゲームに臨んでくるのかなど、全く分からない。人間はコンピューターなどよりはるかに優れた頭脳を持っているためだ。このためカードゲームにはコンピューター相手のゲームでは決して味わうことができない面白味があるのだ。


このカードゲーム自体が持っている本質的な面白さが、大ヒットした大きな理由なのである。(おわり)

2008年06月26日

過去のコラム編集:2001年3月「オンラインゲームは普及するのか。カードゲームがもたらすもの」Part3

当該のゲーム業界コラム記事は、2001年3月21日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「オンラインゲームは普及するのか。カードゲームがもたらすもの」の第三章です。



2001年当時、まだ常時接続が珍しいインターネットの普及期にあった頃盛んにゲーム業界で持て囃されていたのが「オンラインゲーム」でした。そのオンラインゲームが、今後普及するのか、それとも一時期のブームだけで定着しないのかを検証したのが当コラムです。このコラムでは、2001年前後に流行っていたカードゲームを例に出し、オンラインゲームの未来を予測したものになっております。



過去のコラム編集:2001年3月「オンラインゲームは普及するのか。カードゲームがもたらすもの」Part3第三章(前編):「カードゲームが流行ったわけ」


なぜ、このようにカードゲームが流行ったのかといえば、それは大ヒット作の登場を抜きにして語れないだろう。


日本で最初にカードゲームに火をつけたと言われているのが、アメリカで大人気であった「マジック・ザ・ギャザリング」と言うカードゲーム。次に「ポケットモンスター」や「遊戯王」などである。


「マジック・ザ・ギャザリング」は1996年に日本で発売されて以来、約2億枚を出荷している。全世界ベースでは約60億枚の出荷がされているのだ。日本発のカードゲームである「遊戯王」の売上は、今年度で300億円に達すると見こまれている(同)。


今、述べたような大ヒット作がカードゲーム普及に大いに貢献したのは間違いない。さらに、ゲームよりも低価格で、かつ、カードの種類を沢山集めなければ十分に楽しめないというカードゲームの特徴も、カードの収集欲に火をつけたと思われる。また、気軽に遊べるのも人気の一つであろう。


こうして、「大ヒット作の登場・低価格・カードの種類の豊富さ・気軽さ」などが受けて、ユーザーはカードゲームに夢中になった。だが、これはゲーム業界にとっては由々しき問題である。ユーザーの関心が確実に「TVゲーム・携帯ゲーム」から「カードゲーム」にシフトしつつあるからだ。

 
第三章(後編):「カードゲームからユーザーを取り戻せるか」


現在はカードゲームに既存のゲーム市場が食われている格好だが、これを逆転させるためにはどうすれば良いのであろうか。いや、もっと単純に言えば、ユーザーを再び「TVゲーム・携帯ゲーム」に取り戻すためにはどうすれば良いのか、であろう。


この問題に対し、既にゲーム業界では一つの答えを用意している。それは前に述べた通り「オンラインゲームの活用」だ。彼らはこれをテコにもう一度、ユーザーの関心を惹こうと目論んでいる。だが、オンラインゲームは本当にユーザーの関心を得ることが出来るのであろうか。本当にカードゲームからユーザーを取り返すことが出来る切り札になりえるのであろうか。


筆者は、オンラインゲームは「切り札」に十分になり得ると考えている(もちろん、通信インフラ等がきちんと使い勝手良く整備されている前提で、という但し書きは付くが…)。しかも、カードゲームの存在が、オンラインゲームの普及の後押しをするとまで考えている。


ではなぜ、筆者はこのようなことを言うのであろうか。この理由をこれから記していきたいと思っている。(つづく)



続きはこちら→第四章:「カードゲームの本当の魅力」

2008年06月24日

過去のコラム編集:2001年3月「オンラインゲームは普及するのか。カードゲームがもたらすもの」Part2

当該のゲーム業界コラム記事は、2001年3月21日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「オンラインゲームは普及するのか。カードゲームがもたらすもの」の第二章です。



2001年当時、まだ常時接続が珍しいインターネットの普及期にあった頃盛んにゲーム業界で持て囃されていたのが「オンラインゲーム」でした。そのオンラインゲームが、今後普及するのか、それとも一時期のブームだけで定着しないのかを検証したのが当コラムです。このコラムでは、2001年前後に流行っていたカードゲームを例に出し、オンラインゲームの未来を予測したものになっております。



過去のコラム編集:2001年3月「オンラインゲームは普及するのか。カードゲームがもたらすもの」Part1第二章(前編):「縮小するパイ」


ゲーム業界は何処から見ても縮小傾向にある。1998年に家庭用ゲーム関連販売高(ハードとソフト含む)・施設店舗売上高(主にゲームセンターなど)・業務用アミューズメント機器製品販売高は、それぞれ約5489億円・約6434億円・約1671億円の規模を誇っていた。


しかし、2000年度になると98 年に比べて順に18%減(4491億円)・4%減(6195億円)・13%減(1452億円)となり、縮小傾向に陥っている(平成13年3月期アトラス中間決算短信補足資料より)。そんな状況を打破するためにゲーム各社はある分野のゲームに熱い視線を送る。そのある分野のゲームとは「オンラインゲーム」のことである。


オンラインゲームは現在、アメリカや韓国などで大ヒットしている。「ウルティマオンライン」などがその代表作であろう。ハードメーカーがこぞってゲーム機にネットワーク対応機能を加えたのも、ゲームセンターにネット化の波が押し寄せたのも、このオンラインゲームを武器にユーザーの獲得を目指すという一つの大きな目標があったからだ。


第二章(後編):「カードゲーム市場の急成長」


ただ、今のユーザーは「TVゲーム・携帯ゲーム」よりカードゲームに夢中になっている。その傾向は低年齢層にいくほど顕著だ。コンピュータエンターテイメントソフトウェア協会(CESA)の調べによると小学生に「好きな遊び」を尋ねると1997年時の調査では77.1%の子供達が「TVゲーム・携帯ゲーム」と答えていたが、2000年の調査になるとその割合が66.9%と約10%の減少を記録した。


その代わりに浮上したのが、カードゲーム。前回 (1997年)の調査時に37.1%だったカードゲーム好きの子供達の割合が2000年の調査になると、9%アップの46.1%に上昇しているのである (日経産業新聞 2001年2月27日)。


この流れはそれぞれの市場規模の伸び・減少が裏付けをする。前記した通り、既存のゲーム業界は軒並み数%〜十数%の落ち込みを見せているのに対し、カードゲーム市場は2000年に800億円に達する。これは前年(1999年)比100%アップの数字である。つまり、400億円市場がたった1年で実に800億円に急成長したことになるのである(日経産業新聞 2000年10月12日)。(つづく)


続きはこちら→第三章:「カードゲームが流行ったわけ」

2008年06月23日

過去のコラム編集:2001年3月「オンラインゲームは普及するのか。カードゲームがもたらすもの」Part1

当該のゲーム業界コラム記事は、2001年3月21日前後(詳細な月日は現在、不明)にメールマガジン「ゲームいろいろ情報」にて掲載された連載記事「オンラインゲームは普及するのか。カードゲームがもたらすもの」の第一章です。



2001年当時、まだ常時接続が珍しいインターネットの普及期にあった頃盛んにゲーム業界で持て囃されていたのが「オンラインゲーム」でした。そのオンラインゲームが、今後普及するのか、それとも一時期のブームだけで定着しないのかを検証したのが当コラムです。このコラムでは、2001年前後に流行っていたカードゲームを例に出し、オンラインゲームの未来を予測したものになっております。



過去のコラム編集:2001年3月「オンラインゲームは普及するのか。カードゲームがもたらすもの」Part1第一章:「ネット対応を目指せ」


発売当初からネットワーク接続の予定があるといわれつつも、具体的な動きが何もなかった「プレイステーション2」(PS2)。しかし、2001年2月21 日に開催された「PlayStation Meeting2001」においてソニーコンピュータエンタテイメント(SCE)はPS2と携帯電話を接続させるケーブルを3月29日に発売すると発表した。


その1週間前の3月22日にはアイ・オー・データ機器からPS2専用のモデムも発売される事になっている。 これらのツールによって、既存の通信網を利用する方法でも、モバイル端末を利用する方法でも、どちらでもネットワークに対応できるようになるPS2だが、ゲーム機でネット対応を目指しているのは何もPS2だけではない。


セガのドリームキャスト(DC)や今年の2001年中に発売が予定されているマイクロソフトの「XBOX」はネットワーク接続のために必要なモデム等は標準装備されている。同じく今年中に発売される任天堂の「ゲームキューブ」(GC)はオプションとしてだが、ネットワーク接続を可能にできるようにしている。(読売新聞 2001年2月5日より)


ゲーム業界におけるネットワーク接続の波は「家庭」においてだけではない。ゲームセンターにおいてもネット化の動きが出始めている。セガが始めた「Net@」という名のゲームセンターは、ゲームセンター同士を光ファイバーで繋げて、その上で新しい遊びを提供する方針で登場した(現在は全面改装中)。さらにはゲームセンター内にインターネットに接続できるパソコンなどを設置して、集客を図る所もある。


これら、家庭用ゲーム機やゲームセンターのネット対応が、一つの大きな流れになっている訳はゲーム業界全体の停滞感・不況感が影響している。(つづく)


続きはこちら→第二章:「縮小するパイ」